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【千葉魂】 新たな挑戦は始まっている 田村、痛みの中から成長

千葉日報オンライン 10/18(火) 11:59配信

 天を仰いだ。昨年、悔し涙を流した福岡の地で、今年もはね返された。福岡ヤフオクドームにて行われたクライマックスシリーズファーストステージは2連敗で幕を閉じた。試合終了の瞬間、田村龍弘捕手はベンチ内でグラウンドの一点を見つめていた。そこではホークスナインが喜びを爆発させていた。

 「力がなかったということ。力負けです。後悔はしていません。リードをする上で、後悔のないようにしようと一年間、やってきましたから。あとから、ああしとけばよかったとか、そういうことは、ないようにやってきたつもりです」

 試合後の田村は悔しさを押し殺すようにサバサバと振り返った。その2日後の午前8時。まだ球団職員すら出勤をしていないQVCマリンフィールドのグラウンドに、その姿はあった。一人、黙々と外野を走り、汗を流すと、ウエート場にこもった。早くも新しいシーズンに向けて始動した。

 「秋のキャンプや自主トレをどう過ごすかイメージをしながら、やっています。もちろん、悔しさはある。だからそういう意味での切り替えはできていないけど、この気持ちをしっかりと来年に生かさないと意味がない」

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 毎日、朝早くからグラウンドを走り、ウエートを重ねる日々。夜、自宅に戻るとテレビをつける。そこではクライマックスシリーズファイナルステージが放送されている。悔しくて見ないという選手もいるが、その中であえてチェックをする。自分たちが敵わなかったライバルたちがどのような試合を行っているか。ジッと見ている。

 「勉強になるからとかではなくて、純粋に気になりますよ。どんな野球をしているのかなあと。クライマックスや日本シリーズを見るのは野球人として普通だと思っている」

 自宅のソファに腰を下ろし、他チームの野球を見ていても不思議と気が付いたら今年一年の自分を振り返っている。後悔のないように一年間、プレーをしたつもり。ただ、大きな反省はある。それはずっと伊東勤監督にも言われ続けてきたことでもあった。

 「監督には一つのことしか言われていません。それは『スキを見せるな』ということ。それをずっと言われ続けた。言われ続けたということはボクに、スキがあったということ。正直、自分もスキがあったと思う。心のどこかに油断があった」

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 捕手は何時も心の隙を見せてはいけない。それを思い知らされたシーズンだった。象徴的だった試合があった。6月29日のホークス戦(福岡ヤフオクD)。5点リードで迎えた八回。イッキに5点を奪われ、同点とされると延長十回にサヨナラ負けを喫した。そしてもう1試合、同じような試合があった。7月10日のファイターズ戦(札幌D)。相手エースの大谷を攻略し、七回までに5点リードも結局は延長十二回サヨナラ負け。この両チームがマリーンズより上位になっただけに悔やまれる結果となった。

 「点差が開いて、その後に安定しているセットアッパー陣がいることを計算にいれて正直、もう大丈夫かもとホッとしていて負けた試合があった。他の選手全員の気持ちが緩んでも捕手である自分だけは絶対に心のスキを見せてはいけなかった。変な例えだけど、10点差で勝っていても、心を緩めてはいけない。1イニングに大量点が入ることはないわけではない。もちろん、それは当たり前のことだけど、改めて野球の難しさを感じた。来年は目の前の勝利に徹底的にこだわってやっていきたい。この痛みを忘れてはいけない」

 誰もいないウエート場の天井を見上げながら、悔しい思いを何度も口にした。それでも今シーズンは130試合に出場をして、マリーンズの正捕手としてチームを引っ張った。紛れもなく31年ぶりとなる2年連続のAクラスへとチームを導いた立役者の一人だった。まだプロ4年目の22歳。指揮官にして「捕手は痛みの中から成長をする。失敗したこと。悔しかったことを忘れないことが大事」と言われる捕手道。田村はまだその道の半ば。いや、まだ歩き出したばかりである。2017年に向けた挑戦はもう始まっている。

 (千葉ロッテマリーンズ広報 梶原紀章)

最終更新:10/18(火) 11:59

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