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【インタビュー】サンダー「アルバムを作るとしたら、今しかない」

BARKS 2/16(木) 9:16配信

2017年2月10日、サンダーのニュー・アルバム『リップ・イット・アップ』が発売となった。

◆サンダー画像

1980年代末から活動を始め、正統派ブリティッシュ・ハード・ロックの継承者として人気を誇ってきた彼らだが、前作『ワンダー・デイズ』(2015)が全英チャート9位とヒットを記録し、ロンドンでのライヴが1万2千人収容のウェンブリー・アリーナで行われるなど、見事な復活ぶりを見せている。

そんな勢いに乗って作られた『リップ・イット・アップ』は、サンダー節が全開のロック・アルバムとなった。嘘いつわりのない誠実なサウンドからは、等身大のサンダー像が浮かび上がってくる。バンドのギタリストでありソングライター、そしてプロデューサーでもあるルーク・モーリーが『リップ・イット・アップ』について語ったロング・インタビューを、前後編でお届けする。まずは前編、アルバム本編について訊いてみよう。

──『ワンダー・デイズ』発表後の大復活の理由は何だったのでしょうか?

ルーク・モーリー:正直、わからないな(笑)。計算してできるものではないんだ。ただ言えるのは、俺たちがファンに恵まれていることだ。イギリスや日本に熱心なファンが大勢いて、バンドを支えてくれた。彼らがいなければ、もうとっくにやめているよ。それに2009年にサンダーとしての活動をストップして、それぞれが別のことをしていたことがプラスに働いたと思う。しばらく距離を置いたことで、このバンドに対する熱意が再燃してきたんだ。ただ、2013年にサンダーを再始動したときは、数回フェスティバルに出演するぐらいのつもりで、本格的な活動をする気はなかった。でもそれからジャーニーとホワイトスネイクの全英ツアーに同行したら、お客さんからの反響が凄まじいものだった。それで「アルバムを作るとしたら、今しかない!」と考えて作ったのが『ワンダー・デイズ』なんだよ。そうして勢いに乗ることができたんだ。

──ベン・マシューズ(ギター、キーボード)は癌で治療中でしたが、体調はいかがですか?

ルーク・モーリー:とても順調だよ。ツアーやレコーディングに対しても前向きだし、定期的に診断を受けていて、転移や再発しないように気をつけている。ベンは病気になる以前よりも体調を自己管理しているし、他のメンバーも定期的に健康診断を受けたりして、全員がヘルシーだよ。

──『ワンダー・デイズ』はコンセプト・アルバムではなかったものの、あなた達の少年時代を振り返った曲があり、ジャケットも同じテーマに則っていました。『リップ・イット・アップ』はどうでしょうか?

ルーク・モーリー:「ワンダー・デイズ」を書いたとき、この曲がアルバムの軸になると確信したんだ。それでアルバム・タイトルにしたし、俺たちが子供の頃…1970年代初めのロンドンをイメージした写真をジャケットに使った。『リップ・イット・アップ』の曲では現在の自分たちを描いていると思う。俺は56歳だし、ティーンエイジャーのフリをすることはできない。ありのままの自分について書くしかないんだ。

──「ノー・ワン・ゲッツ・アウト・アライヴ」は“誰も死から逃れることはできない、生きているうちに楽しもう”という、あなたが20代だったら書けなかった歌詞だと思います。


ルーク・モーリー:うん、その通りだ。もう決して若くはないけど、歳を取った人生を楽しんでいるよ。「リップ・イット・アップ」や「イン・アナザー・ライフ」も現在の自分の視点から描いているし、連日連夜のパーティー・ライフについては歌っていない(笑)。「ライト・フロム・ザ・スタート」もそうだ。この歌詞は意識の自然な流れに任せて書いたもので、部分的には妻への気持ちを歌っているけど、亡くなってしまった友人たちへの想い、失われた風景…この歌詞を書いたとき、自分が歳を取ったことを改めて自覚して驚いたよ。初期からのサンダーのファンはバンドと共に歳を取ってきたし、共感してくれると思う。若いファンは今ではピンと来なくても、今の俺たちぐらいの歳になればわかってくれると信じているよ。

──「シー・ライクス・ザ・コカイン」はいい年をこいて若ぶる女性が主人公ですが、彼女は実在の人物ですか?

ルーク・モーリー:うん、実は親しい友人の女性をモデルにしているんだ。もう60代なのにティーンエイジャーのつもりでいるんだよ。本人は若い気分だから、おそらくこの曲が自分について書かれているとは思わないし、「あなたについての曲です」とも言えないけどね(笑)。ただ、彼女のことを悪く歌っているわけではなく、人生を前向きに生きているのは素晴らしいことだと思うし、憧れる部分もある。半分ユーモア/半分シリアスな曲だよ。

──「ジ・エネミー・インサイド」ではアルコールの誘惑について描いていますが、これはどの程度がユーモアで、どの程度がシリアスなのでしょう?

ルーク・モーリー:この曲も半分半分だね。おそらく誰でも、酔っ払って馬鹿なことをしでかしたり、二日酔いで頭がガンガンして後悔した経験があると思う。俺だってそうだ(苦笑)。でも、それが日常生活を脅かすようになると大きな問題となる。この曲の教訓は、若い頃は暴飲暴食をできるけど、大人になったらほどほどに…ということだな。

──アルバム全編をサンダー節のサウンドが貫いていますが、自分たちのアイデンティティをどのように捉えていますか?

ルーク・モーリー:俺たちは5人それぞれが多様なスタイルでプレイできるけど、サンダーとして集まることで、ユニークな音楽性が生まれるんだ。頭で考えるのではなく、本能的なものだね。誰にも似ていないサンダー・サウンドを持っていることを誇りにしているよ。俺たちがカントリーやレゲエ、スラッシュ・メタルをやっても、サンダーらしく聞こえるだろうね。俺がソングライター、そしてプロデューサーとして心がけているのは、過不足なく曲に必要なだけプレイすることだった。弾き過ぎてもいけないし、弾かなすぎでスカスカになってもいけない。そのサジ加減がわかるのも、年数を経ているからだと思う。

──「シェイクダウン」を聴くと、「アイ・ラヴ・ユー・モア・ザン・ロックンロール」や「ザ・デヴィル・メイド・ミー・ドゥ・イット」の焼き直しになることを避けながら、同じノリを感じさせますね。

ルーク・モーリー:うん、いずれも原点にあるのはザ・ローリング・ストーンズだよ。「ホンキー・トンク・ウィメン」とかね。俺はカウベルのカンカンいう響きが大好きなんだ。

──サンダーはしばしば正統派ブリティッシュ・ハード・ロックと形容されますが、自分たちの“ブリティッシュらしさ”はどの程度意識していますか?

ルーク・モーリー:意図的にブリティッシュらしいサウンドは狙っていないけど、ロンドン南部に育ったし、イギリスのロックンロール・バンドを聴いて育ったから、身体に染みついているんだ。フリー、ザ・ビートルズ、ザ・ローリング・ストーンズ、レッド・ツェッペリン、ザ・フー…「リップ・イット・アップ」は1970年代前半のグラム・ロックっぽいノリがあるかも知れない。Tレックスとか、デヴィッド・ボウイの「ジーン・ジニー」とかね。この曲はデヴィッドが亡くなってしばらく後に書いたんだ。彼が亡くなったとき、カーステレオでずっと彼の音楽を聴いていたから、無意識に影響された可能性もあるな。

──デヴィッド・ボウイについて、どんな思い出がありますか?

ルーク・モーリー:十代の頃、TV番組『トップ・オブ・ザ・ポップス』で「スターマン」を歌うのを見たのが最初だった。本当に別の惑星から来たようだと思ったよ。それにギタリストのミック・ロンソンも素晴らしかった。彼は今でも俺のオールタイム・フェイバリット・ギタリストだ。家の近所にルイシャム・オデオンというライブ会場があって、いろんなバンドを見たんだ。初めて見たのは、Tレックスだったよ。それでジギー・スターダスト時代のデヴィッド・ボウイのチケットも買っていたんだけど(1973年5月24日)、扁桃腺炎で行けなかったのを、今でも悔やんでいるよ。『ハンキー・ドリー』(1971)や『ジギー・スターダスト』(1972)の時期が一番好きだったけど、彼のどの作品も才能にあふれて、クレバーなミュージシャンだった。さまざまな変遷を経ながら、つまらない時期など一度もなかったしね。残念ながら彼と会って話すことはなかった。彼が亡くなったのは悲しいけど、“死”そのものを自分の作品にした、まさに天才だった。

後編ではルークがよりディープに『リップ・イット・アップ』の音楽性と秘話を語る。

取材・文:山崎智之
Photo by Jason Joyce


サンダー『リップ・イット・アップ』
2017年2月10月発売
【100セット通販限定 直筆サイン入りカード付きCD+2枚組ライヴCD+『ブロークン・ミラー』EP+直輸入2枚組LPレコード】 ¥8,500+税
【完全生産限定盤CD+2枚組ライヴCD+『ブロークン・ミラー』EP】¥4,500+税
【初回限定盤CD+2枚組ライヴCD】 ¥3,800+税
【通常盤CD】 ¥2,500+税
※歌詞対訳付き/日本語解説書封入
1.ノー・ワン・ゲッツ・アウト・アライヴ
2.リップ・イット・アップ
3.シー・ライクス・コカイン
4.ライト・フロム・ザ・スタート
5.シェイクダウン
6.ハートブレイク・ハリケーン
7.イン・アナザー・ライフ
8.ザ・チョーズン・ワン
9.ジ・エネミー・インサイド
10.タンブリング・ダウン
11.ゼアズ・オールウェイズ・ア・ルーザー
《2016年1月27日 ライヴ・アット・ザ・100クラブ/イギリス》
[DISC1]
1.ワンダー・デイズ
2.ブラック・ウォーター
3.リヴァー・オブ・ペイン
4.チェイシング・シャドウズ
5.ブロークン
6.ザ・デヴィル・メイド・ミー・ドゥ・イット
7.バックストリート・シンフォニー
8.アイル・ビー・ウェイティング
[DISC2]
1.レザレクション・デイ
2.ザ・シング・アイ・ウォント
3.ラヴ・ウォークド・イン
4.アイ・ラヴ・ユー・モア・ザン・ロックン・ロール
5.ザ・ロッカー
6.ダーティ・ラヴ

『ブロークン・ミラー』EP
1.ファイア・イン・ザ・マウンテン
2.ブルー・アイド・ガール
3.ビヨンド・ザ・スターズ
4.アイ・ウィル・リターン

【メンバー】
ダニー・ボウズ(ヴォーカル)
ルーク・モーリー(ギター)
ハリー・ジェイムズ(ドラムス)
ベン・マシューズ(ギター/キーボード)
クリス・チャイルズ(ベース)

最終更新:2/16(木) 9:16

BARKS