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2016年はヘッジファンド不況? 際立つ「レイ・ダリオ」人気

ZUU online 10/19(水) 20:10配信

ヘッジファンドの解約ラッシュが続いている。パフォーマンスの低迷に加え、手数料の高さが嫌気されているためだ。そんな状況でもレイ・ダリオ氏率いる「ブリッジウォーター」の勢いは目立つ。その人気に迫ろう。

■長期低迷が続くヘッジファンドの運用成績

ヘッジファンドデータのユーリカヘッジ社によると、2015年のヘッジファンドのリターンは1.65%だったとのこと。ファンドの45%の運用成績がマイナスだったようだ。2016年も8月までの年初来のリターンは3.32%。昨年よりパフォーマンスは向上しているものの、米S&P500種株価指数の上昇率の半分以下となっている。

長期でみてもヘッジファンドのリターンの低迷が目立っている。2000年から2010年までのヘッジファンドのパフォーマンスは、リーマンショックの2008年(マイナス9.76%)とITバブル崩壊時の2002年(7.32%)を除いて2桁の実績だった。高パフォーマンスを背景にヘッジファンドの資産は世界で300兆円を超えた。それが2011年に欧州通貨危機の影響でマイナス1.77%に低下して以降、一桁代のパフォーマンスしか記録していない。

ヘッジファンドは、2%の運用手数料、20%の成功報酬が一般的な数字。2桁のパフォーマンスならまだしも1桁台では、投資家にとって高コストでしかない。

低パフォーマンスに加え、ヘッジファンドの根底的な問題が市場を収縮させている可能性も高い。20%という高すぎる成功報酬に対しEUの金融当局は規制を検討中と伝えられていること、またタックスヘイブン経由でヘッジファンドに投資してきた世界の富裕層が各国税務当局に厳しく追及されていることなどから、ヘッジファンド業界に逆風が吹いている。

■7月のファンド解約額はリーマンショック以来最大

米調査会社イーベストメントのリポートによると、7月のヘッジファンドの流出額は252億ドル(約2.6兆円)に達し、月間ベースでリーマンショック時の2009年2月以来の大きさとなった。その結果、年初来の流出額は559億ドル(約5.8兆円)に達している。8月の流出額は減少している模様だがトレンドは変わっていないようだ。

特に、グローバル・マクロのストラテジーとマネージド・フューチャーズのストラテジーが不振だ。マクロ・ファンドの7月の運用成績はマイナス0.83%、マネージド・フューチャーズはマイナス0.87%と低迷している。この3カ月間はマクロ・ファンドにとって2008年10月以来、マネージド・フューチャーズにとっては2004年6月以来最悪の期間となったようだ。

グローバル・マクロとは、世界中の国や地域の経済トレンドなどマクロを重視し、グローバルに株式、債券、通貨、先物などのポジションを機動的にロング/ショートにする戦略。たとえば、レイ・ダリオのブリッジウォーターやソロス氏の手法だ。

マネージド・フューチャーズは、商品を含む世界中の多様な先物・オプションを投資対象とし、相場の上昇・下降の両局面で利益を追求する投資手法。コモディティ・トレーディング・アドバイザー(CTA)ともいう。英マンやウィントンが有名だ。

ヘッジファンドの優良顧客であった米最大のカリフォルニア州職員退職年金基金(カルパース)など多くの年金運用の機関投資家の解約が相次いでいる。このままのトレンドであれば2016年の年間資金フローは、リーマンショックの2008、09年以来過去3回目の純減となりそうだ。

■ブリッジウォーターが旗艦ファンドの募集再開

ヘッジファンド苦境の中、レイ・ダリオ氏が率いる世界最大のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエーツ」は新ファンドの追加募集を開始し、多額の新規資金を集めているようだ。9月12日付けの英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)によると、新規資金は225億ドル(約2.3兆円)に達しているとのことだ。

その約4分の3は昨年設定された新規ファンド「オプティマル・ポートフォリオ」のようだ。同ファンドはブリッジウォーターの2つの主要戦略を組み合わせて運用されている。残り約4分の1は旗艦ファンドのピュア・アルファだった。ピュア・アルファは、2015、16年と運用成績が低下し運用資産減少したことを受け、2009年以来新規募集を停止していた同ファンドの追加募集を昨年開始した。

顧客の解約増で苦しんでいるヘッジファンド業界で、ブリッジウォーターのように資金を集めているのは異例のケース。ピュア・アルファの昨年のリターンは約マイナス7%、今年は約マイナス9%のようだが、1991年以降のリターンは平均で年率プラス約12%の好リターンを記録しており、募集再開を待ちわびていたファンが多かったのだろう。ヘッジファンド不況のなか、ダリオの人気がかえって際立つ結果となった。

平田和生(ひらた かずお)
慶應義塾大学卒業後、証券会社の国際部で日本株の小型株アナリスト、デリバティブトレーダーとして活躍。ロンドン駐在後、外資系証券に転籍。国内外機関投資家、ヘッジファンドなどへ、日本株トップセールストレーダーとして、市場分析、銘柄推奨などの運用アドバイスをおこなう。現在は、主に個人向けに資産運用をアドバイスしている。

最終更新:10/19(水) 20:10

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