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中国スマホ市場でトップに躍り出たOPPO、その戦略と勝因

HARBOR BUSINESS Online 2016/11/21(月) 9:10配信

 香港特別行政区の調査会社であるCounterpoint Technology Market Researchは、中国における2016年第3四半期のスマートフォン(スマホ)出荷台数に関する調査結果を発表し、メーカー・ブランド別でOPPOブランドを展開する広東欧珀移動通信がトップに躍り出たことが判明した。広東欧珀移動通信は中国の広東省東莞市に本社を置く携帯電話メーカーで、大躍進の背景に迫る。

◆OPPO R9が大ヒット

 広東欧珀移動通信の1位獲得に大きく貢献したのは、2016年3月に発表されたOPPO R9の販売が絶好調なことだ。OPPO R9には及ばないが、OPPO R9の大型版となるOPPO R9 Plusも好調だ。発売時の価格はOPPO R9が2,799人民元(約4万4000円)、OPPO R9 Plusが3,299人民元(約5万3000円)、中国では中高価格帯に分類されるが、経済レベルが高い都市を中心に販売を伸ばした。

 OPPO R9などRシリーズの陰に隠れがちだが、OPPO A37やOPPO A59のようなAシリーズも順調だ。Aシリーズは中低価格帯で、経済レベルが高くない都市でもよく売れた。中低価格帯とはいえこれらは1,000~2,000人民元(約1万5000円~3万円)であり、500人民元(約7500円)以下のスマホも続々と登場する中で決して安いわけではない。

 OPPOブランドは、安くなくても選ばれる理由を戦略的に作り上げてきたのだ。

◆ヒットの決めては「カメラフォン」戦略

 中国では自撮りの需要が高いため、広東欧珀移動通信は自撮り機能に注力したのだ。

 2012年に発表したOPPO Ulike 2がその始まりで、約500万画素の前面カメラを搭載した。画質の決定要素は画素数だけでないが、高画素ほど高画質とのイメージを持つ消費者は多く、分かりやすい指標のためメーカー側もアピールしやすい。当時の前面カメラとしては高画素で、自撮りで高精細な写真を撮れるとアピールした。

 また、カメラアプリには美顔モードを搭載し、顔を美しく見えるよう工夫した。

 2013年には回転式カメラを搭載したOPPO N1を発表した。多くのスマホは前面カメラより背面カメラの方が高性能だが、回転式構造により前面カメラでも背面カメラと同じ高性能なカメラを使えるとアピールした。特殊な形状ゆえに人気は出なかったが、広東欧珀移動通信の自撮り機能への取り組みを広く知らせた。

 そして、OPPO R9は背面カメラより高画素な約1600万画素の前面カメラを搭載した。また、カメラアプリも強化して美顔モードは初期よりも格段に進化し、自撮り機能を極めたスマホに仕上げた。

 こうして長期にわたり蓄積したハードウェアとソフトウェアの両面における自分撮り機能のノウハウは中低価格帯のスマホにも活かされており、広東欧珀移動通信の強力な武器となった。今や広告のキャッチコピーは「OPPO 拍照手机」、英語では「OPPO Camera Phone」、カメラフォンとして売り込んでいるのだ。

 自撮りを日常的に使う若年層に対し、お洒落に自撮りを楽しめるカメラフォンと言えばOPPO、そんなイメージを構築したのである。

◆多数派のオフライン販売チャネルを強化

 ヒットの要因にはもう一つの要素がある。それは、実店舗などで展開する「オフライン」の販売を強化したことだ。

 中国のスマホ販売はオフラインが大多数であり、広東欧珀移動通信はオフライン販売を強化し、洗練されたデザインの旗艦店を含めて中国の各都市に実店舗の展開を進めたのだ。

 その結果、中国では経済レベルなどで都市が区分けされるが、経済レベルが高い一線都市から二線都市ではこれまでより実店舗が充実していたが、三線都市から四線都市でも充実させて一気にスマホ販売台数を伸ばすことになった。また、一部の五線都市でも実店舗を拡充している。実店舗では消費者がOPPOブランドのスマホを体験可能で、サポートも提供して安心感を与える。

 オフライン展開は実店舗以外に広告展開も強化し、カメラのほか急速充電機能のVOOCも大々的に宣伝した。VOOCは上位機種限定となるが、OPPO R9などでは「充電5分間で通話2時間」とアピールし、消費者から高い評価を得た。こうしてイメージや知名度が飛躍的に向上したのである。

◆OnePlusブランドに影響も

 広東欧珀移動通信は本社に工場を併設し、一部市場向けを除いたOPPOブランドのスマホのほか、深圳市万普拉斯科技が展開するOnePlusブランドのスマホも製造している。

 深圳市万普拉斯科技は、実質的に広東欧珀移動通信が新たな取り組みのために設立した企業で、両社は親会社が同じだ。親会社の広東欧加控股は旧社名が広東欧珀電子工業で、新社名はOPPOの中文表記である欧珀、OnePlusの中文表記である一加から一文字ずつ取り、持ち株会社を意味する控股を加えて、OPPOとOnePlusの両ブランドを所有する持ち株会社としての立場を社名変更により明確化した。

 OnePlusブランドのスマホは、基本的に発売からしばらくは注文の招待を受けた消費者のみが注文できる招待制で販売していた。しかし、OnePlus 3は発売時より招待なしで注文可能とした。

 ただ、そんなOnePlus 3は供給不足を理由に公式オンラインストアでは一部の国と地域で注文を一時停止してしまった。招待制の廃止により注文が殺到したと説明したが、実はOPPOブランドのスマホが好調のため工場はフル稼働で、これはOnePlus 3の供給量を増やせない一因となり、遠因だがOnePlusブランドにも影響を与えたのである。

◆さらなる国際事業の強化

 カメラやオフラインなどの戦略が功を奏して急成長を遂げた広東欧珀移動通信は国際事業も手掛けている。

 自撮り需要は中国限定でなく、中国と同様の戦略でインド、インドネシア、タイなどでもスマホ出荷台数を伸ばす結果になった。

 また、2015年にはスペインのプロサッカークラブであるFCバルセロナと公式スポンサー契約を結び、国際事業を強化する方針を改めて強調している。FCバルセロナは世界最高峰のプロサッカーリーグとも称されるスペインのリーガ・エスパニョーラに所属し、世界的な人気を誇る。特に広東欧珀移動通信が注力するアジアの新興国ではレベルが低い各国内のプロサッカーリーグよりハイレベルな欧州のプロサッカーリーグが人気であることも多く、FCバルセロナとの契約は中国を含めて国際的に大きな宣伝効果が期待できる。

 また、国際事業ではインドを最重要市場のひとつとし、インド法人のOPPO Mobiles Indiaには広東欧珀移動通信で国際事業を担当する複数の上級幹部が派遣された。広東欧珀移動通信は国際クリケット評議会ともグローバルパートナ契約を結んでおり、これもインドを重視する姿勢の表れだ。国際クリケット評議会は国際組織だが、インドではクリケットの人気が非常に高く、インドでの宣伝効果を期待した契約だ。

 中国で1位を獲得した広東欧珀移動通信は全世界でもトップ5に入った。今後は新興国を中心にさらなる飛躍を目指す国際事業も要注目だと言える。

<取材・文・撮影/田村 和輝 Twitter ID:paopao0128>

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最終更新:2016/11/21(月) 12:44

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