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がんよりも怖い 「急性心筋梗塞死」から逃れる3つの方法

日刊ゲンダイDIGITAL 1/12(木) 9:26配信

 1月は心臓の悪い人にとっては危険な季節だ。心臓病で亡くなる人は、1月が最も多く、次いで2月、12月、3月だという。年間数十万人が倒れ、4万人近い命を奪う心筋梗塞はこの時季とくに注意が必要で、その発症率は夏の1.5倍に上る。無事に春を迎えるにはどうすればいいのか? 血管内治療の権威で東邦大学医療センター佐倉病院・臨床生理機能学の東丸貴信教授に聞いた。

■「がんよりも怖い」といわれる理由

「急性心筋梗塞は、心臓を取り巻いて酸素や栄養を送り込む3本の冠動脈のいずれかが詰まり、血流が減ってその先の心筋が壊死する病気です」

 それは強烈な痛みとなって表れる。心臓が締め付けられるような激しい痛みが肩や上腹部、左腕などに広がり、30分以上続く。息苦しさや冷や汗、悪心、発熱を伴うことも。ただ、糖尿病や高齢者の中には痛みを脳に伝える神経が異常をきたしていて無痛のケースもある。

 喉のひきつれ、左肩や胃、奥歯・顎の痛みなどの前触れがあるといわれるが、誰にでも起こるわけではない。発症時の平均年齢は男性が65歳、女性は75歳だが、30代以降は注意が必要だ。

 この病気が「がんよりも怖い」といわれるのは手当てする時間的余裕がなく、死んでしまうからだ。実際、発症1時間以内に半数以上が死亡する。原因のほとんどは心室細動と呼ばれる不整脈だ。

■カギを握るのは「蘇生術」「病院搬送」「狭心症治療」

「心停止から1分以内なら90%以上の確率で蘇生できますが、5分過ぎると50%以下に急落します。119番通報して救急隊員が到着するのに8分ほどかかることを考えれば、普段から病院や消防署、日赤などが主催する講習会などに参加して、人工呼吸や心臓マッサージなどの蘇生術を学んでおくことが大切です」

 そのうえで1時間以内に循環器疾患の専門病院に搬送することが生き残りの絶対条件になる。

「急性心筋梗塞の病院内での14日以内死亡率は5%以下。病院に到着さえすれば助かるチャンスは膨らむので、不安な人は病院を決めて受診しておくことです。発症から完全な治療までの理想時間は30分以内です。それでも発症から2時間以内、遅くとも6時間以内にカテーテルで冠動脈を広げる治療をすれば、少なくとも死亡率を下げることは可能です」

 ただ、地域によって救急医療の体制が不十分なところがあるのは知っておいた方がいい。搬送が遅れることで治療に支障をきたし、言語障害や半身不随など重い後遺症を残してしまうこともある。14日以内死亡率が20%を超える病院もある。

 予防として、日頃から心筋梗塞のリスクを高める「生活習慣病」(高血圧、肥満等)の治療、「暴飲暴食のストップ」「バランスのとれた食事の摂取」に励むのは当然だが、重要なのは狭心症を治すことだ。

「血管が狭くなり、心筋に血流や酸素が送り込まれなくなって発症する『狭心症』は2通りあります。動脈硬化で冠動脈の内腔が狭くなり、坂道や階段など心臓に負担がかかると起きる『労作性狭心症』と、睡眠中や安静時に突然、冠動脈がけいれん発作を起こす『冠れん縮性狭心症』です。急に前者の症状が出たり、回数が増すと、『不安定狭心症』と呼ばれ、『心筋梗塞』に移行する可能性があるのです」

■1分以上続く不穏な胸の痛みがあれば病院へ

 狭心症は締め付けられたり、チクチクするような胸周辺の痛みを伴うが、我慢してはいけない。

「狭心症か否かなんて考える必要はありません。1分以上続く不穏な胸の痛みを覚えたらすぐ病院に行き、診察を受けましょう。それが『心筋梗塞』予防につながります」

 ではこの時季、「心筋梗塞」の発症リスクを下げるにはどんなことに気をつければいいのか?

「寒いと人は体温を維持しようとして血管を収縮させます。急に寒くなると血管は狭窄しやすい細さになるのです。マラソンや散歩、ゴルフなどでいきなり寒い外に飛び出してはいけません。外で運動するときは、事前に十分なウオーミングアップをしましょう。寒いお風呂場はとくに危険です。脱衣場、衣服を脱ぐ前に、ファンヒーターなどで部屋を温めておく。温泉、とくに野天風呂に入るときは要注意です」

 寒ければ体を温め、胸に違和感があれば病院に行く。無理をしないことが命を守ることにつながることを覚えておこう。

最終更新:1/12(木) 9:26

日刊ゲンダイDIGITAL

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