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【五輪ボート・カヌー会場問題】小池都知事の“足踏み”に森喜朗・組織委会長の思惑チラリ

東スポWeb 10/20(木) 6:00配信

 独断専行にくぎを刺されてしまった。2020年の東京五輪・パラリンピックの会場見直し問題で18日、国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ会長(62)と会談した小池百合子東京都知事(64)が、険しい表情を見せた。大会組織委員会と対立している小池氏は、バッハ氏を味方につけたかった。だが、バッハ氏は4者会合を提案し、都が突出することをいさめた。背後には森喜朗・組織委会長(79)の思惑がチラリ。小池氏は巻き返せるか。

 お互いに笑顔で始まった会談だが、内容は儀礼的なものではなく、つばぜり合いがみられるほど激しいものだった。

 小池氏は都の調査チームの報告を受け、ボート・カヌー会場を「海の森水上競技場」から変更することを検討。宮城県長沼のボート場が候補地として挙がっていた。この会談で、バッハ氏がどこまで小池氏の主張に理解を示すかが注目されていた。

 まず、小池氏が「会場の再点検は都知事選の公約の一つ。世論調査でも費用見直しに80%が賛成しています」と正当性を強く訴えた。これを受けてバッハ氏は「モッタイナイを避けるため、密接に協力していきたい」と小池氏も口にする「モッタイナイ」を交えて切り返し。コストカットには賛同しつつ、会場変更については明言を避けた。その上で腹案も突きつけた。

「都、日本政府、組織委員会、IOCの4者会合の作業部会で、一緒にコストについて見直すことを提案したい。そこで出した結論はモッタイナイとはならない」(バッハ氏)

 小池氏は「国民に見える形ならよろしい提案だと思う。来月にでもその会議を開けないかと(こちらからも)提案したい」と快諾するも、バッハ氏は「我々は今月中でもいいが、(都の調査チームの)報告は万端ではないと聞いている」と、より分析を深めることを要請した。

 勝負アリだった。都政関係者は「これまでは都が出した結論が最終結論かのように扱われがちでしたが、4者会合ができることで都の結論は中間報告でしかないと明確になった。つまり、小池氏が長沼に決めても、4者会合で『海の森――』にひっくり返すこともできる。IOCは独断専行の小池氏にくぎを刺しに来たということです」と解説した。

 バッハ氏の背後には、IOC委員で日本オリンピック委員会(JOC)会長の竹田恒和氏(68)がおり、さらにその背後には森氏がいる。森氏は日本体育協会会長やJOC理事を過去に務めたこともあり、竹田氏とは親しい関係にある。

「今回の会談には、竹田会長が深く関わっています。小池氏に押されっぱなしだった組織委とJOCは『4者会合』をIOCに言わせることで、勝負を五分五分に戻すことができた」(都政関係者)

 会場見直しを小池氏が主導して決められなくなったことが大きい。

 会談中、険しい表情を見せることもあった小池氏は「4者会合はこちらから提案しようと思っていた」と話すも、「これまでそんな話は聞いたことがない。強がりではないか」とは、前出の都政関係者だ。

 どちらにせよバッハ氏が先に提案したことで、主導権は小池氏の手を離れてしまった。勝ち続けてきた小池劇場にとって初の挫折といっていい。

 会場見直し問題は混乱の度合いを深めている。一部でIOCがボート会場を韓国にしようとしていると報じられたが、別の都政関係者は「あまりにも混乱するならそういう提案もできますよというブラフ。一種の圧力でしょう。本気じゃない」と指摘。

 圧力の効果というわけではないだろうが、都が「海の森――」について再試算したら約200億円もコストカットできる可能性が出てきたことが18日に判明した。

「これで『海の森――』がリードとなった。会場見直し議論のおかげで節約できたとなれば、小池氏のメンツも保てるでしょう」(同)

 一方で、見直しにより宮城県民を代替開催への期待感で盛り上げてしまっている。「復興五輪」も掲げる小池氏がメンツだけで満足するのか…。

最終更新:10/20(木) 6:00

東スポWeb