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【月刊『WiLL』(3月号)より】習近平、包囲網に真ッ青

2/1(水) 9:00配信

WiLL

青天の霹靂

宮崎 米大統領選挙の時、中国は何を勘違いしたのか、トランプを応援していたようですね。あれはどういう理由だったのですか。
矢板 そもそも中国はオバマが嫌いでした。オバマは歴代米大統領のなかで最も弱気な大統領で、安全保障に関しては必要最小限のことしかしていませんでしたが、それでも韓国にTHAADを配備するし、「尖閣は日米安保の適用範囲だ」と米大統領として初めて明言し、南シナ海には空母を派遣した。北から南まで中国を封じ込めるつもりかと、領土拡張に野心を燃やす習近平は、すごく圧力を感じていたのです。もしヒラリー・クリントンが大統領になったら、オバマよりもっと強硬な態度に出るのではないか。さらに、オバマは人権問題についてはほとんど発言しなかったけれど、ヒラリーは実は人権問題が大好きだから、それもうっとうしい。
 一方のトランプは、どうも経済にしか興味がないように見える。しかも米軍駐留費をもっと出さなければ日本と韓国から撤退すると言ったから、まさに“神風”が吹いたと思ったんじゃないでしょうか。トランプが当選したとき、習近平はガッツ・ポーズをしたはずです(笑)。トランプの選挙公約にまんまとだまされたんですよ。
石平 トランプ当選の当日、『環球時報』(『人民日報』国際版)が、中国を代表する国際問題の専門家九人を集めて大座談会をやったんです。なかには慎重論を唱える人もいたけれど、大半の学者はトランプに大いなる期待を寄せていた。これでTPPがご破算になる。そのあとは中国がアメリカにとって代わってアジアの経済秩序をつくる。さらにトランプは安全保障に関心がないから、アメリカはアジアから手を引く。そうなればアジアはすべて中国のものだというわけです。
宮崎 トランプがTPPを脱退すると言ったとたん、中国のメディアは大喜びして、短絡的にこれからはAIIBの時代だってはしゃいでいました(笑)。
石平 ところが、その直後から習近平は毎日のように衝撃と失望を味わうことになる(笑)。トランプはまず当選翌日の11月10日に安倍総理と電話会談をして、すぐにニューヨークで会うことを決めた。俺より先に安倍ごときと会うのか。習近平にしてみればこれは衝撃ですよ。負けてはならじと11月14日、新華社通信が習近平もトランプと電話会談をしたと報じた。ところが、トランプ側は「そんな事実はない」と主張した。米中で言うことが違う。普段ならありえない話です。
矢板 電話をしたことは事実です。新華社もさすがに、してもいないものをしたとは報じません。ところが、トランプは各国指導者と日を決めて順に電話していたのに、そこに中国が割り込む形になったから、これは非公式なものだという判断になったんです。
石平 しかし、中国の国家主席が電話をしたのに無視されるというのは、顔に泥を塗られたようなものですよ。そのうえ、プーチンと電話して関係改善をはかったのも習近平には面白くない。アメリカとロシアは、対立すればするほど、どちらも中国を必要とする。とくにプーチンは習近平と連携する以外ない。アメリカとロシアが仲よくなったら中国の外交カードの一枚が奪われることになります。
矢板 トランプは当選後、おそらくリップサービスでしょうが、日本、ロシアをはじめどの国とも仲よくするようなことを言いました。ところが中国だけは無視するどころか挑発した。これが習近平にとっていちばんの衝撃だったでしょう。
石平 そうそう! 蔡英文台湾総統と電話会談をした。これは習近平にとってまさに日本語でいう「青天の霹靂」。ありえないことが起こった。

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最終更新:4/27(木) 15:55
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