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<被爆2世提訴>病の3姉妹に被爆の母負い目

毎日新聞 2/17(金) 12:55配信

 健康不安を抱える被爆2世を援護の対象外とする被爆者援護法は憲法違反だとして、広島などの被爆2世22人が17日、1人当たり10万円の慰謝料を国に求める国家賠償訴訟を広島地裁に起こした。被爆2世による集団訴訟は初めて。

 「親が受けた放射線の影響が遺伝しているのではないか」。今回の原告以外にも自らの健康に不安を抱える2世は多い。広島で被爆した山中恵美子さん(82)=広島県呉市=の娘3人も病と不安に苦しみ、山中さん自身も娘たちの健康に負い目を感じている。

 長女久実さん(58)は皮膚がん、次女慶子さん(52)は再生不良性貧血、三女栄子さん(49)は卵巣がんなどを、10代の頃に患った。今も慢性的に体調が悪く、山中さんは「子供たちには『体が弱くてごめんね』といつも負い目を感じていた」と話す。

 被爆者に認定されると被爆者援護法に基づき医療費助成などの援護が受けられる。しかし2世は年1回の健康診断のみで、がん検診などは実施されない。健診で病気が見つかっても、独自制度を設けた一部自治体を除き、医療費助成などがないのが現状だ。久実さんは「健診は簡単なもので『とりあえず』という感じがする。2世に対応する気が本当にあれば、もう少し詳しく調べるだろう」と疑問を投げかける。

 母の山中さんも苦しんできた。11歳の時、爆心地から1・3キロの建物内で被爆し、下痢や髪の毛が抜けるなど急性症状が出た。戦後も血小板減少症などを発症し、被爆を理由に相手の親に結婚を破談にされた経験もある。「毎年8月6日が近づくと明るい母が変わる」と娘たちは話す。

 山中さんは「私たちと同じ思いをさせたくない」との一心で、当時を思い出すつらさに耐え証言活動を続ける。「苦しむ2世、3世の医療費はせめて保障してほしい」と願う。

 今回の集団提訴について久実さんは「思いは同じ。遺伝的影響の証明は難しいが、私を実験台にしてもいいから染色体に異常があるか調べてほしい」。慶子さんは、三女で大学生の和美さん(21)がよく体調不良を訴えることにも不安を覚え、「裁判を通じ、後の世代にも影響が出ていることを知ってほしい。影響を受けるのは当事者だけではない。だから原爆でも原発でも核はいけないという意識につながってほしい」と期待を込めた。【竹内麻子】

最終更新:2/17(金) 12:55

毎日新聞