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異様な医学部人気を憂う 受験エリートがゲーム感覚で受験も

BEST TIMES 2016/12/16(金) 16:00配信

相も変わらず医学部が人気だ。少子化で受験者数全体が減っているにもかかわらず、倍率が下がることはない。『公立VS私立』の著者・橘木俊詔氏は、同書の中で、医者になることのメリットも整理した上で、この異様な医学部人気に一石を投じている。

◆医者の年収は最低ベースで1000万円以上

  まず医者になれば、どれほどの高待遇が得られるのか。改めて医学部・医者を目指すメリットを考えてみる。

 「大学病院や公立・民間病院の勤務医の平均年収は1000万から1500万円、開業医は2000万から3000万円と言われています。夫婦で内科と耳鼻科を開業しているような人は、2人で年収1億円を超す人もいます。やはり他の職業よりもダントツに高い数字です。昨今、勤務医の重労働、激務が問題となっていますが、それでも所得が高いというのが一番の魅力です」

 加えて橘木氏は、医師という職業の「ステータス」を強調する。

 「一流企業に就職しても、いつつぶれてしまうかわからない時代で、医師の資格を持っていれば食いはぐれないだろうという意識が、親御さんにも子どもにも大きくなっているのが、(昨今の医学部人気の)理由として大きいでしょう。また、人の命を預かる尊い職業ということで、尊敬の対象であることも医師人気の一つの理由と思われます」

 ちなみに医学部に6年間ストレートで通わせた場合の学費は、国公立大学で約350万円、私立大学では3300万円にものぼる(文部科学省教育費調査)。それほどの「コスト」を大きくかけても、のちのちの「リターン」に期待する家庭が増えているということか。

◆受験エリートたちはゲーム感覚で医学部受験? 

 しかし橘木氏は昨今の過熱する医学部人気に関して、受験エリートたちが「医師になるつもりがない」のに受験するケースも目立つと指摘する。

 「(私の母校でもある)灘高校からは東大医学部、京大医学部にそれぞれ毎年20名以上が合格し、進学していますが、200名の高校生のうち80名も90名も医学部に進学するというのは異様な状況です。おかしなことです。灘校などでは偏差値の高い学生たちの中に『医学部に合格すれば入試の成功者だ』という変な意識があるようなのです。医者になりたいという気がないのに、偏差値が高いから、偏差値表の一番上に名前があるから、というだけで京大医学部、東大医学部合格が入試の成功だと思ってしまう」

 「そんなことで医学部に行かれては、たまりません。ただ頭がいいからと医師になられても、いい医者になれるとは限りません、また、いざ医学部に入学したものの、血を見て卒倒するとか、『どうも医師には向いていない』と気づいて、ドロップアウトする人も多いと聞きます。これは不幸なことです」

 折しも現在、国立大学医学部生らの事件が世間を騒がせている。厳しい言い方をするようだが、「医師には向いていない」医学部生が増えているのも事実ではないだろうか。ますます過熱する医学部人気。だが改めて医学部・医師の尊厳が問われている。

 

 

 

文/KKベストセラーズ書籍編集部

最終更新:2016/12/16(金) 16:00

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