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【月刊『WiLL』(2月号)より】「百日計画」でみるトランプ革命

1/5(木) 16:09配信

WiLL

冷戦構造が復活

 私はさまざまな著作の中で次の時代に何が起こるのか、「予測」を書いています。物事には原因があり過程があって、結果が生じます。ですから、原因と過程を見ながら合理的回答を模索しているわけです。
 今回の大統領選は、投票日前日の11月7日、フジサンケイビジスネスアイのコラム「高論卓説」に「トランプ大統領誕生はあり得る」と書きましたが、予測通りとなりました。
 トランプが大統領選に勝利した背景と結果は一体何なのか。私は80年代の「冷戦」構造の復活の始まりではないかと思っています。
 1989年、ベルリンの壁が崩壊から、1991年のソ連崩壊による東西冷戦の終結後、ワンワールド化を推進するグローバリズム勢力が台頭しました。
 しかし、グローバリズムは2008年のリーマンショックにより突如として終焉、代わって台頭したのがナショナリズムです。
 2013年、ローマ法王は新自由主義とグローバリズムを否定。2014年、ソチ五輪後、ロシアとクリミア半島におけるウクライナとの国境紛争が勃発。
 これにより、ロシア(旧東側)と、アメリカをはじめとした欧州(旧西側)が再び対立、無力さを露呈したNATO(北大西洋条約機構)は再構築の議論すら巻き起こっています。ロシアと西側諸国との冷戦が始まったのです。
 さらに2015年10月、アメリカは、中国が支配を狙っている南シナ海をめぐって「航行の自由作戦」(度を越した海洋権益の主張をしていると判断した国の海域や空域を対象に、米軍の艦船や航空機を派遣する作戦)を実施。米中間の冷戦構造に突入しました。
 このような世界の再編が起こっているときに、今までのグローバリズム、一つのルールで物事を動かすという考え方は瓦解しました。
 今回、選挙戦でトランプは、レーガンが大統領選で使用したスローガン、「Make America Great Again!(アメリカを再び偉大に!)」を自らのキャッチフレーズとし、「古きよきアメリカを取り戻す」と主張しました。
 この「古きよき」とは、冷戦構造時代のアメリカ、つまり「アメリカファーストの80年代に帰る」という意味です。その証拠に、トランプが選んでいる補佐官やスタッフなどを見ると、80年代、レーガン政権運営に携わった人たちばかりです。
 今後、トランプはアメリカの国益を最優先に考えた政策を推し進めていくでしょう。たとえば、国内の鉄鋼業を復活させる。アメリカ外で生産を始めようとしたエアコン会社を国内にとどめる。アップルの生産を国内に呼び戻す。GMやクライスラーなど、アメリカ政府の支援を受けたかつての大企業に、アメリカ国内での生産を拡大させる……などです。
 冷戦時代は、旧ソ連においても、アメリカにおいても、とても都合がいい状況でした。いわゆる戦争に至る軍事衝突という一線を越えない出来レースだったのです。しかし、グローバリズムでは、出来レースができない。非常に中途半端にならざるを得ないのです。
 出来レースが常態化していた時代に戻す。トランプの目論見はそこにあるのです。

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最終更新:4/27(木) 15:56
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