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巨人・鈴木尚広が貫いたスペシャリストとしての生き方

デイリースポーツ 10/19(水) 14:00配信

 巨人ファンにとって、受け入れたくないニュースだったに違いない。巨人・鈴木尚広外野手(38)が13日、今季限りでの現役引退を表明。会見ではファンに向けて「数秒の中で出るか分からない僕に対し、応援してくれた。ファンの人に愛されて幸せでした」と、感謝のメッセージを述べた。

 代走での出場で、あれほどの大歓声を浴びる選手は他球団を見渡しても他にいないだろう。「実は相当なプレッシャーでした。『走れ走れ』と聞こえると、何かせかされているようで。でもあの歓声がなければ成功率はもっともっと低かった。僕にとって最大の武器でした」。通算盗塁成功率(200盗塁以上)は歴代1位の・829。鈴木が登場するだけで球場の雰囲気が変わり、相手バッテリーに重圧を与えた。

 12年から5シーズンでスタメン出場は1度だけ。すっかり“走塁のスペシャリスト”としてのイメージが定着していたが、決して足だけの選手ではなかった。08年には105試合に出場し、ゴールデングラブ賞を受賞。通算打率も・265と低くはなかった。今季はCSファーストS直前の練習でも、シート打撃で同僚の戸根や高木勇から強烈な安打も放ち、健在ぶりを示していた。

 それでも“切り札”としての立ち位置が定着してから、鈴木の姿勢は一貫していた。「自分の魅力はなんなのか。積み重ねて築き上げてきた。野球に真摯(しんし)に取り組んで、準備をしてきた。準備なくして結果はない」。シーズン中は試合終盤の出番に備え、全体練習の開始前から入念なストレッチやトレーニングを繰り返した。オフはランニングフォームを追求し、元スピードスケート選手の清水宏保氏に弟子入りしたり、太極拳の動きに興味を示したりしたこともあった。探究心と向上心の塊で、まさにプロの鏡と言える選手だった。

 秋季練習が始まった17日、鈴木はスーツ姿でナインの前に立ち引退を報告した。「性格的に不器用で、近づきにくいオーラを出してすみませんでした、とおわびしました。そうじゃないと勝負の世界で生きられなかったので」。最後は笑って、ジャイアンツ球場を後にした。ファンに残したインパクトも強烈だったが、後輩たちに残した“財産”も計り知れないほどに大きい。(デイリースポーツ・佐藤啓)

最終更新:10/19(水) 14:23

デイリースポーツ

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