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暴言を連発のドゥテルテ大統領。それでもフィリピンは魅力的な投資先か

ニュースイッチ 10/18(火) 7:58配信

インフラ整備の加速、外資出資比率の制限も緩和へ

 フィリピンの4―6月期の実質国内総生産(GDP)成長率は前年比7.0%と、前期の6.8%から加速し、堅調な成長が続いた。前アキノ政権下でフィリピンは年平均6%超の経済成長率を遂げており、過去のエストラーダ政権、アロヨ政権の時期と比べて大きく成長率が高まった。インフラ整備が進むとともに、汚職への取り組み強化などから投資先として見直され、プリンターや電子機器メーカーなどの製造業を中心に国外からの直接投資が拡大し始めたことが主因だ。

 このようにフィリピン経済が堅調に推移し企業からの注目も集める中、6月末に誕生したドゥテルテ新政権の政策姿勢に注目が集まっている。ドゥテルテ大統領は経済政策を専門家に一任しており、基本的にアキノ政権の政策を踏襲した手堅い政策運営方針を掲げている。具体的には、まず2017年度の予算案で、インフラ整備費を前年度比13%増と大幅に増額するなど、インフラ整備の加速に積極的に取り組んでいる。

 財政改革により、このインフラ整備の財源確保に加え、法人税減税などを実施しようとの意欲もみせる。さらに、フィリピンでは憲法で農業やインフラの整備運営事業など一部について外資出資比率が制限されており、かねてより投資誘致の妨げとなってきたと言われる。だが、憲法改正でこの制限を緩和しようとしている。

 以上のようなドゥテルテ政権が掲げる経済政策が実行されれば、投資環境の改善とさらなる投資拡大につながり、フィリピンは高成長を遂げると期待される。新政権は投資拡大につなげるための新たな投資インセンティブの付与も検討しており、日本企業にとっても進出を後押しする材料になるだろう。

 具体的には、前政権が自動車産業に実施したような時限的な補助金制度を別の産業にも拡大することや、研究開発や貧困層向けビジネスなど特定の事業を実施した企業に対する税制優遇などが検討されている。

 ただし、ドゥテルテ大統領自身が最も熱心に取り組む治安、特に麻薬関連犯罪者の超法規的かつ強硬な取り締まり手法に対しては、内外から批判が相次いでいる。ドゥテルテ大統領はこうした批判の声に反発し、国連やオバマ大統領をはじめとする米国政府要人に暴言を連発して強硬な外交姿勢を強めている。

 それに伴う米国との関係不透明化を受け、主要格付け会社や米国商工会議所などが直接投資先としての懸念を表明し始めており、外交問題が経済の悪化につながるリスクにも留意が必要だ。

菊池しのぶ(みずほ総合研究所調査本部アジア調査部主任研究員)

最終更新:10/18(火) 7:58

ニュースイッチ

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