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【極対談】46歳でBリーグ現役の折茂武彦、ラグビー界の鉄人・大野均に「40代まで現役でいける」

サンケイスポーツ 1/12(木) 5:00配信

 第15回はラグビー日本代表で歴代最多の98キャップを持つ大野均(38)=東芝=と、プロバスケットボール・Bリーグ北海道で選手兼社長を務める折茂武彦(46)の登場です。年齢を感じさせない活躍で鉄人と呼ばれる2人が、現役生活を長く続ける極意などを語り合いました。ベテランならではの含蓄のある掛け合いをどうぞ!! 

 大野 「46歳でプレーを続けられるのは、すごいですね」

 折茂 「まず、一番はけがをしないことでしょう。けがを回避するためには、練習で100%集中してやること。僕は、まったく自主練習をやらない。そのときの(チーム)練習がすべてだと考えている。(得意な)シューティングもやらないんですよ」

 大野 「若いときからそうなんですか。東芝は厳しい練習が伝統です。不安になりませんか?」

 折茂 「まったく不安にならないです。平気でシーズンオフの3カ月間とか、何もしないで休みます。トヨタ自動車(現アルバルク東京)時代の米国人コーチ(ジャック・シャロー)の影響が大きい。彼に『長いシーズンでプレーを続けてきたから、オフはボールを触るな。いずれ触りたくなるから、そのときに触ればいい』と言われて…。彼はボールに触るなと言ったけど、練習しては駄目とは言っていなかったんですが(休んでいる)」

 大野 「ラグビーは2015年のW杯(イングランド大会)で3勝という、日本にとっては歴史的な結果を残しましたが、それはエディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(当時)の厳しい練習があったから。キツい練習には慣れています」

 折茂 「僕も一時は日本代表を離れていて、そろそろ現役引退も考えていた頃もあった。でも、36歳のときに日本代表のジェリコ・パブリセヴィッチ監督(当時)に呼ばれた。エディーさんもすごく厳しかったと聞いているが、同じように厳しい指導者だった。でも、その厳しい練習を経験して(所属)チームに戻ったら、すごく楽に感じて『俺は、まだいけるじゃん』と…」

 大野 「通じるものがありますね。自分もW杯のとき37歳だったけど、『若い選手と一緒にできるんだ』と、自信になった。毎回の練習で、それこそ死にそうだった。でも、辛いのは若い選手も一緒なんですよね。若い選手でも辛いんだから、37歳の選手もそういう気持ちで当たり前だと割り切ってやっていた」

 折茂 「憂鬱ですよね。朝、起きると本当に。きょうも朝から練習だと思うと。それで、練習が終わった後の解放感がすごい。解き放たれた感覚がすごくよくて。でも、パブリセヴィッチ監督はうまかった。僕に練習を全部やらせた上で、『ベテランの折茂が練習をこなせているのに、なぜ君たちができないんだ』と、若手にプレッシャーをかけていた」

 大野 「(ベテランは)利用されますね。でも、若手もベテランも力を伸ばしている。ラグビーの日本代表も同じ。ところで、折茂さんは昨年、国内リーグで通算9000得点を達成したんですよね。すごい記録です」

 折茂 「現役でいる限り通過点ですけど、点を取ることが自分の得意な部分だったし、プレースタイルでもあるので達成できました」

 大野 「(日本初の代表通算100キャップにあと2と迫る)自分も、現役である以上は通過点。まわりの人が100キャップを期待している声はあるので、そういう人たちに喜んでもらうためには達成したい」

 折茂 「大野さんも、40歳代まで現役でいけると思う。でも、40歳を過ぎると、ちょっと(加齢の影響が)出てくるかもしれない。36、37歳までは結構、いけてしまうけど、40歳になると頭と体が一致しなくなって『あれ?』っていうのがある。頭では分かっているけど、体が反応しなくて、(プレーにおける)タイミングが遅れることがある」

 大野 「折茂さんは、その感覚を分かった上でプレーしているんですね。40歳になって、まだ自分が現役だったら、参考にさせてもらいます」

 大野 「折茂さんはクラブの社長という仕事もしている。自分の感覚では信じられない」

 折茂 「むちゃくちゃ大変。(社長になるまでは)バスケットボールしかしてこなかったから。経営なんて当然やったことはない。(当初は)右も左も分からなかった。本当にまわりのスタッフに助けられています」

 大野 「僕は一選手として、プレーだけに集中できますが、折茂さんは、練習もしっかりやるんですよね。優遇されることは?」

 折茂 「若手と同じメニューで、同じ量の練習をします。でも、試合は(社長業を)忘れられる時間だからまだいい。練習だと、『あすは給料日だけど、(支払いを)どうしようか』と悩んでいます」

 大野 「東芝のバスケット(川崎ブレイブサンダース)の試合は、時間のあるときに応援にいっています。ラグビーに比べると、常に走っている印象で、辛くないですか」

 折茂 「球技はすべての競技をできる自信はある。でも僕はラグビーだけはできない。高校の体育でもラグビーがあった。押しつぶされたところに、わんさか選手が寄ってくるじゃないですか。タックルも顔から(相手の)膝元に入る。怖くありませんか?」

 大野 「試合中は怖いとは思わないです。低く入る方が、タックルされる側は嫌なんですよ。ところで、社長としては、お客さんを集めるのがまず優先ですか」

 折茂 「そうです。スポンサーのお金と、興業収入でクラブを運営していかないといけないので。ラグビーは、2015年W杯で人気が上向きになりましたよね」

 大野 「でも、今シーズンになって、少し熱が冷めたかなと感じてます。トップリーグでも、お客さんが減ったと思う。19年にW杯が日本で開催されます。(15年W杯の)流れを続けるためには代表が勝たないといけないのかな、と痛感しています」

 折茂 「(どの競技でも)やはり日本代表が勝たないと盛り上がらない。代表が活躍しないと、その競技はメジャーにならない。お金も大事ですが、やっぱり夢です。子供たちが憧れるものが必要なんですよ」

★得点の秘訣

 リーグ最年長46歳の折茂は昨年11月、旧ナショナルリーグ(NBL)などを含めた国内トップリーグで日本選手初の9000得点を達成。3点シュートを得意とする。ここまで今季リーグ戦、全29試合に出場。「足が速いわけでも、高く跳べるわけでもない。どう生きていくか考えてシュートを磨いてきた。苦手なプレーは一切コートでやらない」と、得点を積み重ねられる理由を明かした。

★偉業へ意欲

 38歳の大野は今季、チームとともに、苦しいシーズンを送っている。所属の東芝は7日にトップリーグで初の負け越しが決まった。大野も昨年9月に右足を痛めて日本代表から外れ、通算100キャップも持ち越しになった。それでも「(100キャップに)挑戦したい」と偉業達成への意欲は旺盛。スーパーラグビーに参戦する日本チーム「サンウルブズ」入りも昨季に続き決まっている。

■折茂 武彦(おりも・たけひこ)

 1970(昭和45)年5月14日生まれ、46歳。埼玉県出身。埼玉栄高-日大。93年にトヨタ自動車(現アルバルク東京)に入団。2007年に新設されたレラカムイ北海道(現レバンガ北海道)に移籍。11年にレバンガ北海道を創設し、選手兼社長となった。06年世界選手権日本代表。ポジションはシューティングガード(SG)。1メートル90、77キロ。

■大野 均(おおの・ひとし)

 1978(昭和53)年5月6日生まれ、38歳。福島県郡山市出身。小4から野球をはじめ、日大工学部1年からラグビーに転向して、東芝(現東芝ブレイブルーパス)入り。今季で16シーズン目。2004年の韓国戦で日本代表デビュー。W杯には、07、11、15年と3大会連続で出場。通算98キャップ。ポジションはロック(LO)。1メートル92、105キロ。

最終更新:1/12(木) 5:00

サンケイスポーツ