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コンビニ、ラーメン店…不法滞在外国人の“就業先”身近に 捜査当局が取り締まり強化へ

産経新聞 1/10(火) 16:30配信

 留学生や、働きながら技術を学ぶ技能実習生として来日した後、姿をくらます外国人が後を絶たない。昨年7月時点でそうした不法滞在の外国人の総数は6万3492人。昨年は彼らに仕事を斡旋(あっせん)するブローカーが摘発されたが、捜査当局は「雇う側」への取り締まり強化も狙っている。捜査幹部は「不法滞在の外国人の受け入れ先がなくならないことが不正の温床になっている」と指摘。不法就労を支える“インフラ”に捜査のメスが入るのか。

 ■「やり手の外国人社長」を気取る男…その素顔とは

 事務機器が並ぶオフィスで、カメラに視線を向ける男。濃紺のスーツに身を包んだその表情はどこか誇らしげに見える。

 警視庁組織犯罪対策1課が昨年12月、入管難民法違反(資格外活動の幇助(ほうじょ))の疑いで逮捕したアツウア・エリック・ジュウモア容疑者(35)がフェイスブックに投稿した写真だ。

 ジュウモア容疑者は自身のプロフィルをCEO(最高経営責任者)と紹介。組対1課が動いた事件の舞台となったのは、同容疑者が代表を務める、まさにこの会社だった。

 登記簿などによると、会社は平成24年3月に資本金1600万円で設立された「SFLグループ」。千葉県山武市が本店として登録されているが、27年1月以前は東京・赤坂に拠点を構えていた。

 事業内容はコンサートやイベントの企画・運営や飲食店の経営など多岐に渡り、昨年8月にはジュウモア容疑者の逮捕時の居住先となっていた沖縄県で音楽イベントを主催している。

 「やり手の外国人社長」として振る舞っていたジュウモア容疑者だったが、裏の顔を持っていた。

 ■事件発覚のきっかけはネパール人の「仲介人」

 事件の端緒は、組対1課が昨年11月、ネパール人の男を入管法違反事件で摘発したことだった。

 男はネパールから留学名目で来日した同胞に、在留資格を不正に変更させて仕事先を斡旋する「仲介人」の役割を担っていた。

 組対1課がブローカーとして暗躍した男の背後関係の捜査を進めていくなかで、ジュウモア容疑者の存在が浮上した。「ジュウモア容疑者は、男から紹介されたネパール人を自分の会社で雇用したように偽って、入管への在留資格変更許可申請を出させた。そうしてネパール人らはまんまと日本国内での就労が可能なビザを取得することに成功した」(捜査関係者)。

 組対1課の調べによると、ジュウモア容疑者は同様の手口での犯行を繰り返し、1人あたり50万円の報酬を受け取っていた。26年3月から昨年10月までネパール人や自身の出身国であるガーナ人ら24人の不正に関わり、1000万円以上の利益を得ていたという。

 ジュウモア容疑者とネパール人の仲介人の男は22年ごろ、東京都中野区の専門学校で知り合っており、互いのネットワークや経験・知識を共有しあうなかで、共犯関係を結んだとみられる。

 ■捜査当局は不法滞在者の“受け皿”を警戒

 事件はここで留まらなかった。不法に滞在している外国人の受け皿の存在が浮かんだのだ。

 「ジュウモア容疑者らが不正なビザ取得に関わったネパール人がどこで働いていたか。多くは東京都内や神奈川県のコンビニや飲食店で働いていた」と捜査関係者は解説する。

 ある捜査幹部は「コンビニや飲食店は慢性的な人手不足に悩まされている。そのため採用時の身分照会が甘くなりがちだ。不法滞在者が混じる余地は十分ある」と指摘する。

 実際に雇用側が摘発された例も相次ぐ。昨年6月には不法滞在のベトナム人を働かせていたとして、入管難民法違反(不法就労助長)容疑で、ラーメン店運営会社社長や、アルバイトの人事権を持つ店舗の店長ら計11人を書類送検した。

 法務省によると、昨年6月末現在の在留外国人数は230万7388人で、前年末に比べて7万5199人増加し、過去最高を記録した。その一方で、5年に29万8646人を記録して以降、減少を続けていた不法滞在者数は27年から増加に転じ、昨年7月の時点で6万3492人に達した。

 組対1課幹部は「3年後に迫った2020年東京五輪・パラリンピックに向け、日本を訪れる外国人の数は増え続ける。流入する人の波に紛れて不法滞在者の数も増大する恐れがあり、受け皿の取り締まりを強化する必要がある」と力を込めた。

最終更新:1/10(火) 16:30

産経新聞

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