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[対談]長見明氏×奥谷孝司氏(後半):マーケティングデータをどうブランディングに活かしていくか?

Web担当者Forum 10/19(水) 7:06配信

デジタルマーケティングで得られる多種多様なデータは、どのようにブランディングに活かせるのか? ネット企業ならではの独自のブランディングは可能か? スターバックスコーヒージャパンの長見明氏と、ネット通販でブランディングに取り組んでいるオイシックスの奥谷孝司氏に語り合ってもらった。

 

マーケティングもブランディングも、顧客の頭の中が主戦場

――ブランディングをやるのに、データはどれぐらい重要ですか?

[奥谷] あった方がいいんですけど、なくてもいい(笑)。

[長見] トレンド(推移)データ、現状がどう変わったのか、というデータは見ています。

[奥谷] データを見るのは、本来、予測するとか、兆しを感じるためであって、過去がどうだったかを見るためというのは、あまり意味がない。良品計画の場合、社内で販売データの話ばかりするので、顧客データを見てほしくて、あえてそのことをすごく言っていたというのはあります。オイシックスは完全に逆なので、データを見てくださいと言う必要がそもそもありません。

オイシックスに入ってすごく面白いなと思うのは、買い物という意味でのデータはたくさん持っているので、知らないお客さんというのはいません。どこどこに在住の誰々さんというのは、少なくとも分かっている。むしろ今のオイシックスで言うと、お客様を見ないという行為をどれぐらいできるかが課題です。プロダクトアウト型の野菜をもっとブランド化するにはどうすればいいかがテーマになってくるかな。スターバックスも無印良品も、お客様を見なくてもいい会社が見ているから強い。オイシックスも比較的それに近くて、ポテンシャルはメチャクチャ持っています。

――販売データというのは、POSデータで、何がいつどこでどれだけ売れたか、お客様のデータというのは、どこに住んでいてどんな年齢の人で、どういう検索をしてきたのかとか、サイト上でどういう行動をしたかとか、そういうようなデータですか?

[奥谷] まあそうですね。たとえば無印良品で言えば、MUJI passportを提示するのは年に5、6回とか、そんなものなんですけれども、その前後にいっぱい検索をしていたり、クチコミをしていたりするわけです。オイシックスでも、当然、どのページを見ているかとか、提案した商品の何を買っていて、何を外しているかとか、そういうデータがある。あとは、ネット通販企業なので、そこへアンケートをして、家族構成や趣味嗜好データなどの取得が体系的になってくれば、買い物以外の情報も見られるということになります。

――リアル店舗だと、奥さんが旦那さんを連れてきて、これ買おうよ、あの人がいいって言ってたのよ、みたいな会話をして、奥さんが旦那さんに買わせているみたいなのは、店舗の人は見えるんですよね?

[奥谷] もちろん見えますけど、課題は、見たからどうなのかという話です。CRMを使えばワンツーワンができるとも言えるけれども、ポイントやクーポンを発行しないと来店してくれないという仕組みにしてしまうのもちょっと怖い。

オフラインの買い物というのは、お客さんを全部知る必要はまったくなくて、体験が重要だとすると、体験して良ければ、マーケティングは必要なくなる。体験がしっかりブランドへの信用として蓄積されていれば、立地を重視してお店を出して、店を開けたら黙ってお客が来るという、以前からある消費者とブランドの関係における真理なのかもしれません。今のようなデジタルマーケティングを活用して消費者を知る時代より前からそうなっているわけです。

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最終更新:10/20(木) 21:16

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