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美容院、常連客の「ドタキャン」繰り返しに苦悩…キャンセル料はどこまで請求できる?

弁護士ドットコム 1/12(木) 10:22配信

東京で美容院を経営するOさん(40代・男性)は、予約の「ドタキャン」を繰り返す顧客に頭を悩ませています。

Oさんの美容院は、妻と美容学校を卒業したばかりの若手スタッフ1名でやりくりする、こじんまりとした美容院です。予約を1回断られただけでも影響は少なくありません。それなのに、当日の直前に予約をキャンセルを繰り返す困った常連さんがいるそうです。

いったん予約を受け付けると、その時間帯に他の予約をいれることはできません。その時間に飛び入りのお客さんが来ない限り、ただの手持ち無沙汰になってしまいます。その常連さんの予約が入っているために、他のお客さんの予約を断ることもあるそうです。

予約のキャンセルを繰り返す客に、美容院はキャンセル料を請求することは法的に可能なのでしょうか。また、予約を断るような対応をすることはできるのでしょうか。萱垣佑樹弁護士に聞きました。

●「予約」という言葉を使っていても、法的には「契約」と考えられるケースがある

結論としては、「キャンセル料を請求することはできるが、キャンセル料は平均的な損害の額を超えることはできない」ということになります。

まず、美容院に予約をすることは、「予約」という言葉を使っていても、法的には「契約」と考えられることが多いと思います。

つまり、美容院に対する予約は、改めて本契約をすることを予定しておらず、美容院の予約の時点で、契約が成立していると考えられる場合が多いのです。

そうだとすれば、予約したのにキャンセルをすることは、法的には債務不履行となり、民法415条に基づいて、損害賠償(キャンセル料)を請求できるのです。

● 請求できる「平均的な損害」とは?

しかし、法外なキャンセル料は請求できませんし、また、キャンセル料の金額を事前に決めてその金額を請求できるかというと、それも問題があります。

「美容院」と「お客さん」は、「事業者」と「消費者」の関係にあるため、消費者契約法が適用されます。

そして、消費者契約法第9条1号によると、損害賠償額(キャンセル料)の予定の合意がある場合、「当該事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるもの」については、平均的な損害を超える部分が無効とされているからです。

したがって、高額なキャンセル料を請求したり、設定したりしたとしても、それは無効とされる可能性が高いのです。

今回のケースのように、キャンセルされた時間帯に他の予約を入れることができないのでしたら、本来かかる美容院代から経費を引いた額が平均的な損害と認められる可能性もあります。

ですが、お客様相手の商売ですから、キャンセル料を設定するとしても、もっと低い額を設定した方が良いかもしれません。

● そもそも予約を断ることはできる?

予約のキャンセルを繰り返すお客さんの予約を断るような対応ができるかについてですが、これはもちろん可能です。誰と契約をするかは、美容院の自由ですから、お客さんを断ることは法的には問題ありません。

【取材協力弁護士】
萱垣 佑樹(かやがき ゆうき)弁護士
平成25年登録。父親も弁護士で、小さいころから困った人を助けたいという気持ちが自然と養われ、現在、意欲的に弁護士としての活動に取り組んでいる。相談に来た人と同じ気持ちになって解決することが目標。
事務所名:万朶総合法律事務所
事務所URL:

弁護士ドットコムニュース編集部

最終更新:1/12(木) 10:22

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