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静岡県 外国人子ども支援員養成講座 来日児童生徒をどう受け止めるか (7、終わり) 教育の枠組みを練り直す時期では

ニッケイ新聞 10/20(木) 6:00配信

(ブラジル邦字紙「ニッケイ新聞」18日付け)



 4年間のエクアドル生活から帰国すると、日本の学校にはしきたりやルールが無数にあった。


 娘たちは疑問を持ちながらも必死に順応しようとしたが、家庭ではその疑問が怒りや反抗や疲労となって表れた。学校では自分を出すどころか「どうして」と聞くことすらできない。息苦しさに悩み、何度も学校と話し合ったが最終的には「みんなが勝手なことをしたら学級崩壊してしまいます」と言われ、娘たちも私自身も困惑した。わがままをしようとしているのではない。素晴らしいといわれていた個性が、学級崩壊の原因とまで言われるとは…。

 帰国してからの課題はスペイン語の維持だと思っていたが、それ以上に、いろいろな価値観や方法があるのはいいことだということを、どう信じ続けてもらうかが、切実な課題になった。日本人が親でもこのカルチャーショックだ。

 来日した外国人の親と子は、なおのことそうした焦燥感や喪失感、ときには敗北感すらも感じさせられているだろう。

     ◎   
 「のびっこクラブみしま」の石井さんは言う。

「(市町が)貴重な多文化人材が周りの子供たちに与えるメリットをイメージできたとき、全体の問題として教育の分野で取り組むことができるのではないでしょうか」。

 公的な支援についてはっきりしているのは、費用すべてを市町が負担できるわけではなく、必要な支援すべてを学校内で終わらせられる訳ではないということ。

 だが、学校内で完結させる必要もない。子供たちを助けたい、応援したいと熱意を持っている日本人・外国人がいる。民間の団体やネットワークもある。公の役割は、それらをうまく結び付けて育てる補助をすることではないだろうか。

 文科省はすでに学校教育におけるJSL(第2言語としての日本語=japanese as a second launguage)カリキュラムを開発し、指導方法などを公開しているが、これが普及し活用されているかは疑わしい。

 外国につながる子供に、母語や自国の文化を生かして活躍してほしいとはよく聞くが、多様性を積極的に取り込んでいく土壌がなければ、根を張ることはできないし、咲く花も咲かない。

 多文化共生を目指すならば、加算的なバイリンガル育成を図り、文化的なアイデンティティを尊重・保持しするところまで考える方向性を持ちたい。

 支援が必要な子供は地域にとって「お荷物」でも「問題」でもない。行き詰まった教育を変える「鍵」ではないか。

 学校教育全体に目を向ければ、他にも問題はたくさんある。日本で育った日本人でも学校へ通いにくい子、不登校の子は非常に多い。文科省の学校基本調査によると、2014年度の不登校の数は小学校2万6千人、中学校9万7千人で、毎年千人単位で増加してきている。今の学校の在り方が、子供たちの現状に即していないことの表れではないだろうか。

 これまでの枠組みに無理やり当てはめようとせず、根本から枠組みを作り直さなければ、刻々と多様化している世界から日本は置いて行かれるかもしれない。
 同じ市や町で生きる者として、外国人も含めた住民の誰もが、それぞれの能力を発揮しながら明るい将来像を描ける生活環境をどう整えるか。このような、足元にある「内なる国際化」こそが最も切実な課題ではないか。


 多様性の国、ブラジルからオリンピック・パラリンピックの旗が日本に渡された。4年後日本は世界にどんな姿を見せるのだろう。
(終わり、静岡県発=秋山郁美通信員)

最終更新:10/20(木) 6:00

ニッケイ新聞

TEDカンファレンスのプレゼンテーション動画

うん、核融合炉を作ったよ
核融合こそ未来のエネルギー問題への答えであり、子どもにだって世界は変えられる、テイラー・ウィルソンはそう信じています。そして彼はそのどちらにも取り組んでいます。14歳の時に家のガレージで核融合炉を作り、17歳となった今、直前の依頼に応えてTEDのステージで自分の物語を(手短に)語っています。