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「チケット転売」はアリ?ナシ? 音楽業界とサイト運営者、それぞれの思いは

AbemaTIMES 2016/12/14(水) 15:03配信

(C)AbemaTV

■声を上げるミュージシャンたち

 「音楽を楽しみたい人が締め出される非常事態だ」。

 今年8月、名だたるミュージシャンたちがチケットの高額転売に反対する声明を発表した。

 その一方で、現在のチケット販売制度自体に疑問を投げかけるアーティストもいる。その一人、ボーカリスト・ぼくのりりっくのぼうよみは「紙のチケットってほんとに効率わるいのを痛感する」とツイート。

 このようにアーティスト自身がチケットのシステムについて声を上げる背景には、音楽には興味は無いが、利益を求めてチケットを買い占め高額で売りさばく「転売」という行為が盛んになっている実態がある。

 500億円規模とも言われる”チケット転売市場”の主役は、ここ数年で急速に普及したチケット販売専門サイトだ。あるサイトでは、入手が非常に難しいと言われるアイドルグループ「嵐」のチケット(8500円)やAKB48の島崎遥香さんの卒業公演チケット(3100円)がいずれも50万円という高額で取引されていた。

 チケット転売サイトはリスクも少なく、スマホで簡単に売買できる手軽さから、利用者も年々増加している。音楽ライブの人気の高まりもあって、転売市場は今後3年で800億円に拡大するという予測もある。

 ネットでの転売システムが拡大していく状況では、転売目的の買い占めや取引価格の高騰により、本来のファンやお金のない若者がライブに参加することが難しくなり、音楽業界や市場への悪影響も懸念もされる。

■現行法では「グレー」行為

 そもそも、チケットを転売する行為自体に、法的な問題点は無いのだろうか。

 骨董通り法律事務所の福井健策弁護士は「転売されたチケットを営業として売買する行為は”古物営業”としての許可が必要。しかし、行けなくなったチケットを売ることが古物営業法で規制できるかというとグレーだ」と説明する。

 では、いわゆる「ダフ屋行為」と呼ばれる違法行為との違いは何なのだろうか。福井弁護士によると、「ダフ屋行為」とは「公共の場所」でうろついてチケットを転売すること、買うことを指し、法律で禁止されている。しかし、ネット上が「公共の場所」にあたるかというと、これもグレーだという。

 最近ではライブ会場前でのあからさまなダフ屋行為は少なくなってきており、会場周辺はネットで既に売買が成立した人たちの単なる待ち合わせの場所として使われるケースが多いようだ。

■音楽業界と転売サイト運営者の、それぞれの意見は

 日本音楽制作者連盟理事の野村達矢氏は「次世代の音楽、音楽の未来を守る」と話す。

 「アーティストは一つのコンサートを作るのに、どれだけコストダウンして、チケットを安い価格でファンに届けることができるか、それを念頭において活動している。つまり、最初に売り出したチケット価格にもメッセージが込められている。自分たちの知らないところで価格を変えられて売られているという状況に心を痛めている」と、アーティストたちの思いを代弁する。

 現時点の対策としては「顔認証」も導入されている。その名も「ノンストップ顔認証システム」だ。

 このシステムでは入場する際にチケットをタッチすると、事前に登録された顔写真とカメラが照合して瞬時に本人確認できるというもので、人による目視に比べ、入場時に確認の時間が大幅に削減できる。

 野村氏は「チケットを買ったということは契約が成立したということ。そこをしっかり理解してチケットを買ってほしい」とした上で、「やむを得ずコンサートに来られなくなってしまった際の救済制度は、今業界でも話し合いをしている」と、公式のリセール(再販)マーケットを2017年の早い段階で実施すると明かした。

 一方で批判に対して「日本は市場経済なので、一度手に入れたチケットをどのように使うかは自由だ。」と、転売サイトを運営するチケットストリート代表取締役の西山圭氏は反論する。

 西山氏は「例えば、アリーナ席が当たったけど、お小遣いが欲しいから二階席でいい、という人と、熱狂的ファンでどうしてもアリーナ席で見たいという人など、お互いのニーズを満たすには転売というシステムも必要だ。」と訴える。

 また、「日本のアーティストがクールジャパンで海外に売り出しはじめている中で、日本のライブチケットを海外の方が買うことができる環境というのは我々が支えていく」として、海外に住んでいる人が手軽にチケットを入手できる点もメリットとして挙げた。

■ネットのアンケートでは「規制すべき」派が多い?

 世間の声はどうだろうか。「Yahoo!意識調査」によると、「規制すべき」が75.1%「規制する必要はない」が20.7%となっており、多くが転売に否定的な意見をもっている。

 ネット上には、
 
・「販売価格×最高150%+送料のように、金額の上限を明文化するべきだ。」(規制賛成派)
・「『譲渡禁止』と明示されたチケットを売る場合、サイトと出品者を法的に追及できるようにすれば十分」(規制反対派)

 など、様々な意見が飛び交っている。

 メリットもデメリットもあるチケット転売。果たして今後どのような動きを見せるのだろうか。

最終更新:2016/12/14(水) 15:52

AbemaTIMES