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着々と進む密告・監視社会への司法大改悪(2) 司法取引と「盗聴」法は冤罪増やす 山口正紀さん

アジアプレス・ネットワーク 10/20(木) 6:30配信

◆冤罪の温床・司法取引

日本版「司法取引制度」は、他人の罪を密告すれば自分の罪は軽くしてもらえるというとんでもない冤罪作りの制度です。捜査機関に迎合して自分の罪を軽くしてもらおうとする「他人の引っ張り込み」を誘発するでしょう。

文書偽造、贈収賄、詐欺、恐喝、横領など対象は幅広い。捜査官が別件でこれらの容疑を捏造すれば簡単に司法取引対象事件になります。

一昨年、岐阜県美濃加茂市長が収賄容疑で逮捕されました。裁判で、贈賄を供述した人間が「ヤミ司法取引」により虚偽証言した疑いが浮上、市長は無罪になりました。これが法制化されたなら虚偽の供述で無実の人を罪に陥れる冤罪が多発する危険性があります。「死刑冤罪」の4割以上が司法取引による虚偽証言が原因と指摘される米国では、冤罪の温床だとして司法取引制度を見直す動きがあります。日本はなぜ逆を行こうとするのでしょうか。

◆傍受は警察判断

もう一つが「盗聴法」の大改悪です。通信傍受法=盗聴法は1999年、市民の反対を押し切って強行採決されました。組織的殺人、銃器、薬物、集団密航の4類型に限定されましたが、今回、「強盗、窃盗、詐欺、恐喝、児童ポルノ」など一般犯罪9類型を新たに加える大「改正」になりました。通信事業者の立会いなどもなくなり、警察の判断でどんな事件でも盗聴できる「使いやすい盗聴法」です。

軽微な窃盗事件などを口実に公安警察が労働組合や市民団体を盗聴する恐れもあります。電話だけではなくメールもです。スノーデンファイルは米国が国家として盗聴していたことを暴きましたが、日本もこれから公然とこれをやるということなのです。

通信の自由、表現の自由を妨害する。そんな法律が通ってしまいました。これが秘密保護法と共謀罪捜査に使われたら究極の監視社会=戦争する国の治安装置になるでしょう。問題点を報じず、報道の使命を放棄したメディアも、危険な法案を可決させた大きな責任があると思います。

◆密告と予断捜査

共謀罪は刑法の大原則をねじ曲げる司法の大改悪です。私と誰かが 「あいつ気に入らん。やっつけよう」と電話で話したら共謀罪。警察は既にメールを盗聴していますから、冗談にでもメールでそんなやりとりしたら「引っ掛け」られてしまうかもしれません。

そこで起きるのが司法取引による密告奨励です。「誰々に相談した」と言わせ、その誰かを司法取引に基づいて盗聴する。秘密保護法に関連するものがあれば「共謀、教唆、煽動」などとして周囲の人間も広く処罰できます。そこに共謀罪が加われば「戦争する国」の治安法の完成です。

警察の思うまま、あらゆる「団体」を「組織的犯罪集団」と決めつけ捜査対象にし、盗聴・密告により刑事事件をねつ造する。完全な監視国家です。安倍政権の狙いはここにあると思います。ターゲットは我々なのです。(おわり)(整理 うずみ火新聞/栗原佳子)


※本稿は2016年9月10日、大阪市立福島区民センターで行われたジャーナリスト山口正紀さんの講演「報道されない『戦争する国』の治安法」の要旨です。

最終更新:10/20(木) 6:30

アジアプレス・ネットワーク

北朝鮮からの脱出
北朝鮮での幼少時代、『ここは地球上最高の国』と信じていたイ・ヒョンソだったが、90年代の大飢饉に接してその考えに疑問を抱き始める。14歳で脱北、その後中国で素性を隠しながらの生活が始まる。 これは、必死で毎日を生き延びてきた彼女の悲惨な日々とその先に見えた希望の物語。そして、北朝鮮から遠く離れても、なお常に危険に脅かされ続ける同朋達への力強いメッセージが込められている。