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箱根3連覇を果たした青学大の往路ランナーがタスキを何度も掛け直していたワケ

スポーツ報知 1/12(木) 16:00配信

 タスキは駅伝ランナーの心模様によって、生き物のように動く。日本陸上競技連盟の駅伝競走規準の第9条には「タスキは布製で長さ1・6~1・8メートル、幅6センチを標準とする」(抜粋)と定められている。とはいえ、単なる布ではない。いわば“魂”なのだ。

【写真】ゴールする青学大アンカーの安藤。タスキの「青山学院大」もくっきり

 駅伝ランナーなら誰もが大切さを知っているが、箱根駅伝という大舞台では我を見失ってタスキの扱いが乱雑になってしまう選手も多い。タスキを受け取った時、慌ててしまう選手は、刺しゅう文字の校名を裏返し、あるいは逆さまに掛けてしまう。対照的に校名が胸の前で見えるように、きれいに掛けられる冷静さがあれば、実力を発揮しやすくなる。タスキの掛け方を見ると、その選手の心理状態の一端が分かるのだ。

 今年の箱根駅伝(2、3日)。スタート直後から、青学大の1区・梶谷瑠哉(2年)がタスキを気にしていた。スタート前にタスキを落ち着いて掛ける余裕がある1区の選手は、校名が胸の前にしっかりと見えるが、梶谷は何度も掛け直していた。そして、2区のエース一色恭志(4年)は、校名が全く見えないほどタスキがよじれていた。

 おかしい。常に冷静沈着な一色が、そんなミスを犯すのだろうか。箱根芦ノ湖で往路ゴール直後、一色を取材した。「確かに僕のタスキの掛け方はひどかった。でも、すごく掛けづらかったんですよ」と首をかしげた。

 翌朝、謎は解けた。青学大のフレッシュグリーンのタスキにトラブルが発生していたのだ。タスキは端の部分に切れ込み穴があり、その部分にもう一方の端を通した上で結び目を作り、輪の状態にして長さを調節する。「切れ込み穴が破れて1ミリしかつながっていなかった」と吉田伊吹マネジャー(4年)は明かした。そのため、タスキが緩みやすくなっていたわけだ。駅伝競走規準で「タスキは必ず肩から斜めに脇の下に掛けなければならない」(抜粋)と決まっている。もし、タスキの切れ込み穴が千切れて輪の状態にならなかった場合、タスキリレーの度に端と端を結んだり、解いたりする必要が生じて、タイムロスにつながっていただろう。

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最終更新:1/12(木) 22:16

スポーツ報知