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「うちの子はできない」というのをやめたら…[やる気を引き出すコーチング]

ベネッセ 教育情報サイト 10/18(火) 12:01配信

今回は、ある学習塾の先生からうかがった小学校6年生のA君とお母さんのエピソードをご紹介したいと思います。
「A君は、純朴で優しく友達にも恵まれていました。一方で、声がか細く、猫背で、いつも自信がなさそうでした。学力は6年生4月時点で、かけ算九九さえ危うい状態。お母さんは、『うちの子ダメなんです』と何度もおっしゃっていました」。
こんなA君とお母さんに対して、この先生はどのように関わったのでしょうか。

お母さんの言葉が変われば

「私は、『A君を将来メシが食える大人にする!』と意気込み、算数や国語はもちろん、他にもいろいろやりました。
例えば、自転車の特訓です。1学期、お母さんがこうおっしゃいました。『うちの子、自転車にも乗れないんです。私の後ろにちょこんと座って、幼稚園生みたいですよね』。そう聞いて、『乗れるようになったら、A君だけでなくお母さんの自信にもなるのではないか』。そう思い特訓しました。練習は、授業後30分くらいでしたが、なんとたった2日で乗れるようになったのです。『やればできるじゃない!』とお母さんも喜んでいました。

一方で、なかなか越えられない壁もありました。それが、心の壁です。彼が問題に向き合う時、口癖のように出てくるのが『わからない』という言葉。そのニュアンスは、『考えてもわからない』というより、『考えることができない』というあきらめに思えてなりませんでした。彼の自信をどう育めばいいのか、私の中には答えがありました。『お母さんの言葉が変われば、A君も変わる』。そう思ったのです。

その後、お母さんと膝を突き合わせて、こう伝えました。『お母さん、A君のこと、もうできないだなんて言うのはやめましょう。その分、お母さんがA君の良い所をたくさん伝えてあげてください。それだけで、A君は自分を信じられるようになると思います』。
すると、お母さんは目に涙を浮かべながらこうおっしゃいました。『子育てにずっと自信がありませんでした。つい、きついことばかりを口にしてしまいます。ですが、この子のために、もう二度と“Aはできない”とは言いません!』。そうおっしゃったのです。私は驚きとともにお母さんの決意を心に刻みました」。

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最終更新:10/18(火) 12:01

ベネッセ 教育情報サイト