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<突然死防止>AIで赤ちゃん見守り 神戸のベンチャー企業

毎日新聞 1/10(火) 15:06配信

 神戸市のベンチャー企業「シンクチューブ」が、人工知能(AI)や動画カメラを活用し、睡眠時の乳幼児の突然死の兆候を見つけ出す見守りシステムの開発を進めている。現在、市内の保育施設で実証実験を進めており、1年以内に実用化にめどをつけたい意向だ。突然死で亡くなる乳幼児は年間100人前後に上り、保育関係者からも期待が寄せられている。

 「この画面の赤色の波形が脈拍を示しています」。神戸市内の保育園で昨秋、シンクチューブが同市の支援を受けて開発中の「非接触型バイタルモニタリング」の実証実験が行われた。お昼寝中の幼児たちに、海藻(かいそう)敬之社長がそっとカメラを向けて焦点を合わせると、寝顔の上に脈拍を表す数字やグラフが現れた。

 幼児の映像をAIなどで解析し、顔色の変化や胸部の動きで脈拍や呼吸の有無・回数を判別する。脈拍や呼吸に異常が生じると、インターネットを通じて保育士らのスマートフォンなどに自動で警告を送る。カメラ1台につき3、4人を同時にモニタリングできる。その場にいなくてもパソコンやタブレットで映像を見て状況を確認でき、個々のデータの記録保存も可能だ。

 開発を始めたのは2015年11月。海藻社長が知人から「子供を突然死で亡くした」と聞かされ、突然死を身近に感じたことがきっかけだった。厚生労働省によると、14年度に146人、15年度に96人の乳幼児が突然死で亡くなっているが、予防法は確立されていない。センサー・通信技術によるネットワーク開発を手がけてきた海藻社長は「突然死を防ぐため、我々の技術を生かせないか」と考えた。

 乳幼児の見守り技術は、体の下に敷くマット式や、体に貼り付けるセンサーがあるが、マット式は高価な上に寝返りで外れたり、隣の幼児の動きを拾ったりすることもある。貼り付け式は肌の違和感を嫌がる幼児も多い。そのため、同社は安価な動画カメラの映像解析により、非接触で見守る方式を採用した。保育施設での活用を想定しており、将来は家庭での活用も目指す。海藻社長は「100%防げるわけではないが、機械が見守りをバックアップすることで、保育士や親の負担軽減になる」と語る。

 実験に協力した保育園の保育士は「突然死はいつ起こるか分からない。泣いたり、むずかったりする子の対応に追われ、全員に目が届かない時もある。代わりの見守り技術があれば助かる」と期待する。【吉永康朗】

最終更新:1/10(火) 17:50

毎日新聞