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イーロン・マスクが狙う「エネルギービジネス帝国」

ZUU online 10/19(水) 9:10配信

電子決済、宇宙開発、電気自動車(EV)。一見しただけでは何の脈絡もないが、一つ共通点がある。米国の著名な起業家であるイーロン・マスク氏が創業者の一人になり事業化した、あるいは事業化を目指している分野だ。

PayPal、SpaceX、Tesla Motorsがそれぞれイーロン・マスク氏の手で立ち上げられた企業だが、より大きな構想がその奥に隠れていそうだ。簡単に言えば同氏の志は「エネルギービジネス帝国」とでも呼べそうなものだが、エネルギーという視点からはどのような構想が見えてくるのか探ってみよう。

■EVとエネルギーの接点とは?

「EVがエネルギー問題の解決策」と言われて、ピンと来る人は少ないかもしれない。それを読み解くカギがエネルギー効率だ。マスク氏によれば、化石燃料を直接自動車の内燃機関に使うよりも、化石燃料を使って発電した電気をEVに充電した方が効率がよいという。現在主流のガソリン自動車と比べても、持続可能性の高い輸送手段として活用できるというわけだ。

ただ移動手段としてガソリン自動車に取って代われるEVを実現するのに、課題がないわけではない。特にEVに必要不可欠なリチウムイオン電池は重量が大きく、エネルギー効率を低下させる点が問題視されていたからだ。

Tesla Motorsは課題解決のために、ロケット設計で培った技術を駆使して、総アルミ製のボディとシャーシで軽量化を図り、高速で長く走れるよう抗力係数を低くした。さらに、EVの軽量な車体と重いバッテリーの組み合わせたEVを広く普及させて、いかに優れたエネルギー効率を社会的に実現するかが、マスク氏が今後も直面する課題だ。

■エネルギーコングロマリットに挑むマスク帝国

加えてマスク氏が新たなエネルギー源として注目するのが太陽光発電だ。太陽は巨大な核融合炉の役割を果たしており、生態系全体の活動の源となっている。このエネルギーを活用した分散電源網を張り巡らそうというのが、彼の狙いだ。

テスラ・モーターズは2016年7月20日、今後10年の方向性を示した中期経営計画「マスタープラン パート2」を公表した。その中でマスク氏は、蓄電池と太陽光発電をスムーズに統合させた「ソーラールーフ」の開発計画を打ち出し、注文から、設置、サービス契約、スマートフォンアプリに至るまで、一元的に管理する方針を示している。

さらに翌8月の1日、カリフォルニア州サンマテオに本拠を置く太陽光発電のベンチャー企業SolarCityを買収することで合意したと発表した。

SolarCityは、家庭向けに太陽光パネルを設置する事業を手がけ、急成長を遂げた企業だ。企業や銀行から調達した資金を使ってソーラーパネルを購入し、初期費用ゼロで家庭の屋根に取り付けて、家や会社の持ち主から月額のリース料を受け取るビジネスモデルを特徴としている。「ソーラールーフ」計画において、エネルギー生産と貯蔵を統合する役割を担うキープレイヤーとして期待される。

一見奇想天外に見えるマスク氏のブレイクスルーを支えてきたのは、物事を本質的な真理まで煮詰め、そこから推論するという物理学のアプローチと、その推論に基づきデザインとテクノロジー、そしてビジネスをまとめ上げる能力だ。

エネルギー分野で発揮されたら、発電から送配電、販売・供給に至るまでのバリューチェーンを独占してきた既存電力業界の構図を大きく変える可能性がある。今後のディスラプションが注目される。(提供:Innovation Hub)

最終更新:10/19(水) 9:10

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