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新聞・テレビが全く報じない「もんじゅ」と「規制委員会」の真実【金子熊夫×奈良林直×櫻井よしこ】

WiLL 2015/12/21(月) 12:00配信

「もんじゅ」に対する偏見と怨念

金子 もんじゅに限らず東日本大震災後、各電力会社は大変な人材と資金を投じて改善策を講じていますが、そうした報道はほとんどありません。津波はもちろん竜巻など世界一厳しい基準をクリアすべく対策を講じている。それを重箱の隅をつつくようなことばかり取り上げて「けしからん」とやっていては本末転倒です。
 はっきり申し上げて田中俊一委員長はもんじゅとプルトニウムに否定的な考えを持っているとしか思えません。私も田中俊一氏が難しい立場で懸命に頑張っていることは十分認識しており、彼を個人攻撃するつもりは毛頭ありませんが、彼はかなり前からもんじゅをはじめ高速増殖炉計画に否定的であったことは事実です。ただ従来国策で進められてきたので横目で見ていたのが、東日本大震災が起きて以降、原子力に対する否定的な見方の広がりを受けて「これ幸い」とばかりに叩きにかかっているように見える。第一、氏の言動には温かみが全く感じられません。もんじゅを一生懸命立て直そうとしているときに、「お前たちは無能で不適格だ」とバサッと全否定されたらそれはショックですよ。
 もんじゅの青砥紀身所長が記者会見で、改善に向けて規制委とのやりとりを続けていた最中で「突然はしごを外された感がぬぐえない」と話していたのも頷けます。

櫻井 先ほどご紹介した福井県知事の西川氏の「親切さが欠けている」との批判と重なります。田中委員長が高速増殖炉にそこまで否定的になる理由として考えられる要因はありますか。

金子 かつて日本原子力研究所(原研)と動力炉・核燃料開発事業団(動燃)という研究機関がありました。田中さんは原研の副理事長を務めた人です。もんじゅに先行して敦賀に「ふげん」というユニークな新型転換炉(ATR)が建設され、その後にもんじゅが建てられたわけですが、どちらも動燃が実務的な研究開発を続けてきました。
 一方、原研は基礎研究がメインですから予算も動燃より少なかった。その両者が統合再編され、新たな独立行政法人として、これまで話に出ている機構が設立されたわけです。ところが、気風もタイプも違う両者の間で縄張り争いのようなことが行われてきた。そうした原研と動燃時代からの怨念を引きずっているという面があるのではないかと思います。つまり動燃やもんじゅに対する怨念です。
 ここのところはかなりデリケートなので、もう少し詳しく説明しますと、原子力の興隆時代、旧原研(当初の原研)は高速増殖炉も含め幅広い原子力研究を実施していました。その旧原研が「赤い組合」に牛耳られていたことから、国は新規に動燃という事業団を設立し、サイクル技術事業化開発(常陽、もんじゅ、東海再処理、プル燃料等)を委ねました。旧原研の流れを汲む研究者たちは、「もんじゅ」を筆頭とするこれらの壮大で魅力的な研究開発とそれに関連する潤沢な予算を動燃にとられた。本来自分たちが担うべきであったし、もし自分たちがやっていれば旧動燃や機構のような技術的な失敗(ナトリウム漏れ)や、あのような無様なこと(ビデオ隠し)は起こさなかっただろうという思いがあって、いまだに怨念に取りつかれているのではないか。あまり下司の勘ぐりじみたことは言いたくありませんが、公平な第三者の立場から見て、旧原研出身者にそのような、屈折した感情があるのではないか、という気はします。

櫻井 組織再編に関して、そうした内輪の話は意外と重要な要素ですね。

金子 実は私は、退官して大学教師をしていた当時、二つの組織が統合して現在の原子力機構になる時に偶々動燃の運営諮問委員会の委員をしていて、そうした可能性をひそかに懸念していたのですが、原子力研究者の世界では、そういうことも結構重要な要素のようですね。
 規制委は「もんじゅ」の再開に向けた準備活動すら禁止しました。明らかに「もんじゅ」を潰そうとしているとしか思えません。

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最終更新:2015/12/22(火) 12:31

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