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オリヴィエ・スカラブレ: 次世代産業革命はすぐそこに来ている

TED 1/5(木) 11:52配信

Olivier Scalabre

翻訳

皆さん 大変です (笑) 経済成長の鈍化は非常に大きな問題です 世界経済の成長は頭打ちです 既にご存知のことでしょう 実際 過去50年間に 経済成長率は低下し続けてきました このままでは 私達は次の10年の 成長の無い世界での生き方を 学ばなくてはなりません これは恐ろしいことです なぜなら 経済が成長しなくなれば― 子供達はより良い生活を 望めなくなります 更に恐ろしいことは 世界経済全体が成長を止めると 一人一人の取り分が 小さくなると言う事です 私達は取り分を求めて 争うようになるでしょう これでは緊張や深刻な紛争が 生まれてしまいます 経済成長は非常に重要なことです 成長の歴史を振り返ってみましょう 成長が著しい時代は 常に大きな製造技術の革命によって 後押しされて来ました 製造革命は 50から60年ごとに 3度起こりました 19世紀半ばの蒸気エンジン 20世紀初頭にフォード氏により広まった― 大量生産モデル そして 1970年代には 最初の自動化の波がきました なぜ これらの製造革命は 世界経済を飛躍的に発展させたのでしょうか? それは 生産性の飛躍的な向上によるものです 単純なことです 成長するためには より多く生産して より多くのモノを 経済に投入する必要があります つまり 労働力を増やすか 資本を増やすか 生産性を高めるかが必要なのです 3度とも生産性の向上が成長のカギでした 今日は 私達は新しい変革を まさに迎えようとしているということを お話ししたいと思います この変化は 驚くべきことに また製造業からもたらされるのです この変化は 私達が成長の停滞から抜け出し― 過去10年に渡って形成されてきた 「グローバル化」というものを― 根本的に変えるものなのです 今から 現在興りつつある この素晴らしい第4次産業革命について お話しします 前回の革命からこれまでに 製造業に進歩が なかった訳ではありません 実際 製造業を活性化する試みは あったものの 不十分な結果にとどまりました どんな試みも 再び成長を促すために必要な 本格的なてこ入れにはなりませんでした 例えば コスト削減と安い労働力による 恩恵を受けるために 工場を海外へ移転しましたが この試みは生産性の向上に繋がらなかったうえ ほんの短い間 コストを抑えただけでした 労働者の賃金はすぐに上昇したからです すると 今度は工場を大きくし 生産する製品数を絞り込みました この考え方では1つの製品を大量に生産し 需要に応じて売れるように 製品在庫を蓄えるのです この方法でしばらくの間は 生産性が向上しましたが しかしまた サプライチェーンに 硬直性をもたらすことにもなりました 例えばファッション小売業です 伝統的なアパレル会社は 海外に グローバルで 柔軟性のない サプライチェーンを確立しました すると Zaraのような ファストファッションが コレクションの入れ替えサイクルを 1年に2回から ひと月に1回にしたときに どの企業もこのペースに ついて行けませんでした 今 多くのアパレル会社は 困難な状況下にあります そう このような欠陥を有するのが 今の 製造工場の実状です 蓋を空けてみると 50年前と同じように見えるのです ただ単に 場所、規模、運営方法が変わっただけです 50年前と変わっていないものなんて 他に思いつかないですね ダメですよね これまで様々な方法で改善を試みましたが それも限界に突き当たっています 製造モデルの改良失敗の後 私達は成長が製造業以外から もたらされると考えました ハイテクが注目され ずいぶん多くのイノベーションが 生まれました 例えば インターネットが 成長を促すものとして期待されました そしてご存知のように ネットは私達の生活を変え― メディア、サービス、エンターテイメントの 業界に大きな波を起こしましたが 生産性には あまり影響を与えませんでした 実際は 驚くべきことに 様々なイノベーションの甲斐なく 生産性は下がる一方です 想像してみてください 職場に座り Facebookをくまなくチェックし YouTubeのビデオを見る… こういったことが私達の生産性を下げたのです おかしいですね (笑) だから私達は成長しなくなったのです 製造業の改革に失敗したまま 大きな技術革新は 他の分野で進んでいました でも もし両者を 組み合わせられたらどうでしょう もし 既存の製造業と大きな技術革新が 組み合わさることで 次の大きな製造改革が起きるとすれば どうでしょう そうです! これが 第4次産業革命です 今現実に 起こっていることです 主要な技術は 製造業に本格的に 組み込まれ始めています これにより 工業生産性は 3分の1以上改善します この圧倒的な向上は 経済成長に大きく貢献します いくつか実例をご紹介しましょう 最新の産業ロボットを 見たことがあるでしょうか? 人間と同じサイズで 反復作業ではない 複雑な作業を 人間と連携して行うことができるように プログラムすることができるのです 現状 工場で行われる作業の 8%のみが自動化されています しかもそれは あまり複雑ではない 繰り返し作業が主です 10年後にはそれが25%に上昇するでしょう つまり 2025年には 産業用ロボットが人間の労働力に加わることで 全体で20%も生産性が向上します つまり 20%多く製品が作られることで 20%の追加成長が達成されるのです これはステキな 未来のおとぎ話ではありません このようなロボットはもうすでに働いています 昨年 米国のサイバーマンデーにアマゾンでは あらゆる商品の仕分けと出荷を ロボットが手伝いました ネット小売りの書入れ時です 米国では昨年のその日に オンラインショッピング史上 最大の取引を記録しました その日の電子機器の売り上げは 30億ドルです これは実質の経済成長です 更に 3Dプリント技術が生まれました 3Dプリントはプラスチックの製造工程を 改善したばかりでなく 金属製品にも進出し始めています 両者の市場は決して小さくなく プラスチックと金属とで 世界の工業生産の 25%を占めています 航空宇宙産業における 実例をお話しします 燃料ノズルは製品の中で 最も複雑な部品の1つです なぜなら 部品は20種類もの パーツからできていて それぞれ別々に作った後で 手間暇をかけて組み立てます しかし 3Dプリント技術によって これら20個の異なるパーツを 1点にまとめてしまうことが できるのです 結果として 生産性が40%向上します アウトプットが40%増えると 40%多くの成長が この産業にもたらされるのです そして実際には この新たな製造革命は 生産性以上の効果ももたらします さらに優れた よりスマートな製品が 作れるのです つまり スケール・カスタマイゼーションです これまで大量生産されてきた商品と 同じ費用と生産期間で あなたに必要な機能を備え 望みのデザインの製品を 買うことができる世界を 想像してみてください 例えば車、衣服、携帯電話などです 新しい製造革命は これを可能にします 最新のロボットは セットアップの時間や 機能の増強をしなくても 多様にプログラムすることができます 3Dプリンターは どのような カスタムデザインも瞬時に作ることができます 個人ごとに仕向けた1品の生産も 量産品と同じ費用と期間で 作ることができるようになったのです 今お話しした例は 進展中の製造革命を 描いたほんの数例にすぎません 製造業の生産性が向上するだけでなく これまでには無かった 柔軟性も加わります これが現在の成長に 欠けている要素なのです さらに 製造業がこのように 新たな道を開くことによって 更なるチャンスが生まれてきます マクロ経済の大きな転換が起こります まず 海外移転していた工場が国内に戻ります スケール・カスタマイゼーションの世界では 消費者の近くで生産することが 新たな標準です そして 工場は小さくなり 機動的になります 工場の大きさではなく 柔軟性が重要視されていきます 工場では オーダーメードされた 多品種の製品が作られるようになります この変化は極めて大きいです グローバル化が新たな時代に突入します 東西貿易の流れが 地域内貿易の流れに代わります 地域のための地域による製造です こういう風に考えていくと 古いモデルは馬鹿馬鹿しく見えてきます 在庫を積み上げて 最終消費者の手元に届くまでに 商品は世界中を移動する 新しいモデルでは 製品を消費者の近くで生産します この方が環境を汚さず 地球に優しいのです 成熟経済において 製造が国内で行われることで 雇用が創出され 生産性の向上と経済成長が促進されます 良い話ではないでしょうか? しかし 経済は自動的に 成長するものではありません 成熟経済も成長を追求しなくてはいけません 私達は労働力を大々的に 訓練し直さなくてはいけません 私の母国であるフランスを含めた多くの国々は 製造業に未来はない 遠くの国で行われているものだと― 子供達に教えてきました この考えを180°変えて 製造業の教育を 大学で再開しなくてはいけません このような大胆な改革をする国だけが 今後成長することができるのです また この革命は 途上国にとってもチャンスです もうすぐ 中国などの新興経済国は 「世界の工場」ではなくなるでしょう 新興国が裕福になっていくにつれて このモデルは長期的に 持続可能ではないことがわかっていました 昨年の時点で ブラジルで生産するコストは フランスと同じでした 2018年には 中国での製造コストは 米国と変わらなくなるでしょう 新・製造革命は 新興国での製造モデルから 国内消費によるモデルへの移行を 加速させていくでしょう 良い傾向です 成長はこのようにして生まれるからです 今後5年で 未来の中国が生む消費者10億人は ヨーロッパのトップ5市場全体よりも 大きな力で 世界経済を活気づけていくでしょう 第4次産業革命は 全ての人にとってチャンスなのです 正しい方法で行えば 各国の経済は 継続的に成長することができるでしょう すると 富は全ての人達に より均等に与えられ 子供達の未来も明るくなります ありがとうございました (拍手)


過去50年間、世界の経済成長は鈍化していますが、この問題の打開策は意外な所からもたらされるかもしれません。それは製造業に対してこれまでになかった視点から新しい形で繰り出されます。産業システム思想家のオリヴィエ・スカラブレは「第4次産業革命」がマクロ経済の転換を起こし、雇用、生産性そして成長を飛躍的に促進するだろうと説いています 。 ( translated by Marina Samejima , reviewed by Eriko T. )

動画撮影日:2016/5/20(金) 0:00

TED