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稀勢の里は「スポ根」で重圧に耐えた/連載

日刊スポーツ 2/17(金) 14:02配信

<誕生 横綱稀勢の里18:歴代担当記者が語る>

 15年冬巡業中、那覇市内の飲食店でたまたま稀勢の里と居合わせた。南国の空気もあってか、いつもの印象とは大違い。高笑いを響かせ、珍しく美声も披露していた。「今は年相応」と言いながら、次々とシャンパンを空け続ける姿は豪快そのもの。国民の期待を背負い続ける男の、つかの間の息抜きを見た気がした。

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 3場所連続で綱とりに挑んだ、昨年夏。重圧と闘い続ける秘訣(ひけつ)を尋ねると、こう返ってきた。「スポ根でしょ。日本人には必要だと思うよ。最近多いじゃん、『効率的なトレーニング』とか。そういうのは好きじゃない」。幾度となく苦杯をなめ、白鵬からは関取衆全員で歌う協会公式ソングを歌わなかったとして“口撃”もされた。それでも、野球を通じて培った根性論で耐え続けた。

 自宅には楽天でも活躍した元メジャーリーガー、ジョーンズから贈られたバットを大切に飾っている。だが、強豪校からも誘われた野球への未練は一切ないという。「上を目指すには何が向いているかを自分で見極めて、他のものはバッサリ断ち切らなきゃ」。信じた道は想像以上に遠かっただろう。ようやく今、心から思えるのではないか。「相撲が天職」だと。【15~16年大相撲担当・桑原亮】

最終更新:2/17(金) 14:23

日刊スポーツ