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福田雄一インタビュー「小泉さんの“鬼嫁”は完璧です」

Smartザテレビジョン 1/14(土) 11:00配信

1月14日(土)夜9時より、日本テレビ系にてスタートする新ドラマ「スーパーサラリーマン左江内氏」。放送を間近に控える中、今回同ドラマで脚本・演出を手掛ける福田雄一にインタビューを敢行。キャスト陣の印象や、脚本の裏側などについて語ってもらった。

【写真を見る】スーパースーツの力で左江内が空を飛ぶシーンでは、福田が堤に着地の演技指導!?

――まずは、第1話の放送を間近に控えた現在の心境をお聞かせください。

(第1話は)楽しく撮れましたね。ある意味、深夜帯のドラマをやっていた時よりも気楽に撮影できたかもしれないな、と(笑)。

――今お話にもありましたが、福田監督が脚本・演出を手掛けた連続ドラマとしては、今回が初のゴールデンタイムとなりました。そういった部分で、何か意識されたことはありましたか?

むしろ自分の中では、何となく「そこを意識しないでいこう」というのを今回の趣旨として考えていました。深夜だからどうとか、ゴールデンだからどうとか、そうした差別化は自分的にはしないでいった方がいいかなと。

別に自分のスタイルを押し付けるわけではないですが、(そうした方が)自分なりに楽しいドラマが作れるんじゃないかと思って。「ゴールデンだからこれはやめた方が良いかな?」とか、ゴールデンだから見やすいように作るということは、あまりやっていないかもしれないですね。

――今回のドラマは、藤子・F・不二雄先生の漫画が原作となっていますが、福田監督が最初に原作をお読みになった際の印象はどのようなものでしたか?

元々この手の作品がずっとやりたかったんですが、ここ最近(手掛けた作品の中で)若干切り口が似ているものが結構あったんです。そこで「何か突破する方法は無いのかな?」と思っていた時に、出合ったのがこの作品(原作の『中年スーパーマン左江内氏』)で。

これは'70年代後半の作品なんですけど、最初に読んだ時は、その時代に藤子先生がこういう切り口のものを書かれていたというのが素晴らしいなと思って。

現代風に言うと、いわゆる「ユルい」と言われるタイプの作品だと思うんですよ。左江内さんは正義の味方なのに大した事件も解決しないし、倒せないような強大な敵が現れるわけでもないですし。

なので、元々やりたかったというものにプラスして、藤子先生のお力をお借りして、自分なりの「ユルい」スーパーヒーローというか、正義の味方像を描く作品が作れたらいいかなと思って脚本を書き始めました。

――その中で、「こだわって変えていきたい」という部分や、逆に「ここはしっかり残して描きたい」という部分はどんなところでしょうか?

左江内さんのキャラクターについては、原作に基づいていかなきゃいけないと思っています。ドラマでは直接的には描きませんが、「なぜ左江内さんがヒーローに選ばれたのか」っていうところは、絶対的に守っていきたいなというのはすごくあって。

一方で、原作に描かれていない“サブキャラクター”に関しては、僕の持ち味のところで遊ばせてもらおうかなとは思っていますね。そもそも原作では奥さんのこともあまり描かれていないですし、警察の人とかも出てこないですから。

あとは、藤子先生がこれを書かれた当時と比べて社会が多様化しているので、社会や家庭のシステムなど、だいぶ変わってきている部分を現代的にしていければ。やっぱり'70年代では、女性がここまで強いっていう状況は無かったでしょうし(笑)。

――撮影もクランクインから1カ月ほど経過されたかと思いますが、現場の様子などはいかがでしょうか?

現場はすごくスムーズですね。「ちょっとあそこ難しかったな~」とか、目立ったつまずきをしていないですし。堤(真一)さんが本当に最初から左江内のキャラクターを全て理解してやってくださっていて、その上で楽しんでくれていることが一番大きいんじゃないかなと。

小泉(今日子)さんも、(演じている円子が)基本的には僕の奥さんがモデルということになっているんですが(笑)、「僕の奥さんのことを隠し撮りしたビデオでも見たのかな?」っていうくらい、すごく僕の書いている脚本のせりふのニュアンスを100%再現してくださっていて。

あと、堤さんと小泉さんが、はね子(島崎遥香)やもや夫(横山歩)を現場で本当に家族のようにかわいがってくれていて。本当にその(家族の)空気作りみたいなものを、お二人のお力を借りて完璧にやれていると思います。スタッフも一緒に楽しめていますし、とてもいい状況だと思いますね。

――今小泉さんの「鬼嫁」ぶりのお話もありましたが、福田監督から見て「特にここがすごかった!」というところはどんなところでしょうか?

ウチの嫁がモデルではあるんですけど、「ウチの嫁をマネしてください」っていうのは小泉さんに対して失礼なので、当初は僕の書いたせりふを読んだ上での印象を小泉さんにくみ取っていただいて、鬼嫁の役作りというのをお願いしようと思っていたんです。

ところが、偶然にもちょっとしたしぐさまで似ていて。一番びっくりしたのは、ウチの嫁が怒る時に、歯を食いしばってちょっと(アゴが)しゃくれるんですよ(笑)。「てんめぇ~!」って言って。

歯をギィ~ッと食いしばってしゃくれるその表情を、1回小泉さんがやられたことがあって。「うわっ、そんなところまで!」とちょっと思いましたね。「そんなディテールまでちょっと…」みたいな感じはありましたね。

あと、ウチの奥さんが小泉さんと身長が同じくらいなんですよ。(背格好まで似ているので)家庭のシーンを撮っていると、何かこう胃がぎゅっとつかまれる感じがします(笑)。身につまされながらもずっと笑ってますね。

この前第1話の台本をウチの長男が読んで、めっちゃ笑ってましたもん。「ママや~ん!」て言って。本当に小泉さんは完璧でしたね。ちょっとしたこのせりふのこの顔!って繰り出してくる感じが。何一つ文句ない感じで、素晴らしいと思いましたね。

――ムロツヨシさん、中村倫也さん、佐藤二朗さんなど、まさに「福田組」というおなじみのキャストの方々も勢ぞろいされていますが、そういった方々とのシーンはいかがですか?

やっぱり僕もゴールデンタイムのドラマということで期するものがあったんですけど、正直彼らに「ゴールデンだからってやり方を変えるな」と教えられましたね。

彼らがクランクインして、「じゃあ段取りやりましょうか」ってなった時に、倫也にしてもムロくんにしても二朗さんにしても、台本を守っているんだかいないんだかよく分からない、ふざけたことをやるわけですよ。

それを見ていて、彼らに「おい、おまえスタイル変えんなよ?」って言われた気がしたんですよね。「いや、ゴールデンだからもうちょっとおとなしくしておこうよ」みたいなことを、口が裂けても言うんじゃねえぞっていう思いが、彼らの芝居で伝わってきたんで。

「あ~、そういうことか~」っていうのを、自分でも内心思っていたんでしょうけど、ずっと深夜帯で一緒にやってきていた仲間の芝居であらためて気付かされたな~っていうのはありますね。

――福田監督はTwitterなどで、「今回のドラマの脚本はあっという間に書けた」といった発言をされていたかと思いますが、実際に執筆をされている中で「書きやすい」と感じた部分はどんなところでしたか?

実話が多いってことですかね(笑)。恐らく「鬼嫁」っていう、ちょっとぶっ飛んだ嫁の設定って、普通の作家さんであれば一番苦労されると思うんですよ。

「どんなことをやったら奥さんがおかしいと思われるんだろうか?」ってところで、一番苦心されるはずなんですけど、その部分で全く苦心しなかったということですね。

僕は「週刊現代」(講談社)に、ウチの嫁の悪行をつらつらと書き続けて7年くらいたつんですけど、7年間ストックしている悪行の数々が、このドラマの脚本を全話書いてもその100分の1も使ってないくらいあって。

結果的により厳選した「福田家の実写化」が含まれているので、何も苦労することが無かったということだと思います。さらに原作があるということで、要は「原作+ウチ」みたいな感じになってます(笑)。

あとはムロくんとか二朗さんとか、そういう手管を知っている楽しい仲間たちの楽しい場面を描くだけなんで、苦労することはそんなになかったなという感じがします。

――「勇者ヨシヒコ」シリーズ、「コドモ警察」、「ニーチェ先生」など、これまで多種多様な“チーム”の姿を描かれてきましたが、今回は「家族の在り方」をかなり直接的に描いた部分が印象的でした。家族のエピソードを描く上で、どんなことを意識されていましたか?

「家族」というものの描き方が、それ単体では成立しないということが、このドラマの一番のキーだと思っていて。やっぱり「家族と会社」「家族と仕事」っていうものを一緒に描くことで、それは間違いなくお互いに影響し合うんですよ。

ウチの嫁があんなことになったのも、たぶん僕の仕事のせいであることも(要因の一つとして)絶対にあって。結局家族関係を純粋に描いただけでは、左江内さんを取り巻く状況は絶対的に分からないはずなんです。

仕事でも家庭でもいろんなことで苦労している左江内さんが、スーパーヒーローという役割を請け負っちゃって、やらなくていいことをやらされる羽目になりながら、いかにそこを丸め込んで切り抜けていくかっていう話だと思うんですよ。

なので、「スーパーヒーローを始めました、仕事がこんなことになってます」っていう中で、家庭がどう動くのかを描きたいなっていうのが、今回のドラマの主旨ではありますね。

――今後の放送回では、(「パーマン」や「ドラえもん」などで登場する)コピーロボットが登場するシーンなどもありますが、原作を管理されている藤子プロさんとのやりとりはいかがでしたか?

藤子プロさんは本当によくしてくださっていてます。藤子プロさんがたまたま僕の「勇者ヨシヒコ」シリーズをお好きでいらっしゃって。そこが非常にラッキーだったなっていう。ある程度、今までの僕の姿勢を見てくださっていたのかなって。

(国民的漫画家の作品だけに)ちょっとハードルが高いイメージがあるじゃないですか。でも今回は、(左江内の勤務する会社も)「藤子建設」って名前ですし、「小池さん」や「木手さん」といった名前もガンガン使ってますし。

僕の「藤子・F・不二雄愛」を余すところなくぶち込んでいきたいという姿勢を、とても理解してくださって。「あれやってる人ならこれ許さなきゃしょうがないな」みたいなこともあるかもしれないですけど、非常によくしてくださっていますね。

「あ、これ許してくれるんだ!」みたいなことがすごくあって。とってもうれしいですね。この前、コピーロボットが登場するシーンを撮影したんですけど、ちょっとテンション上がりましたね。

――それでは最後に、これからご覧になる視聴者の方へメッセージをお願いします。

土曜9時なので、ぜひとも家族で見てもらいたいですね。お子さんはお子さんで、お父さんはお父さんで、お母さんはお母さんで大変なところがあり、お父さんもお母さんも、子供は子供でこんなこと思っているんだろうなっていうことを気付くきっかけになればと思います。

基本的にはやっぱりホームドラマだと思うんですよ。結局そのホームドラマが、いろんな要因でどういうふうに成長していくとか、どういうふうに分かり合えるのかってことが中心になってきます。

お父さんにいつもわがまま言ってたかもしれないけど、「あ、お父さん仕事大変なんだな」って思うだけで、ちょっとだけお互い優しくなれるんじゃない?みたいな(笑)。そういうところをぜひ、見てほしいなっていうのはありますね。

基本的にウチは全くお互いを理解し合わない家庭なので、そういうところを見取っていただけると、より一層楽しめるんじゃないかと思います(笑)。

最終更新:1/14(土) 11:00

Smartザテレビジョン

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