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津波で流失の家屋 女性建築士が間取り図再現

河北新報 1/12(木) 11:29配信

 宮城県の女性建築士らが、東日本大震災で被災して失った住宅を間取り図で再現する取り組みを続けている。被災者に聞いて書き起こした間取り図は、表紙を付けて無料で届ける。11日で震災から5年10カ月。女性建築士は「思い出の詰まった家を回想するきっかけにしてほしい」と依頼者を募っている。

【図解】西條さんらが再現した間取り図の一つ

 取り組みは、仙台市若林区の1級建築士西條由紀子さん(66)ら宮城県建築士会女性部会に所属する有志ら約20人が2014年3月、「建築士の技術を被災者支援に役立てたい」と始めた。「『記憶の中の住まい』プロジェクト(キオスマ)」と名付け、ちらしを作って被災者向けイベントなどで周知してきた。

 再現作業は依頼者への聞き取りから始まる。建築士2、3人のチームで依頼者を訪ね、被災した住宅の間取りのほか、庭や田畑、蔵、犬小屋など、暮らしと関わりの深かった物も図面に記す。

 再現した図には「嫁入りした時、江戸時代から続く古い家と知った」「波の音が家まで聞こえた」といったエピソードを添える。2~3時間の聞き取りを2回ほどして、彩色や装丁を施し、3~4カ月かけて仕上げる。

 宮城野区蒲生の自宅が津波に流され、区内の内陸部に移り住んだ農業遠藤源二郎さん(71)は昨年夏、親類からキオスマのことを聞き、依頼した。

 遠藤さんの妻すゑのさん(70)は「津波から着の身着のまま逃げ、家の物は何一つ残っていない。完成が楽しみ」と待ち望む。

 これまでの依頼は蒲生地区のほか東松島市、亘理、山元両町など宮城県沿岸部を中心に約30件。西條さんは「間取りだけでなく、被災前の海辺の暮らしの様子も伝え残すことができるはずだ」と話し、申し込みを呼び掛ける。

 連絡先は宮城県建築士会022(298)8037。

最終更新:1/12(木) 12:21

河北新報

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