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ネットを炎上させる“荒らし”は全体の0.47%。さらに「悪の4人格」を兼ね備えた異形の者だった

HARBOR BUSINESS Online 2016/11/22(火) 16:20配信

 あい変わらず、ネットでは炎上やケンカが絶えません。悪意のない失言ひとつに大量の人たちから一方的な非難が殺到し、果ては「クズ」「ゴミ」「死ね」といった人格否定にまで進む光景は、すでにおなじみのものです。

 特にここ数年のツイッターはケンカの発生率が高く、うかつな発言を恐れて鍵アカに引きこもるユーザーも激増。まさに現代のSNSは「修羅の国」と言えましょう。

 が、同時に近年では、この問題に取り組む研究者も増えてきました。ネットでケンカを起こす人たちの傾向を探り、科学的な対策を提案する機運が高まってきたのです。その代表例が、2016年4月に出版された「ネット炎上の研究」でしょう。本書のなかで、著者たちはネットで19,992名にアンケートを行い、それぞれのライフスタイルやネット炎上へ参加した経験などを細かくチェックしました。

 そこで明らかになったのは、以下のような事実です。

・ネット炎上に参加したことがある人は全体の1.1%だけだった。

・そのうち、ネット炎上に積極的に参加している人は0.47%しかいない。

 どんなに激しくネットが燃え盛っているように見えても、実際にガソリンを注ぎ込んでいるのはほんの少数だけ。現実的には、たった数十人のユーザーが大暴れしたせいで、あたかもネット全体が修羅の国であるかのようなイメージが作られたことになります。恐ろしいですねぇ。

◆4つの“荒らし”特有のパーソナリティ

 それでは、この0.47%の人たちは、いったいどんな性格の持ち主なのでしょうか? この疑問については、カナダのマニトバ大学が、2014年におもしろい論文を出しています(2)。

 研究チームは、まずオンラインでアンケートを行い、日ごろよくネットで誹謗中傷をくり返す人たちだけをピックアップ。そのうえで全員に性格テストを行い、「荒らし」に特有のパーソナリティをあぶり出したのです。

 その結果、すべての「荒らし」に共通していたのは、以下のポイントでした。

・マキャベリズム=他人を操ったりダマそうとする性向

・ナルシシズム=自己中心的で自分が大好き

・サイコパス=他人への共感や後悔の感情がない

・サディズム=他人を苦しめるのが楽しくてしょうがない

 これら4つの指標は、いずれも人間のダークな側面を代表しており、すべての要素を兼ね備えた人のことを、心理学では「ダークテトラッド」と呼びます。

 データによれば、「荒らし」のダークテトラッドのレベルは、一般的なネットユーザーのなんと6倍以上。要するに、ちょっとした失言をネチネチと攻撃するようなユーザーは、いくら表面では正義にあふれた言葉を吐いていようが、その根っこには「他人を苦しめたい!」という激しい欲望しかないわけです。誰もがうっすらと気づいていた事実に、あらためてエビデンスが出た感じでしょうか。

◆ダークデトラッドへの対処法は、徹底無視と同情

 実は、ダークテトラッドに出会ったときの対処法は、ひとつしかありません。徹底的に無視を決め込むことです。

 2016年に、オーストラリアの研究チームが、396人のダークテトラッドを調べたうえで、こんな結論を出しています。

「『荒らし』たちのゴールは、ネガティブなコミュニーケーションによって、社会的なカオスを引き起こすことだ。この事実をネットユーザーが学べば、荒らしに対してもっと洗練された対応ができるだろう」

 ダークテトラッドの目標は、正義でも建設的な議論でもなく、あくまで他人の苦しみを引き出すこと。怒りや悲しみといったネガティブな感情こそが、彼らの欲望を育てるエサなのです。

 つまり、自分の感情が少しでもゆれ動く姿を見せた時点で、向こう側の思うツボ。反応さえ見せなければ、ほどなくダークテトラッドは次の狩り場へ向かっていきます。その意味で、「荒らしはスルーが一番」という有名なフレーズは、科学的にも大正解だと言えましょう。

 それでも彼らに反撃したくなったときは、「この人たちは、他人を苦しめたい衝動に突き動かされているだけの可哀そうな人たちなんだな…」と思ってみてください。少しは優しい気持ちになれるんじゃないでしょうか。

1.田中 辰雄、山口 真一「ネット炎上の研究」勁草書房

2.Erin E. Buckels,et.al“Trolls just want to have fun”(2014)

3.Naomi Craker,et.al“The dark side of Facebook®: The Dark Tetrad, negative social potency, and trolling behaviours”(2016)

<文/Yu Suzuki 写真/ぱくたそ>

月間100万PVのアンチエイジングブログ「パレオな男」(http://yuchrszk.blogspot.co.id/)管理人。「120歳まで生きること」を目標に、日々健康維持に励んでいる。アンチエイジング、トレーニング、メンタルなど多岐にわたり高度な知見を発信している。NASM®公認パーソナルトレーナー。あまりに不摂生な暮らしのせいで体を壊し、一念発起で13キロのダイエットに成功。その勢いでアンチエイジングにのめり込む。11月11日、初の著書『一生リバウンドしないパレオダイエットの教科書』(扶桑社)が発売予定。

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:2016/11/22(火) 16:20

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