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[時論]賛否両論の妊娠中絶 処罰強化よりまずは社会的議論を

聯合ニュース 10/19(水) 16:01配信

【ソウル聯合ニュース】韓国政府が、違法な妊娠中絶手術を行った医師への処罰強化方針を再検討することを決めた。

 保健福祉部は先月、違法な中絶手術を「非道徳的な診療行為」の一つとし、執刀医への処罰基準を従来の資格停止1か月から最高で資格停止12か月に強化する内容の「医療関係行政処分規則」改正案を立法予告した。

 だが、医療界や女性団体などが反発を強めたことから、同部は18日「違法な中絶手術に対する行政処分基準はまだ決定したものではない」とし、専門家や国民の意見を聞いた上で処分の対象や資格停止の期間を最終決定する姿勢を示した。

 当初、同規則の改正案を作成した目的は、医師らによる患者へのセクハラや無許可医薬品の使用、使い捨て注射器の再利用などを実質的に規制することだった。医療現場でのモラルに反する行為が問題となったことを受け、政府がこうした「非道徳的な診療行為」の類型を細分化し、行政処分の強化策を講じたのは適切な対応だといえる。

 ところが、どうしたわけか違法な中絶手術が「非道徳的な診療行為」の中に入り込んでしまった。医療界や女性団体が驚き、反発するのは当然だ。

 韓国社会において、違法な中絶手術の問題は難題だ。現行法では、本人または配偶者に遺伝的な精神障害や身体疾患、伝染性疾患がある場合、性的暴行による妊娠、妊婦の健康が危ぶまれる場合など、いくつかの例外を除き中絶は違法とされている。合法的な中絶も妊娠24週以内に限り可能だ。

 法律に基づけばごくまれなケースであるべき中絶手術だが、実際には広範囲に行われている。韓国の妊娠可能な年齢の女性のうち、20%ほどが中絶手術を経験したことがあり、その理由もほとんどは法が認めるものではないという統計もある。

 法に明確な禁止規定があるだけに、違反者は処罰せねばならないが、一方では女性の選択権尊重などのため中絶への規制を撤廃または大幅に緩和すべきだとの主張もある。

 中絶問題に関する限り、韓国社会はジレンマに陥っている。違反者を放置して現行法を形骸(けいがい)化させるわけにもいかず、かといって法を厳格に執行するのも難しいという今の状況は、はっきりと整理する必要がある。

 だが、それぞれ根拠のある賛否両論がぶつかり合っているため、まずは大変でも社会的議論を経て接点を見いだすべきだ。利害当事者たちの意見もきちんと聞かないまま、法が認めていない中絶を患者へのセクハラなどと同類とみなし、処罰を強化するというやり方は不毛な論争をあおるだけだ。

最終更新:10/19(水) 16:15

聯合ニュース