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羽生善治、「聖の青春」主人公の棋士・村山聖との交流を振り返る「貴重な思い出」

映画ナタリー 10/19(水) 21:22配信

実在の棋士・村山聖の人生を描く「聖の青春」の公開記念イベントが、本日10月19日に東京都内で開催され、プロ棋士の羽生善治と原作者の大崎善生が登壇した。

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11月19日に公開を控える「聖の青春」は、元将棋雑誌編集者である大崎の同名ノンフィクション小説をもとにした作品。松山ケンイチが村山を、東出昌大が羽生を演じている。幼少期より腎臓の難病・ネフローゼを患っていた村山は、名人位を獲る夢を抱きながらも1998年に逝去。同世代の棋士として村山と交流のあった羽生は「短いと言えば短い期間でしたが、貴重な思い出ができました」と当時を振り返り、映画化については「実際に彼と接していた1人としてうれしく思います」と語った。

劇中には村山の生活圏であった大阪・福島区周辺が多く登場し、村山が実際に住んでいたアパートでも撮影が行われたという。羽生が「20年以上経っているのにまだ残っているのはすごいですね」と驚くと、大崎は「大家さんが取っておいてくれたんです。ときどき全国から見学に来るファンもいるので」と説明。さらに「多いときは1日に2人来ることも。村山さんの部屋に入って、感極まって泣き出すファンもいるんですよ。羽生さんの生家もどうですか?」と勧め、羽生を焦らせていた。

そんな羽生は村山の印象について「対局中は険しいけれど、日常では気さくな人」と話す。そして印象に残っているエピソードとして「村山さんは高倉健さんが好き。特に『網走番外地』が好きだった」と明かし、「網走に行くと村山さんを思い出すんです」としみじみ。また村山が「羽生さんと同じ空気を吸いたい」という理由で大阪から上京してきたと大崎から聞くと、羽生は「本当ですか!? 初めて知りましたよ!」と目を丸くする。最初に出会った頃の村山を、羽生は「まだ(村山は)プロになりたてで、粗削りだった。こんな作戦で大丈夫なのかな?というところがありましたし、対局中の姿もなんだか苦しそう。二重の意味で『大丈夫?』というように見えていました」と回想。「でも指す将棋はとんでもなく冴えていた。そこは二面性というか、棋士の中でも異質なタイプなんだなと思いましたね」と続け、特別な存在として村山を見ていたことを明かした。

イベントの終盤では、村山が病を押して羽生に会いに行ったというエピソードも。村山の最後に会った棋士が自身であったということで、羽生は「そのときが最後になるとは夢にも思わなかったです。村山さんっていつもひょっこり現れてはいなくなるので。でもそうして会いに来てくれたのはうれしいです」と述べる。村山は1年間の休戦を発表していたものの、がんの転移など詳しい症状は明かしていなかったため、羽生は「当然、翌年はまた元気に出てくると思っていましたが……」と惜しんだ。

最後に映画の感想を聞かれると、羽生は「自分が出てくる映画を観るのは不思議な感覚があるんです。でも東出さんが20代のときの自分の仕草や癖をよく研究して演じてくれていました」と述べ、「東出さんって身長が高い方なので、これで自分も身長が伸びたようなイメージが付くんじゃないかな?と思いました」と笑う。また大崎も、大幅な増量を敢行した松山に対して「似ているのに驚いた。外見だけじゃなく内面まで似せてくれていて。最初から(村山と)似ていたのかな、と思うくらいよく再現してくれていました」と舌を巻いていた。



(c)2016「聖の青春」製作委員会

最終更新:10/20(木) 8:15

映画ナタリー