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保護犬の輪広がる、里親探す初のカフェ 開店4年、「出会いの場」として注目

産経新聞 2/13(月) 15:17配信

 飼い主に捨てられ保護された犬や猫と、新たな飼い主をつなぐ全国初の常設型保護犬猫譲渡カフェ「HOGOKENCAFE(保護犬カフェ)天神橋店」(大阪市北区)が2月で開設4年を迎えた。犬猫の殺処分への問題意識は高まるものの、繁殖犬猫として利用した後に捨てるブリーダーはいまなお絶えない。一方で、約20年前のペットブームの際に飼った犬猫が亡くなり、“喪失感”を抱える飼い主は少なくないといい、カフェは新たな「出会いの場」として注目されている。(猿渡友希)

 1月下旬の平日夜、店は仕事帰りの人らでにぎわっていた。ミニチュアダックスフントやチワワが「スタッフ」となり、ソファでおもてなし。訪れた同市北区の会社員、脇田亜実さん(26)は9歳と10歳の繁殖引退犬の里親といい、「家から近く、ゆっくりできるので何度も来ている」と話した。

 カニヘンダックスフントのモドキ(オス・4歳)は劣悪な環境下で飼育されたため、重度の歯周病で前歯が溶けた。同店の犬猫は、ブリーダーから保護した引退繁殖犬猫や、皮膚病などの疾患のために売り物にならないとペットショップから保護された犬猫だ。

 店は平成25年2月、オーナーの藤田哲也さん(47)が、動物保護団体・NPO法人ラブファイブ(大阪市生野区)と協力して開設した。ワンドリンク制(500円)で、営業時間は午後8時まで。仕事帰りの客らにも人気があるという。

 インターネットなどを通じ、愛犬、愛猫家の間で口コミが広がり、里親希望者が増加。カフェを開きたいとの問い合わせもあり、現在、ラブファイブ直営やフランチャイズを含め、大阪市内や兵庫、千葉各県など全国8店舗に増え、これまでに約3千頭の犬猫が引き取られた。今月末には堺市内に開店する。

 同店開設前までに保護猫専用カフェは全国に数店舗あったが、犬の場合、鳴き声による騒音、においの問題から常設店設置は難しく、保護団体が用意するシェルターや譲渡会で引き取り手を探すのが一般的だった。ただシェルターは郊外に多く、予約が必要。「保護犬を家に迎え入れるまでのハードルが高かった」(藤田さん)という。都心部での常設店はこれを解消した形だ。

 さらに、人気には別の背景もある。

 店を訪れる人の多くは、約20年前のペットブーム時に犬猫を飼った人で、最近になって愛犬、愛猫と死に別れ、新たな“出会い”を求め来店しているのだという。保護に至るまでの劣悪な飼育環境から最初はおびえるものの、新たな飼い主のもと、保護犬猫たちは「新たな生活で表情が一変する」と藤田さんは話す。

 ラブファイブの吉井純也さん(33)によると、毎週数十頭の犬猫を引き取るが、カフェでの世話には限界があり、ブリーダーと連携して繁殖犬の無理な飼育への注意喚起をするなどの活動も進めている。

 藤田さんは「同様の取り組みが増え、いつか日本全国で殺処分ゼロになってほしい」と話している。

 ■殺処分ゼロへ取り組み

 環境省によると、犬猫の殺処分数は平成27年度は約8万3千頭。統計開始の昭和49年には122万1千頭に上ったが、ペットの室内飼いが増え、迷い犬や猫が減ったことや、終生飼養への意識の高まりなどから減少を続け、10年前の平成17年(36万5千頭)と比べても4分の1以下になった。

 同省動物愛護管理室は「25年の動物愛護法改正が減少の一因」と指摘。保健所などへの安易な犬猫の持ち込みを自治体側が拒否できるようになったほか、官民一体となった取り組みも増えたためだ。

 殺処分ゼロを目指す自治体は多く、これまでに神奈川県が達成。同県動物保護センターでは、犬は25年度から、猫は26年度から毎年殺処分ゼロを達成している。

 一方で、「自治体だけでは限界がある」(神奈川県担当者)といい、猫カフェの一部を譲渡施設にしたり、動物病院やペットサロンなどを会場にしたりするなど、民間の協力を得た取り組みも進む。

 また、譲渡時に固有番号を登録したマイクロチップを装着して管理するなどの試みも行われている。

最終更新:2/13(月) 16:26

産経新聞