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<VW不正>経営基盤強化遠く 対応費積み増し必至

毎日新聞 1/11(水) 21:18配信

 【ロンドン三沢耕平】排ガス規制逃れ問題を起こした独自動車大手フォルクスワーゲン(VW)が、罰金や民事制裁金として43億ドル(約5000億円)を支払うことなどで、米司法省などと和解する方向となった。VWが10日、発表した。堅調な中国販売に支えられて世界販売で首位を奪取する見通しとなったVWだが、排ガス問題が収益の重しとなる状況は続く。

 「昨年は試練の年だったが、今年は信頼を取り戻す」。米デトロイトで開催中の北米国際自動車ショーでこう述べたVW幹部だが、不正の傷痕はいまだ、経営基盤を揺さぶる。

 VWは昨年、米国の利用者や環境当局に約160億ドルを支払うことでも和解した。今回の和解を含めると、米国でVWが支払う補償や罰金などは200億ドルを突破。これまで積み立ててきた不正対策費も不足する。VWは2016年12月期決算への影響を「見通せない」と説明するが、対策費の積み増しは必至だ。

 一方、欧米メディアによると、不正が行われた車を保有する欧州の顧客が買い取りや補償を求めてVWを提訴する動きも出ている。不正対象車約1100万台のうち約850万台は欧州で販売されたもの。VWは欧州ではリコール(回収・無償修理)で対応する方針だが、訴訟の動きが広がれば、新たな経営リスクに発展する。

 VWは10日、16年の世界販売台数が前年比3.8%増の1031万2400台となったと発表。過去最高を更新し、トヨタ自動車を抜いて首位の座に立つのが確実となった。マティアス・ミュラー会長は声明で「厳しい環境の中で事業を安定させることができた」としたものの、収益基盤は盤石とは言えない。

 首位躍進をけん引したのはグループ全体の売上高の約4割を占める中国市場。小型車の減税効果もあって同12.2%増の398万台を売り、欧州市場の420万台に迫る勢いとなったが、景気減速で販売にブレーキがかかる懸念が残る。一方で米国市場は同2・6%減の59万台にとどまった。新型のスポーツタイプ多目的車(SUV)を投入して立て直しを図るが、イメージ回復は難しい。

 VWは15年12月期、22年ぶりに通年での最終(当期)赤字に転落。昨年11月には、全世界の従業員の約5%に当たる3万人を20年までに削減するリストラ計画を発表し、収益改善のシナリオを示した。ただ、不正の温床となったディーゼル車から電気自動車(EV)への転換を進める中、研究開発などにかかる費用も膨張しそう。不正対応のステージを脱し、新たな成長軌道に乗る道筋はまだ見えない。

最終更新:1/12(木) 0:28

毎日新聞

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