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「プロ1年目の選手に否定系の言葉はNG」。言葉を重視する、落合流コミュニケーション術

ベースボールチャンネル 1/10(火) 10:00配信

1年目のみ、選手の考え方に任せる

 2016年のドラフト会議では、育成を含めて115名のアマチュア選手が指名され、うち114名がルーキーとしてプロの世界に飛び込む。

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 ドラフト何位指名であろうと、ルーキーは新たな世界で成功を収めるために全力で突っ走り、彼らを育成する監督やコーチも指導に最善を尽くそうとする。しかし、すべてのルーキーが思い通りに成長し、チームにとって不可欠な戦力になってくれるわけではない。では、厳しい競争社会を生き抜いてもらうために、指導者は選手とどう接したらいいのだろうか。

 自身が3位指名でロッテへ入団した直後の春季キャンプで、「あの打ち方では使えない」と酷評され、「それならドラフトで指名するなよ」と憤慨したという落合博満は、選手との関わり方についても細心の注意を払っていた。

「先発投手陣の年齢が高くなってきた、このポジションに若手がほしい、そうした理由があるからドラフト指名する。指導者の立場としては、どの新人にも一日でも早く戦力になってもらいたいんだけれど、だからと言ってこちらのペースでは進められない」

 新人とコミュニケーションを取る時、落合は「否定のフレーズだけは絶対に使ってはならない」という。プロでは1年目だが、アマチュア時代には知らない者はいないという実績を積み重ねてきた選手は、自分が取り組んできた練習法、考え方は正しいと思っている。そんな選手に対して「おまえのやり方は違う。こうやらなくてはいけないんだ」と一方的に否定してしまうと、選手と指導者の間には溝ができてしまう。

 そこで、1年間だけは選手の考え方に任せ、アドバイスを求めてきた時だけ、その選手の実力を評価しながら指導する。この時に大切なのは褒めること。とにかく、特長だと思える部分を見つけて褒めるのだ。

長年芽の出ない選手には指導者主導も

「例えば、入団直後の私に対しても、『あの打ち方では使えない』ではなく、『なかなか個性的な打ち方だけれど、こういう打ち方も試してみるといい』と伝えればよかった。実際、私の打ち方は使えなくて、先輩のフォームを参考にして新たに作り上げていったんだから。私たちの時代は、指導者の何気ない、けれど選手にとってはプライドを傷つけられるような言葉によって、多くの若手が消えていったと思う。指導する立場になったら、それを繰り返しちゃいけないだろう」

 そうして1年を過ごしたあと、思い描く結果を出せなかった選手については、指導者もその原因を分析しておく。もちろん、選手自身も打開策を考えているだろうから、それを尊重しながら正しい練習法を教えなければならない。加えて、自信を持たせるのも大切だから、常にコミュニケーションを取り、「自分は指導者から見放されていないんだ」と感じさせることも必要だという。

 そして、指導者の力量が最も求められるのは、数年経ってもなかなか芽の出ない選手だ。こうした立場の選手に対してだけは、指導者の主導型で完璧に洗脳してやるしかない。色々な形で努力してきて、それでも好結果が出ないのだから、「俺を信じてついて来い」と伝えて闘志を掻き立てるしかないのだという。

「技術の世界と言っても、やるのも教えるのも人間でしょう。同じ目標を目指すなら、できる限り人間関係も良好なほうがいい。空腹や寝起きの人に矢継ぎ早に言葉をかけたら、気分を害してしまうように、言葉をかけるタイミングは大切。どんな言葉をいつかけてやればいいのかは、指導者にとって永遠のテーマだろう」

 そう語る落合の視線は、とても温かい。



横尾弘一

ベースボールチャンネル編集部

最終更新:1/10(火) 10:00

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