ここから本文です

三越伊勢丹「コト消費市場」参入の成否 (川崎隆夫 経営コンサルタント)

2/24(金) 6:05配信

シェアーズカフェ・オンライン

2月23日の日本経済新聞朝刊によると、旅行・観光会社各社は今後、訪日外国人富裕層向けの高級サービスの提供に力を入れていく方針だと報じられた。

『JTBグループなど旅行・観光各社が訪日外国人の富裕層向け高級サービスを相次ぎ始める。予約が取りづらい歴史的建物を貸し切ったり、高級車での移動を提供したりする内容だ。訪日客の「爆買い」は一服する一方で、特別な体験を楽しむ「コト消費」の人気は高まっている。各社は高い満足度を得られる点を訴え、固定客確保につなげる。』
(旅行各社、訪日富裕層に的 日本経済新聞朝刊2017.2.23)

■三越伊勢丹HDによるニッコウトラベルの買収
訪日外国人富裕層を含む富裕層の「コト消費市場」の拡大に注目しているのは、旅行会社だけではありません。三越伊勢丹ホールディングス(以下三越伊勢丹HD)も2月10日、シニア層向け旅行に実績のある東証2部上場のニッコウトラベルへのTOBを発表し、「コト消費」の中核を為す旅行事業の強化を図るようです。

もともと三越伊勢丹は、百貨店業界の中でも富裕層向け旅行事業領域に力を入れてきた歴史があり、2015年には三越伊勢丹旅行営業部を母体とする株式会社三越伊勢丹旅行を設立し、富裕層向け旅行市場に本格参入を図っています。中でも豪華な内装のラグジュアリー・バスを使った国内旅行などの独自性の高い旅行商品は、三越伊勢丹の優良顧客層から高い支持を得ているようです。また三越伊勢丹HDがニッコウトラベルを買収することにより、三越伊勢丹旅行とニッコウトラベルの協業が可能となり、シニア富裕層向け旅行商品の競争力の向上が期待されています。

三越伊勢丹が、「コト消費の獲得」に力を入れる理由として、一般消費者の「百貨店離れ」が顕著になってきていることが挙げられます。三越伊勢丹HDの業績は低迷しており、「爆買い」の減少等により、2016年4月~12月の業績は、売上高9306億400万円(前年同期比3.9%減)、営業利益196億3700万円(36.2%減)、経常利益215億8800万円(35.7%減)、当期利益195億7700万円(18.7%減)に留まっています。

中でも百貨店事業の売上高は、8541億1000万円(4.4%減)、営業利益88億4400万円(56.7%減)と低迷しています。よって、今後成長が見込まれる旅行など「コト消費」関連の事業を強化して「顧客接点」を増やし、百貨店との事業シナジーを創出することで収益の回復につなげたい、という思惑もあるようです。

1/3ページ

記事提供社からのご案内(外部サイト)

シェアーズカフェ・オンライン(SCOL)

シェアーズカフェ株式会社

SCOLはマネー・ビジネス・ライフプランの
情報を専門家が発信するメディアです。
現在書き手を募集しています。特に士業や
大学教授、専門家を歓迎します。