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【インタビュー】テスタメント「やっぱり会場で観る楽しさは別物」

BARKS 2016/10/30(日) 16:18配信

カリフォルニア出身のスラッシュ・メタルのベテラン・バンド、テスタメントがスタジオ・アルバムとしては通算11枚目の新作『ブラザーフッド・オブ・ザ・スネイク』を10月28日にリリースする。バンドの中心核であるエリック・ピーターソンにインタビューをした。

◆テスタメント画像

――前作『DARK ROOTS OF EARTH』のリリースから4年が経ちましたが、その間に三度の日本ツアーを行ないました。2013年の『THRASH DOMINATION』、2014年のDEVILDRIVERやUNITEDらとの巡業、2015年の<LOUD PARK>の3回です。それだけツアーを長く行なっていたということですが、1枚のアルバムで三度も日本に来るのはこれまでなかったことです。

エリック・ピーターソン:ああ、幸運だったよ。<LOUD PARK>にも呼んでもらえたし、『THRASH DOMINATION』では普段の俺達よりも上手くこなすことができた。最高だった。

――アメリカやヨーロッパをまわっていて、ここ数年で観客の顔触れに変化はありますか? 昔からのファンも来ていると同時に、10代、20代のファンもいて客層が若返っていると感じることはありますか?

エリック・ピーターソン:ああ、どんどん新しい命が生まれているからね。そして誰しも歳も取るから(笑)、年齢層は広がっているよ。ああ、特にスラッシュ・メタルでは、全く新しい若い層がこういう音楽を発見しているようだ。こういうエクストリームな音楽を。もちろん新しいバンドも沢山誕生しているから、最初はそういったバンドに夢中になったんだろう。彼らと同じ年代のバンドだ。そして、若いバンドがインタビューで話しているのを聞いたり読んだりして、彼らがどういったところから影響を受けているのかを知り、さかのぼって聴いてみようと思ったのがきっかけなのかもしれない。俺達は自分達の知らないところで新しいファンを獲得しているんだろう。だが、一番の理由は、俺達がずっと活動を続けていて、実際に観に来られるからじゃないかな。ツアーを続けるというのが俺達の音楽ジャンルの真髄みたいなものだからね。俺達の音楽を実際に体験するというのは、スポーツ・イベントのようなものだ。TVで試合を観るのも楽しいけれど、やっぱり会場で観る楽しさは別物だ。それが俺達の音楽にも言えることだ。

――昔からのファンが自分の息子を連れて来て一緒にライヴを楽しんでいる姿が目に入ったりもしますか?

エリック・ピーターソン:ああ、母親と娘もいるよ。父親と息子だけじゃないね。それに一家で来ていたりする。俺達にはバンドの初期に友達になった奴らが大勢いるが、まず彼らが自分達の子供を連れてくれるようになった。5~6歳ぐらいの可愛い子供達で、ヘッドホンを着けてね。そういうのを見ていると、時間が経つのはあっという間だと実感するよ。最近もオランダにいる友人達に会った。向こうのフェスティバルに出たりしていたから。それで向こうの友達の1人が娘を連れていくと行ったからOKと言ったんだが、実際に会って、彼は新しいガールフレンドを連れてきたと思った(笑)。娘だと言われて驚いたよ。ああ、本当に時間はあっという間に過ぎる。時が経つのはびっくりするくらい速いよ。

――前作のツアーの途中で、バンドを辞めたグレッグ・クリスチャン(B)の代わりにスティーヴ・ディジョルジオが加わりました。スティーヴは以前にもテスタメントで演奏していたことがありますが、再び彼と活動するようになってバンドの何が変わったと思いますか?

エリック・ピーターソン:要は(溜め息)…本気で入れ込んでいる奴がいるかどうか、ということだよ。グレッグは個人的に色々な問題を抱えていてね。その話はグレッグ本人にしか語れないだろうけれど、傍から見ていると、どういう問題があったにしろ彼はハッピーに見えなかった。ツアー中にハッピーでいられないというのは、バンドにとっても良いことじゃない。バンドというのはチームとしてやるものだよ。特にライヴではそうだ。またスポーツに喩えるけど、やる気のない選手がいると、ボールを投げても捕っても捕らなくてもどちらでもいい、みたいな感じになってしまう。それと同じだ。だから俺達は本気でやる気があって、チームの一員でいたいと思ってくれるプレイヤーを見つけた。スティーヴは素晴らしいベース・プレイヤーだ。俺達は、引退状態だった彼を呼び戻したという感じでね。彼は少し前にこの業界にちょっと失望させられたんだと思う。彼は色々なことをやってきたけれど。前に俺達と一緒にやっていた時…2000年代の初期にも、あの後彼は色々なプロジェクトに関わっていたし、スキッド・ロウのプロジェクト(セバスチャン・バックのバンド)もやっていたと思うけれど、彼は自分のやっていたことに少し疲れていたんだろう。それで普通の仕事に戻っていたのさ。そして俺達にグレッグの問題が起こって、彼に声をかけてみたら「収入は必要だが、今の仕事で幸せなわけではない」という返事だったんで、「俺達は今、第二の波みたいなのに乗っているところだ。ツアーをどんどんやっている。それにツアーをやっていない時は他のプロジェクトをやることも可能だ」と言った。俺達ももう若くはないんだから、このバンドしかやってはいけない、というのではないんだ。基本的には、俺達全員が上手くやっていけるのは、決まったスケジュールがあるからだ。そのスケジュールで全員が納得しているから続けていける。それが俺達のこのバンドでの活動方法だ。だからスムーズに物事を進めていける。そして、この期間にはテスタメントは何もやらないとわかっていれば、他のプロジェクトをやることもできるんだよ。

――スティーヴとジーン・ホグラン(Dr)というコンビネーションはメタル界で最強のリズム・セクションのひとつです。彼らと組むことで、あなたの曲作りや創造性に何らかの影響や刺激はありましたか?

エリック・ピーターソン:ああ、ライヴでは特に彼らと一緒にプレイできるのは最高だよ。素晴らしいエネルギーがたっぷりある。ジーンは電波時計と呼ばれているくらいだ。リズムが正確だからね。彼がしっかりと基礎を固めてくれるから、その上に積み上げていけるんだよ。ドラム・ビートが、そして君の言うとおりリズム・セクションが正確でタイトだとわかっているから、ステージの上でもギターもヴォーカルも自信を持ってやれるし輝ける。だから間違いなくチームワークだね。そうすることで俺達は互いをより良いプレイヤーにしているんだ。それに付いてこられないドラマーだったら、曲の素晴らしさを充分に表現することなんかできないからね。

――アルバムは特にアグレッシヴなタイトル・トラックで始まります。ギター・リフ、ジーンの多彩なリズム、2本のギター・アレンジ、チャックのブルータルなシャウト、どれもが強烈なインパクトを放っていますが、この曲は書き上げた当初からアルバムの幕開けだと感じましたか?

エリック・ピーターソン:いや、実は「The Number Game」がオープニングになるだろうと思っていたね。あるいは「Centuries Of Suffering」かな。もうひとつの速いスラッシュ曲だ。あっちの方がちょっとシンプルで、キャッチーだけれど、新しいというか、モダンなひねりがある。どういうバンド、どういうジャンルという比較は思いつかなくて、完全にテスタメントなんだが、新しいサウンドが聞こえる。それが何なのか説明できないんだが…。もしかしたらトーンのせいかもしれないし、プレイの仕方かもしれないし、アンディ(スニープ)のミックスのせいかもしれない。とにかく、新しくてモダンなサウンドがあると俺には思えるね。

――「Black Jack」からブリティッシュ・ヘヴィ・メタルを感じました。特にツイン・ギターという意味で。アイアンメイデン、そしてアイアンメイデンにも影響を与えたシン・リジーを感じたりしました。あなたにとって奇妙な感想かもしれませんが。

エリック・ピーターソン:いや、素晴らしい推論だよ。この音楽には間違いなくニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィ・メタルが入っているのが俺にもわかる。2本のハーモニー風のギターは、よりモダンな感じになっているけどね。この曲は、実は俺がソロを弾いている曲でね。通常はアレックスがこのバンドのリード・ギター・プレイヤーなんだが、最近のテスタメントの曲では、俺も少しソロを弾くようになっていて、「More Than Meets The Eye」(2008年発表の『THE FORMATION OF DAMNATION』に収録)では本格的に2人でソロを掛け合いで弾いたりしている。

――「Canna-Business」のイントロはジューダス・プリーストを思わせるほどに荘重です。歌詞の内容は? マリファナのビジネスであることはタイトルからわかりますが。

エリック・ピーターソン:この曲はチャックのアイディアから生まれている部分が大きいんだ。音楽的にはそのとおりだよ。間違いなく初期のものから影響を受けている。初期のメタリカなんかもあるかもしれない。そしてやはりOLD MAN'S CHILDだね。俺は不協和音を使ったりしているし、グルーヴの一部は初期ジューダス・プリーストのものだ。特に、そのとおり、イントロにはそういうサウンドがある。「Electric Eye」のイントロ(『The Hellion』)か何かみたいな。Y&Tやジューダス・プリーストの時代のものが確かにあるよ。歌詞の内容については、マリファナを吸うことについてじゃなくて、マリファナにはいったい何ができるかというものになっているんだ。大麻には医療的にポジティヴな要素もある。アメリカではその辺に自然に生えているもので人工のものではない。それに一部の犯罪を防ぐこともできているし、人工の医薬品の代わりに癌患者の苦痛を和らげる上で役に立つことも間違いなく明らかになっている。leafer madness(狂気の葉)みたいなイメージは、30年代や40年代の映画から来ているんだよ。マリファナを吸って誰彼構わず皆殺しにする、みたいなね。(笑)

――日本のファンに何か伝言があれば。

エリック・ピーターソン:30年間サポートしてくれてありがとう。日本に行く度に同じ顔触れに会えるのは本当に凄いことだよ。初めて日本に行ったのは『PRACTICE WHAT YOU PREACH』(1989年)の時だった。それ以来、俺達はずっと日本が大好きだ。俺は日本食も大好きで、沢山の日本料理の作り方を俺は学んでいる。最高だよ。今度日本に戻ったら、いつもより少し長めに滞在できたら嬉しいよ。俺は少し残って日本のものを楽しんでみたい。特に食べ物をね(笑)。

取材・文:奥野高久/BURRN!
Photo by Gene Ambo

テスタメント『ブラザーフッド・オブ・ザ・スネイク』
2016年10月28日 世界同時発売
【通常盤CD】 ¥2,500+税
【完全生産限定CD+Tシャツ】 ¥5,000+税
※日本盤限定ボーナストラック/歌詞対訳付き/日本語解説書封入
1.ブラザーフッド・オブ・ザ・スネイク
2.ザ・ペール・キング
3.ストロングホールド
4.セヴン・シールズ
5.ボーン・イン・ア・ラット
6.センチュリーズ・オブ・サファリング
7.ブラック・ジャック
8.ネプチューンズ・スピア
9.カナ・ビジネス
10.ザ・ナンバー・ゲーム
《日本盤限定ボーナストラック》
11.アポカリプティック・シティ(リ・レコーデッド・ヴァージョン)
12.ブラザーフッド・オブ・ザ・スネイク(オルタナティヴ・ミックス)

【メンバー】
チャック・ビリー(ヴォーカル)
エリック・ピーターソン(ギター)
アレックス・スコルニック(ギター)
スティーヴ・ディジョルジオ(ベース)
ジーン・ホグラン(ドラムス)

最終更新:2016/10/30(日) 16:18

BARKS