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「だめだー」事故処理中の警官が絶叫後に… 群馬・下仁田の多重衝突事故

産経新聞 2/15(水) 10:53配信

 群馬県下仁田町南野牧の国道254号で7日に起きた11台が絡む多重事故から1週間余、トラックに前後を挟まれ原形をとどめないほど大破した軽乗用車に乗っていた下仁田町の女性(42)が産経新聞の取材に応じた。事故の詳細はなお不明だが、「ツルツルの路面」で起きた事故の衝撃、死の危険を感じ窓から必死で逃げた状況などを語った。

 「だめだー」。後方から警察官の叫び声が聞こえ振り向くと、大きなライトが迫ってきた。午前5時、まだ暗く車種は分からなかったが、止まる様子はない。女性は覚悟してハンドルを握りしめ、身構えた。

 15分前の午前4時45分、女性はいつも通り自宅を出て群馬県吉井町の勤務先に向かった。通い慣れた国道。事故現場周辺の数百メートルは凍結しやすく、地元の人間なら徐行する危険ゾーン。この日は「特に滑りやすく、ツルツルだった」。女性は「時速10キロほど」という極端な徐行で走行し、やがて前方に道をふさぐように止まっているトラックが見えた。最初の事故車両だった。

 車を止め、引き返そうかと思っていると、事故処理で駆けつけていた警察官が近づいてきて「この路面だと危ない。少し待っていてください」。会話を終え運転席の窓を閉める間もなく、警察官の声が響いた。

 「だめだー」

 後方に衝撃を受けてからの記憶は途切れている。「衝撃は2度あったと思う。クルクル回っていたような気もするし…。空を見たことは覚えている」。気がつくと、女性の軽自動車は前方のトラックに運転席側を寄せて並ぶように止まっていた。「運転席のドアは開かないくらい、くっついていたけれど、(前方のトラックに)衝突したのかは、よくわからない」。

 だが、前方トラックから流れ落ちた液体が路面に広がっていた。ガソリン? 「やばい」「焼け死ぬのだけはいや」。早く外へ。だが運転席とドアの間に右足を挟まれ、運転席側ドアは開かない。助手席の窓は衝撃のせいか、きれいになくなっていた。もがきながら頭から外へはい出した。駆け寄ってきた警察官に誘導され道路脇の小さな寺の境内に避難。防寒具をまというずくまっていると、トラックや乗用車が自分の車の方に向かっていくのが見えた。事故の状況は、それ以上わからなかった。

 女性は肋骨骨折と膝の打撲などで全治3週間。事故後、変わり果てた愛車の写真を見て、「あのまま中にいたら…。脱出できてよかった」。こわばった表情で語った。事故現場について脇を川が流れ風通しがよく凍結しやすいとの情報もあるが、女性の家族は「現場は緩い下り坂で雨水や雪解け水がたまりやすい」という。融雪剤(塩化カルシウム)をまいたり、砂なども置かれている。事故当日午前4時半の下仁田町西野牧の気温は0・4度。前の晩に塩化カルシウムがまかれたが、夜間に雨が降り流されたとの情報もある。

最終更新:2/16(木) 7:55

産経新聞