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【月刊『WiLL』(1月号)より】「トランプ勝利の理由」を解説するコメンテーターを疑え!

2016/12/2(金) 20:18配信

WiLL

CNNは世論を見誤ったか

 米大統領選挙でトランプが勝ったことで世界が驚愕した。最も驚いたのは日本人であろう。日本の報道(の殆ど、或いはそれ以外の国も)はCNNを要約したものを垂れ流しただけだったから、その驚愕度合いは尋常ではなかった。CNNは選挙当日(開票直前)、すでにほぼ確定している選挙人数をクリントン268、トランプ200前半と予想した。この数字なら、ニューハンプシャーなどの少人口州(選挙人4名、以下括弧内の数字同じ)をクリントンが制しただけで彼女の勝利が決まる(過半数270突破)。
 CNNを転写した日本のメディアや言論人や記者などが、この予想を鵜呑みにし、大凡クリントンの勝利と思った人々は圧倒的多数に違いない。かくいう私も、共和党予備選挙でトランプが指名されるのが確定的となった今年3月の段階で、「在日米軍の駐留経費の負担増および、それなくば在日米軍の撤退」「日本と韓国の核武装容認」などの対日強硬発言を憚らないトランプの姿勢に対し、「そこまで言うなら、撤退で結構です。日本は日本で自主防衛します」という「対米自立」「自主独立」の機運がにわかに高まる(高まらざるを得ない)状況が発生することを想定した「逆張りトランプ論」を様々なメディアで展開してきた。が、それはクリントンの勝利を概ね前提とした「思考実験」の類であり、本当にトランプが勝つ可能性は低いと考えていた。
 トランプ勝利で盛んにCNNの世論調査が間違っていた、と叫ばれている。しかし、一般投票の総数ではクリントンがトランプをわずかに上回った。この数字は、事前の全米世論調査とほぼ同じである。「CNNが世論を見誤った」というのは言い過ぎである。
 米大統領選は、メーン州(4)とネブラスカ州(5)を除き、1票でも多い方がその州の選挙人を総取りする。よって、2000年のブッシュ(子)vsアル・ゴアのように、たとえ一般投票でゴアが勝っても、たったひとつの接戦州を制したものが勝利するケースがある。2000年の選挙ではフロリダ(25)を、わずか数百票で上回ったブッシュ(子)がゴアを破った。
 この時、フロリダ州知事はブッシュ(子)の弟のジェブ・ブッシュ(ジェブは今次共和党予備選に出馬したが2016年2月に形勢不利のため撤退した)だったことから、アル・ゴアを支持する熱心な民主党支持者から「開票操作」などの陰謀論が飛び出す始末だった。東海岸や西海岸の熱心な民主党支持者は、トランプをヒトラーにたとえたが、この時もブッシュ(子)をヒトラーにたとえて「アメリカの民主主義が死んだ」と言った。いつの時代でも、洋の東西を問わず、自分の支持する党が不調だと爆発する人はいる。アメリカがレッド(共和党)とブルー(民主党)で分断されているのは何も今年だけではなく毎度のことである。

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最終更新:4/27(木) 16:00
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