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9500年前の奇妙な「エリコの頭蓋骨」、顔の復元に成功

ナショナル ジオグラフィック日本版 1/12(木) 7:20配信

最新のデジタル技術により40代の男性と判明

 大英博物館で最も貴重な遺物の1つ、約9500年前の「エリコの頭蓋骨」。祖先崇拝の儀礼のために、一部が切り取られ、しっくいによる装飾がほどこされた骨から、このたび元の男性の顔の復元に成功した。

復元した顔の写真

「エリコの頭蓋骨」は、同博物館の収蔵品のなかでは最古の肖像だと考えられ、また近年までは最も不可解な収蔵品でもあった。一部が切除された人間の頭蓋骨を、すり減ったしっくいが覆い、眼窩には貝殻がはめ込まれている。

 だが最近、デジタル画像処理と3Dプリント、そして法医学の復元技術を用いて、専門家たちが古代の工程を逆にたどってみた。すると、そこに現れたのは、鼻の骨が折れた40代の男性だった。

前例のない発見

 しっくいを塗られ装飾された新石器時代の頭蓋骨は7つ存在する。「エリコの頭蓋骨」はその1つだ。1953年、考古学者キャスリーン・ケニヨン氏によって、現在のパレスチナ、ヨルダン川西岸地区、エリコ市に近いテル・エッ・スルタン遺跡で発掘された。同年12月、『ナショナル ジオグラフィック』誌で初めて報じられると大きな反響を呼び、ケニヨン氏は世界的に知られるようになった。

 ケニヨン氏はナショナル ジオグラフィックの読者に向けて、最初の頭蓋骨が見つかった瞬間の様子を「7000年以上前に生き、亡くなった人物の姿を目にしているのだと気付き、私たちは発見の興奮に包まれた」と描写している。「このような芸術品が存在しようとは、どんな考古学者も予想だにしなかった」

 7つの頭蓋骨は細部の違いはあったが、いずれも顔の繊細な骨を支えるために中に土が詰められていた。次いでしっくいが塗られ、耳、頬、鼻といったそれぞれの顔の特徴が作り上げられていた。小さな貝殻で目が表現され、塗料の跡が残っているものもあった。

 ケニヨン氏の発見以降、このように装飾された頭蓋骨が、中東からトルコ中央部にわたる新石器時代の遺跡で50個以上見つかった。この出土品が祖先崇拝の初期の形を表しているという点で研究者の意見はおおむね一致しているものの、数千年前に生前の姿を永遠にとどめるために選ばれた人物が誰なのか、またその理由も、ほとんど分かっていない。

 しっくいを施された頭蓋骨のうち数点はデジタル技術で分析されてきたが、3Dプリンターで造形され、法医学の手法で復元されたのは、大英博物館が所蔵する「エリコの頭蓋骨」が初めてだ。

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最終更新:1/12(木) 7:20

ナショナル ジオグラフィック日本版

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