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銀行員の「セールストーク」は誰が考えるのか?

ZUU online 10/19(水) 17:10配信

「本当は買うつもりはなかったのだけれども、銀行窓口で勧められた投資信託を買ってしまった」「窓口の銀行員のセールストークについつい乗ってしまった」

そんな経験はないだろうか?

ごく普通の消費者にとって銀行の窓口というのはそれでなくとも敷居が高い。ましてや個室に通されてセールスされると、買うつもりはなくとも、いつの間にか「買わなければならない雰囲気」になってしまうこともあるに違いない。

ついついその気にさせられてしまう銀行員のセールストーク。誰が考え、どのようにレクチャーしているのか。銀行の金融商品販売の現場からお届けしよう。

■銀行員はプロのセールスマンである

多くの人は根本的に勘違いをしている。銀行員は相場を予想するプロではない。銀行員は金融商品を「販売するプロ」である。

銀行員は、いかに正確に相場を予想するかではなく、いかにたくさんの金融商品を販売し「手数料収入を稼いだか」で評価される。銀行員は「アナリスト」でもなく、「相場師」でもない。あくまで「セールスマン」として貢献することを求められているのである。

「販売のプロ」である銀行員のセールストークは実に考え抜かれている。ついつい買ってしまいたくなるフレーズが随所にちりばめられている。

■「このセールストークを使えば成約率が高いですよ」

では、誰がそうしたセールストークを考えるのか? 金融商品を組成している投信会社や保険会社である。彼らがセールストークを考え、銀行員にレクチャーしているのだ。

金融商品を売りたいのは銀行だけではない。それらを組成している投信会社や保険会社も同じだ。だが、彼らの多くは顧客に直接セールスを行うわけではない。あくまで、販売チャネルは銀行窓口である。銀行窓口でのセールスに投資信託や保険の売れ行きがかかってるといって良い。

銀行は、投資信託や保険を販売することで手数料収入を得ることができる。ならば「『手数料が高い商品』を積極的に販売しているのではないか?」という疑念を持たれる人もいるだろう。

確かに否定はしないが、銀行員の本音としては「いくら手数料が高くても顧客への説明が『難解な商品』や『手間と時間がかかる商品』は販売したくない」のも事実だ。

銀行員が積極的に販売する商品は「売りやすい商品」である。

「このセールストークを使えば成約率が高いですよ」という商品はどうしても販売が増える傾向にある。なぜ、毎月分配型の投資信託がこれほどまでに売れたのか。「毎月お小遣いを受け取れますよ」という殺し文句が日本中の銀行窓口で語られたからだ。

■セールスの研修は非の打ち所がない

投信会社や保険会社、そして銀行は「自動車メーカーとディーラーの関係」に似ている。あなたがクルマを購入するときのことを考えて欲しい。自動車メーカーに直接買いに行くことはあり得ない。自動車の生産工場へクルマを買いに行くこともあり得ない。

一般のユーザーはディーラーを通してクルマを購入する。それと全く同じことが金融商品についても言える。銀行窓口は自動車ディーラーと同じ位置づけにあると考えると理解しやすいだろう。

自動車メーカーはディーラーのセールスマンを集めて研修を行う。このクルマのどこがセールスポイントなのか。どのような説明を行えば顧客は好印象を持つのか。ライバルと比較してどういう点が勝っているのか。

銀行も同じである。セールスマンはこうした点についてしっかりと研修を受けている。マーケティングノウハウに裏付けられた研修は非の打ち所もなく素晴らしいものだ。顧客のネガティブな反応に備えた「想定問答集」も用意されており、そうした顧客にはどのように対応するかもアドバイスが行われている。

マニュアル通りに対応していれば顧客に対し理想的な商品提案が行えるようにうまく考え抜かれているのだ。

■それでもマニュアル通りはつまらない

だが、銀行と自動車ディーラーのセールスには決定的な違いがある。つい先日、私はクルマを買い替えた。自動車ディーラーを数件訪問したが、それぞれのディラーの対応は実に興味深いものだった。

A社では、駐車場で案内してくれた女性がドアを開けるなり「とてもセンスの良い革の色ですね」と話しかけてきた。恐らく、訪問客のクルマを褒めるように指導されていると想像されるが、顧客がどんなこだわりを持ち、クルマでそれを実現しようとしているのかを初対面の最初の言葉で言い当てるのは実に難しい。

私がどんなこだわりを持ち、クルマでそれをどのように実現しようとしているかは、マニュアルのどこにも書かれていないはずだ。

B社のセールマンには、私の腕時計とクルマに対する価値観を重ね合わせ、とてもユニークな提案をしていただいた。もちろん、そんなものはマニュアルにはないだろう。

こうした経験を通じ、マニュアルを一言一句違わずに暗記することがいかに馬鹿げたことかをあらためて痛感する。マニュアル通りのセールスはつまらないと感じるのだ。

「インフレに備えて資産運用しましょう」
「年金だけでは不安ですから自分で運用しましょう」

そんな定型のセールストークにどれだけの意味があるというのか。

セールスとは人と人とのコミュニケーションである。「投資なんて儲かりませんよ。ほとんどの人は損をしています。でも、面白いですよ!」そんなセールストークで、トップセールスに立つこともできるのだ。(或る銀行員)

最終更新:10/19(水) 17:10

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