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ONE OK ROCK、“世界のポップスター”へと歩み進めるか “日本の常識”超えたサウンドを聴く

1/28(土) 13:00配信

リアルサウンド

【参考:2017年1月16日~2017年1月22日週間 CDアルバムランキング(2017年1月30日付・ORICON STYLE)】(http://www.oricon.co.jp/rank/ja/w/2017-01-30/)

 E-girlsの4作目『E.G. CRAZY』が初登場1位。売り上げは93,165枚。10万枚まであと少しというこの数字は、グループ史上最高記録です(オリジナル作品としては。ベスト盤は初週で17万枚を突破)。EXILEの妹分として7年前に始動し、アイドルとは異なる「パフォーマンスグループ」であることを主張してきた彼女たち。音楽番組を見ていても、ダンスのキレの違い、かわいさよりもクールさをアピールする目線など、同性から「かっこいい!」と言われる存在でありたい、という意識が強く伺えます。

 実際、彼女たちに憧れてダンスを始める小中学生女子は星の数。E-girlsを頂点とするピラミッドの最下部には、ダンススクール「EXPG」がありますが、入りたくても定員制のため現在5~6年待ちが当たり前だそう。華やかなエンターテインメントとして成功し、素人を取り込むビジネスとしても大成功しています。素人参加型のオーディション番組は昔からありましたが、EXPGは「ここは夢を叶える場所」と前置きしながらも「スキル向上だけが目的ではない」「情熱や夢を一緒にわかちあうことが素敵」というスタンスを貫くため、E-girlsになりたいキッズからJSB好きのOL、あるいはダイエット目的の中高年までが集まれるわけですね。音楽や表現というものを、専門学校やカルチャースクールのような商売に変換してみせたLDHグループって、やっぱり発明のひとつだなと今さらながら思います。

 自分もやりたいと思う。ああなりたいと憧れる。LDHグループやAKBグループが狙うのは、こういう心理でしょう。シンガーソングライターやロックバンドであっても、まず「自分もやりたい」と思わせなければ、今の日本でエンターテインメントはなかなか成立しません。ビヨンセを見て「私もこうなれる」と思う人は少数でも、E-girlsなら「入りたい」と思えてしまう。敷居の低さ(本当は全然低くないんだけど)、言い換えるなら共感のしやすさ。これが長年エンタメ界のキーワードだったわけです。しかし。

 注目したいのは今週4位のONE OK ROCK。ニューアルバム『Ambitions』が先週23万を突破して首位を獲得、今週は約3万8千枚のセールス。同時に輸入盤のほうも先週3万7千枚→今週1万1千枚とトップ10内にランクイン。すでにトータル32万枚以上という驚異的な売り上げを誇っています。素晴らしい記録ですが、同時に小さな疑問も生まれます。今のONE OK ROCKに「共感」の要素、ゼロじゃないの? と。

 前作『35xxxv』はアメリカのロックシーンを強く意識した作品でしたが、新作『Ambitions』に至っては、もはやアメリカのショービズそのものといえる内容です。ダイナミックなシャウトも消え去り、アメリカの音楽シーンの主流であるR&Bっぽいエレクトロ・サウンドを導入。著名なプロデューサーの意見やアレンジもどんどん取り入れて完成度を高めていったそうです。日本の我々はロックバンドというものを「メンバーの結束力や爆発力」で語りがちだし、なんとなく「外部の人にいじられたら負け」のように思い込んでいますが、そういう狭い了見を彼らはとうに飛び越えています。アメリカで売れるために。アメリカ人の心を捉えるために。その基準で作られたハイクオリティなサウンドを前にして、どこかの少年が「俺もバンドやってみよ」なんて気安く思ったりはしないはず。ただただ圧倒され、スケールの違いに度肝を抜かれる。初めて洋楽に触れて「海外ってすげぇ!」と思った時のような感触を、このアルバムで味わっている若者たちがいることは想像に難くありません。

 そういう作品が二週間で32万枚も売れた事実。ONE OK ROCKは、共感できる歌が売れるという日本の常識からまず離れることで、新しいロックスターになり得ている。それだけに飽き足らず、世界のポップスターの座を狙っている。彼らの挑戦はどこまで続くか。頼もしい限りです。

石井恵梨子

最終更新:1/28(土) 13:00
リアルサウンド