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<次世代バイク>AI活用で復権へ 倒れない、自動運転も

毎日新聞 1/12(木) 19:32配信

 バイクメーカー各社がロボットや人工知能(AI)技術を活用した次世代バイクの開発にしのぎを削っている。国内のバイク市場は自動車や高級自転車に人気を奪われ縮小傾向にあるが、「倒れない」「自動運転」などバイクのイメージを覆す機能を持たせることでバイク復権を目指す。

 ホンダが開発中なのが低速走行時などに転倒しにくいバイクだ。米国で8日まで開かれた世界最大の家電・情報技術(IT)見本市「CES」で試作車を初公開。「ホンダらしい面白い技術だ」などと国内外での反響は大きく、CES関連団体から最優秀技術賞などを受賞した。

 見た目は普通のバイクだが、時速3~4キロ以下になると、自動で前輪がせり出してきて安定性が向上する。さらにバイク自体がハンドルを細かく制御し、バランスを保とうとする仕組みを搭載。ホンダは「二足歩行ロボット『アシモ』で培った姿勢制御技術を応用した」と説明する。

 タイヤが二つしかなく重いバイクは発進や停止、のろのろ運転時の扱いが難しく、運転者は体力を使う。ホンダのこのバイクなら低速時のふらつきや取り回し時の転倒リスクを抑えられる。その上、運転者が乗っていなくても、スタンドを使わずに自立できるという。

 運転者に違和感を与えずにどう制御するかなど課題もあり、現時点で市販の具体的な計画はない。しかしホンダは「バイクの明るい未来につながる」として、更なる研究を続けるとしている。

 川崎重工業はIT大手ソフトバンクのグループ会社と共同で、「感情エンジン」と呼ぶAI技術を搭載して運転者と対話できるバイクの開発に2016年から取り組んでいる。

 インターネットと接続し、赤信号にひっかかりにくい加減速を案内したり、行き先の天候情報などを伝えたりする。「今後10年以内をめどに実用化を目指す」という。

 一方、ヤマハ発動機はプロレーサー並みのバイク運転ができる人型ロボットを開発中だ。バイク自体には手を加えず、ロボットがハンドル操作などを自動で行うもので、既に時速100キロでの直線走行などに成功。今年中に最高時速200キロ以上でサーキットを走りきれることを目指す。

 ヤマハ発はこのロボット開発を通じ、バイク操作と挙動の関係性を解析し、「将来的にはより高性能で安全なバイクや無人運転ロボットの開発を見据えている」という。【宮島寛】

 ◇キーワード・国内の二輪車市場

 国内首位のホンダと2位のヤマハ発動機が「HY戦争」と呼ばれる激しいシェア争いを繰り広げた1982年、328万台のピークを迎えた国内販売台数は、四輪車の普及でバイク離れが進むなどし、2015年にはピーク期の10分の1近い37万台に減少した。特に販売台数の半分を占める排気量50CCクラス(原付き1種)の落ち込みが激しく、ホンダとヤマハ発が16年、50CC以下の生産・開発で提携を発表するなど事業見直しの機運がある。

 一方で400CCを超える大型バイクは中高年が子育てを終えたり、定年退職したりしたのを機に再び乗り始めて堅調。国内シェアはホンダ4割、ヤマハ発3割で、3位のスズキを含む3社で全体の8割以上を占める。

最終更新:1/12(木) 21:34

毎日新聞