ここから本文です

今後は、リフォーム・リノベーションによる付加価値向上ビジネスに注目!

HARBOR BUSINESS Online 2016/12/18(日) 9:10配信

 配偶者控除の見直しや、酒税の改革で発泡酒や第三のビールも増税になること、タワーマンションにおいて階層が上がるごとに固定資産税が増税される仕組みに変わるなど庶民の暮らしにも影響が少なからず大きそうな改革だが、本稿では「長期優良住宅化リフォーム減税」に着目したい。

 これは、良質な住宅ストックの形成を促進するために長期優良住宅化リフォーム減税が新たに創設されたものである。国土交通省資料によれば、“住宅の性能向上リフォームを推進することで、耐震性・省エネ性・耐久性等に優れた良質で次の世代に資産として承継できるような住宅ストックを形成し、既存住宅流通・リフォーム市場の活性化を図る。これらを通じて、豊かな住生活の実現と確かな経済成長を目指す。”とある。(参照:国土交通省「平成29年度税制改正(租税特別措置)要望事項」)

 2009年のデータになるが、国内の全住宅流通量(既存流通+新築着工)に占める既存住宅の流通シェアは約13.5%と、欧米諸国(米国90.3%、英国85.8%、フランス64.0%)と比べると6分の1程度と低い水準にあった。(参照:国土交通省「第1回中古住宅の流通促進・活用に関する研究会」)

 しかしその後、リノベーションなどが注目されることで、国内の既存住宅流通シェアのウェイトは大きくなりつつある。新築住宅にこだわらない消費者が増えており、首都圏を中心に、中古マンションの成約件数が増加している。新築住宅の購入価格が上昇したことも、既存住宅の流通シェア増加の要因となっている。

 政府は、政策目標を、“2025年までにリフォームの市場規模を12兆円に倍増する(2010年6兆円)、2025年までに既存住宅流通の市場規模を8兆円に倍増する(2010年4兆円)”としており、今後はますますリノベーション・リフォームが重要な役割を果たしてくると思われる。

 今年6月に東証2部から1部に変更になった「インテリックス」社もこうしたリノベーション関連で注目されている企業だ。

 インテリックス社は、中古マンションを主に個人から、不動産仲介会社を通じて、一戸単位で仕入れ、その後、最適なリノベーション(再生)プランを作成し、子会社である株式会社インテリックス空間設計で高品質な内装を施した上で、再度、不動産仲介会社を通じて一般のお客様に販売するビジネスモデルである。

 従来から流通している中古マンションのようなリフォーム(表面的な内装)に止まらず、物件の状態に応じて、間取りの変更や目に見えない給排水管の交換等に至るまで老朽化・陳腐化した箇所を更新しリノベーション(再生)することにより、商品価値を高めて販売する点が特長だという。さらに、施工した全ての物件に対しては、部位別に、工事の内容に応じて、3ヶ月から最長10年の「アフターサービス保証」を付けていることも特長の一つであり、購入時に抱える不安要素(永住性や資産性など)を払拭し、顧客満足度の高い住宅の供給を行っている。(参照:有価証券報告書)

 一方、「長期優良住宅化リフォーム減税」とは関係しないが、商業ビルや商業施設でのリノベーションによる付加価値向上にも注目しておきたい。住宅のリフォーム・リノベーションとの共通点は、新築よりも廉価で、質を向上させており、ユーザーにとっての価値を高めていることである。

 商業ビルのリノベーション事業としては、いちご社の「心築」も注目を集めている。「心築」とは、いちご株式会社の造語であるが、心築案件とは、いちご社の不動産技術、ノウハウにより価値向上の見込める案件を取得し、不動産のプロとしての価値向上を施し、売却益による高い収益性を目指して取得する不動産案件のことを指すという。同社の第2四半期報告書では、「心築」セグメントの売上高は82,307百万円(前年同四半期比664.9%増)、セグメント利益は13,092百万円(同316.6%増)と、急増している。(参照:四半期報告書)

 また、商業施設のリノベ―ション事業としては、バルニバービ社による印刷工場からレストランへなども興味深い例だ。店舗事例のページにある、リノベ―ションのbeforeとafterの違いは見ていても面白い。(参照:バルニバービ社Webサイト)

 バルニバービ社は、“当社グループの強みは、通常のレストランの立地としては店前通行量が少ない等の理由で好立地とはいえない「バッドロケーション」ではあるが、人々をほっとさせるような街並みや水辺・公園などの周辺環境に恵まれた場所に着目した出店を行い、その街を活性化することで、事業展開を行ってきたことにあります”としている。(参照:有価証券報告書)

 従来のスクラップ&ビルド型ではなく、既存ストックを価値向上し、再有効活用することは環境的にも今後重視されていくであろうテーマだ。もちろん、耐震基準などの安全性あってのものだが、それらを両立したリノベーション事業は今後ますます注目されていくに違いない。<文/丹羽唯一朗>

ハーバー・ビジネス・オンライン

最終更新:2016/12/18(日) 9:54

HARBOR BUSINESS Online