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コンビニの棚を拡大中の「洗剤」、縮小しているのは?

ITmedia ビジネスオンライン 10/20(木) 7:29配信

 最近のコンビニは、ひと昔前と比べて品ぞろえが豊富になった。スーパーなどの大型店舗との競争力を強化するために、棚を増やしてより多くの商品を取り扱うようになった。それでも品数で負けていることは否めない。そこでコンビニはどうしたのか。限られたスペースを「今、売れる商品」で埋めようと考えたのだ。

【コンビニ棚配置簡易図】

 今回は、コンビニの品ぞろえがどのように決まるのかを紹介しよう。

●時代の流れで品ぞろえが変わる

 必要なモノはほとんどそろっているコンビニだが、ずっと同じ品ぞろえではない。「今、はやっているモノ」や「新しいモノ」をいくつか置いて売れるかどうかを試した結果なのだ。

 例えば、菓子やカップめんなどの棚は顔ぶれがコロコロ変わる激戦区だ。新商品を並べてみたものの、売れ行きが芳しくなければ次の入荷はない。競争の激しいカテゴリであると言える。

 菓子やカップめんとは違い、品数を増やして棚のスペースを広げた商品がある。その1つが洗濯用品だ。1日に何十個も売れるモノではないが、あきらかにかつての状況とは違う品ぞろえになっている。

 数年前まで、コンビニで売っている洗濯用品はコインランドリーで使う小分けの粉末タイプの洗剤だけだった。なぜかというと、コンビニで洗濯用洗剤を買う人のほとんどは独り暮らしで多くの量を必要としていなかったから。また、スーパーやドラッグストアが閉まっている時間にどうしても欲しいという人も対象にしていたので、何種類も置く必要がなかった。

 ところが今は、どのコンビニでも洗濯用品のスペースにはさまざまな種類が置かれている。読者の中にもテレビのコマーシャルなどを見ていて気付いた人もいるかもしれないが、今や洗濯は「ただ汚れを落とすだけ」ではなく、「汚れを落とす+消臭・芳香」という身だしなみの一部に変わってきた。コンビニも時代の流れを受けて、それまで取り扱いのなかった消臭効果のある洗剤や香り付きの柔軟剤など、品ぞろえを増やすようになったのだ。

 このほか、コンビニでの売り場で大きな変化があった商品と言えば「デザート」だ。筆者がコンビニのオーナーだったころ、デザートの棚はプリンが1段、ヨーグルトが2段、シュークリームなどの洋風デザートで1段というのが平均的な配分だった。

 ところが、現在ではほとんどのチェーンでデザート専用の什器(じゅうき)を設置するようになった。「コンビニデザート=おいしい」という方程式を確立し、新たな売り場を自ら生み出したのだ。

●商品の配置で売り上げが分かる

 さて、これまで売り場を拡大した商品を紹介してきたが、逆に、縮小してしまった商品もある。その筆頭がガムだ。読者の中にも、年々ガムの売り上げが落ちているという報道を聞いたことがある人もいるだろう。下のグラフを見てほしい。

 確かに、ガムの売り上げは年々減少している。筆者のようなコンビニの現場を知っている人にとっては、グラフを見ずともコンビニの棚を見ればガムが売れているかそうでないかが分かる。

 実は、コンビニの棚にはさまざまな配置がありそれぞれに意味がある。下の図は、現在のコンビニの平均的な棚の形だ。

 特に、棚の端を押さえている「エンド」と呼ばれる部分はお客さんの目に付きやすく、売り上げを左右する重要なポジションだ。中でも、レジ前のエンドは「ついで買い」を誘発しやすい最も重視される場所である。長い間、この「一等地」を占領していたのがガムである。

 これまではガムがエンドの8段前後を占領していたが、最近ではグミやタブレットタイプの清涼菓子にその地位を脅かされつつある。グミやタブレットはアメと同じカテゴリに入れられていたが、ガムと同等の価値を示してきたことでその陣地を広げてきた。

 筆者が観察をしたところ、多くのコンビニでエンドにガムを置いているところが減ってきた。5割前後といったところだろうか。いずれ、エンドから追い出される日もそう遠くないのかもしれない。

●流行を知らずに売り逃してしまうことも

 季節によって増減する商品群もある。例えば、春から夏にかけては冷やし中華やざるそばなどの冷たいめん類がスペースを取るが、秋冬には温めて食べるめん類が増える。そうめんや冷麦などの乾めんも、夏場は目立つようにめんつゆと一緒に置かれるが、冬場はその影を潜める。

 実は、コンビニの品ぞろえは本部が棚割り(※)を決めている。春と秋の年に2回、暖かい時期と寒い時期に売れる商品をベースに各カテゴリのスペースを調整した棚割りを店舗に提示し、それをもとにオーナー店長が現場(店)に合わせてアレンジするのだ。

※棚割り=商品を陳列棚のどこに、どのくらい陳列するかを計画すること

 本部が品ぞろえのプロトタイプを提示し最終的な判断は店舗が行うというフローだが、たまにうまくいかないことがある。

 筆者がコンビニのオーナーを始めた10年ほど前、そのころの情報源と言えばテレビやラジオ、新聞などしかなかったので、業界が推している商品や口コミで話題になっている商品への反応が遅かった。本部がいち早くその情報をキャッチして棚割りに組み込んでも、それを分かっていない店との間に情報格差が生まれ「売れる商品を見落とす」ことも少なくなかった。

 数年前、バレンタインに「うまい棒買い占め作戦」というのがあったが、流行にうといダメオーナーだった筆者はこの波にまんまと乗り遅れてしまった。当時、店舗にネット回線を引いてはいたが、うまい棒が売り切れるまでこの情報に全く気付かなかったのだ。「もっと仕入れておけば売れたのに……」と思っても後の祭り。これほど悔しい思いをしたことはなかった。

●「今、売れているモノ」が並んでいる

 優秀なオーナー店長は、売れる商品の情報をキャッチするのがうまい。本部の提案と自分が得た情報を上手に擦り合わせて活用しているのだ。本部の推奨が絶対とは言い切れないが、ネットが普及しTwitterやFacebookなどのSNSが情報源の1つとなった現在では、店舗側の情報不足は解消されたように思う。

 コンビニは、季節ごとの戦略や短期的に売れる商品の情報をもとに品ぞろえを決めている。店内の限られたスペースは「今、売れているモノ」が並んでいるのだ。

 棚を見れば流行が分かる――そんな視点でコンビニを訪れるのも面白い。これも情報収集の1つの方法と言えよう。

(川乃もりや)

最終更新:10/20(木) 7:29

ITmedia ビジネスオンライン

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