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星稜高時代の恩師が語った松井秀喜氏「日本復帰」の条件

東スポWeb 10/19(水) 7:35配信

 ヤンキースや巨人などで活躍した松井秀喜氏(42=ヤンキースGM特別アドバイザー)の球界復帰が待望されている。16日には地元の石川県で野球教室を開催したが、古巣巨人のユニホームを着るのはいつになるのか。それともこのままニューヨークで悠々自適の日々を過ごすのか…。松井氏の星稜高時代の恩師である山下智茂氏(71=星稜総監督)が、ノンフィクションライター・松下茂典氏に「これからの松井秀喜」を大いに語った。

 松井が生まれ育った石川県で「野球教室」を開いたという。地元の野球振興を願う一人として、たまらなくうれしい。いままでニューヨーク、ロサンゼルス、東京などで「野球教室」を開いたと聞いたが、故郷での開催は、特別の思いがあったに相違ない。

 わたしはいま、高校野球の仕事で、日本全国を飛び回っている。痛感するのは、小学校、中学校の野球人口が、サッカーに比べ、減少していることだ。サッカーはボール一個あればできるが、野球はバットやグラブなどの多くの道具を必要とする。そのため、親御さんの負担が少なくない。子供たちも、サッカーはルールがシンプルなため、とっつきやすい。自分たちの個性を生かせると考える。反対に野球はルールが複雑なため、個性を生かしにくいと思いがちなのである。

 高校野球を隆盛に導いた故佐伯達夫さん(日本高野連会長)は、「高校野球の魂は送りバントにある」とおっしゃった。バントは単なる自己犠牲ではない。人を生かすことによって、自分も生きる。このパラドックス(逆説)こそが、野球というスポーツの奥深さである。

 リトルリーグやシニアリーグの指導者は、“技術”を説いても“心”を教えない。ここに、松井の出番がある。彼に期待するのは、“心”の教育である。チームメートを大切にする“心”。指導者を敬う“心”。親に感謝する“心”である。願わくば、かつて川上哲治さんや王貞治さんが全国行脚したように、いろんな場所で野球教室を開いてほしい。

 現役時代、松井のセールスポイントは大きなホームランだった。遠くへボールを飛ばす快感と喜びを子供たちに伝承してほしい。子供たちも、松井が来ることを待ち望んでいるはずである。

 ここ数年、松井は春のキャンプで臨時コーチを務め、数多くの選手を指導した。

 松井のさりげない助言で、坂本勇人(巨人)や筒香嘉智(DeNA)らがヒントを得て、今年の大ブレークにつながった。

 松井に球界復帰してほしいというファンの声があるのは承知しているが、時期尚早の感じは否めない。わたしが見たところ、松井は日米の常勝を義務づけられたチームで長年戦い、心身ともに疲れ切っているという印象がある。

 形は違うが、長嶋茂雄さんは12年、王貞治さんは6年、ユニホームを脱いで充電の時を持ち、再びユニホームを着て大成功を収めている。松井は現役を引退してまだ4年である。年齢も42歳と若い。

 疲れが癒えたなら、必ずや球界復帰を果たすに違いない。松井は言葉にしないが、球界への恩返しこそが自分に与えられた仕事だと思っているからである。(構成・松下茂典)

☆まつした・しげのり=ノンフィクションライター。1954年8月30日生まれ。石川県出身。明大卒。「新説・ON物語」(双葉社)、「松井秀喜 試練を力に変えて 5打席連続敬遠・20年目の真実」(ベースボール・マガジン社)など著書多数。近著に「ダルビッシュ有はどこから来たのか」(潮出版社)、「原貢のケンカ野球一代」(マガジンハウス)がある。

最終更新:10/19(水) 7:35

東スポWeb

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