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【インサイト】二律背反に直面する日銀-為替変動と利回り曲線操作

Bloomberg 10/18(火) 12:45配信

日本銀行は9月21日の金融政策決定会合で、長短金利をターゲットとする政策を導入した。その結果、日銀はイールドカーブ管理と過度な為替変動の抑制のトレードオフ(二律背反)に直面しつつある。

日本の長期金利の上昇は円高を通じて企業収益改善とインフレ率上昇を妨げる。皮肉なことに、日銀がイールドカーブ目標の管理に成功すればするほど、国際的な市場の利回り調節機能を阻害してしまうリスクがある。イールドカーブを固定することで、各国間の利回り格差(イールドスプレッド)の市場の調整機能が失われ、為替レートのボラティリティの上昇につながる可能性があるためだ。

・短期金利(2年物)の日米利回り格差が一般的に最も為替の変動への影響が大きいと言われる。

・しかし、短期金利だけでなく、長短金利の利回り格差(イールドカーブ・スプレッド)も為替に影響を与えることが分かった。ただし、この影響は時間とともに変動する。

・ブルームバーグ・インテリジェンスの推計によると、直近では、日米2年物国債利回り格差が1ポイント拡大すると、8.2%程度の円安につながる。

・また、日米間の2年-10年利回り格差が1ポイント拡大(米国のイールドカーブがよりスティープ化もしくは日本のイールドカーブがフラット化)すると、3.8%程度の円安となる。

・この結果は、9月の日銀会合後、日米の短期金利格差が拡大し、それ以上に長期金利格差が進んだ(米国債のイールドカーブのスティープ化がより進んだ)ことにより、3.8%の円安が進んだことにより裏付けられる。

・日銀はこれまでのところ、長期金利を狭いレンジで管理することに成功している。

・ただし、その結果国際的な市場の利回り調節機能を阻害してしまうリスクがある。

・例えば、FEDの利上げ観測が高まり、長期金利が上昇すると、それに呼応するように主要国の長期金利も上昇し、金利格差拡大による為替の過度な変動を抑制する。

・従って、日本のイールドカーブ(長期金利)を固定することで、為替のボラティリティの上昇につながる可能性がある。

原文の英語記事はこちらをクリック

Yuki Masujima

最終更新:10/18(火) 12:45

Bloomberg