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中国景気下支え策継続ならば日本株に追い風

2/24(金) 15:36配信

会社四季報オンライン

 3月5日から10日にかけて中国の全国人民代表大会(全人代)が開催される。年1回開かれるもので、日本の国会に当たるが、中国では全人代が国家の最高権力機関であり、立法権が行政・司法権に優越する。約3000人の代表が人民大会堂に集まるが、うち7割が共産党員だ。李克強首相が政府の政治・経済の運営方針を示す「政府活動報告」や予算案・法改正の審議などが注目される。

 毎年11~12月ごろに中国共産党と国務院(日本の内閣府に相当)が中央経済工作会議を開いており、昨年12月の同会議で2017年のおおまかな経済政策運営方針がすでに固まっている。今年は中国共産党大会が5年ぶりに開催されて党の人事などを決めることから、同会議では経済・社会の「安定」を最優先する方針が示された。権力掌握を十分なものにしたい習近平総書記にとっては秋までの「安定」が非常に重要だ。

 具体的な政策運営については、積極財政政策が継続されることになり、財政面からの景気下支えが続く。中国の中央政府の財政赤字は16年予算でGDP比3.0%だが、17年は減税などで財政赤字幅が同3%以上へ拡大する見込みだ。

 半面、金融政策の運営方針については「穏健」から「穏健中立」へ変わり、一段の金融緩和に慎重な姿勢が示された。「やや行き過ぎた金融緩和が債務増大や住宅価格高騰などバブルにつながっている」との認識や、低金利による資金流出が人民元安などを招いていることへの配慮とみられる。

 構造改革に関しても債務圧縮や住宅バブル抑制などの必要性が強調された。中国では国有企業や地方政府などの債務の急速な増大がいつかバブル崩壊につながるのではないか、との不安が根強い。このため、今の中国には構造改革が不可欠。ただ、構造改革を重視しすぎれば、政策は自然と緊縮ぎみになる。そうなれば成長は鈍化し、短期的には株式市場にもマイナスだ。

 成長率については15年が「7%前後」の目標に対して実績は6.9%。16年は目標が「6.5~7.0%」で実績は6.7%だった。ほぼ目標に沿った成長が実現できており、成長鈍化に合わせて目標も徐々に引き下げられている。今回の全人代で決まる17年目標についても無理なく、一方で大幅な成長鈍化は容認しないという姿勢を示すため、「6.5%前後」に設定されるのではないかとみられている。

 ただ、直近16年10~12月の成長率(前年比)が6.8%と高かったため、「6.5%前後」の目標が掲げられるようだと「構造改革重視へ傾いた」との印象が強まるかもしれない。

■ インフラ投資の持続性には疑問

 昨年の中国経済を振り返ると、年初に人民元ショックや同国のバブル崩壊の不安などが世界の金融市場を動揺させた。同国経済への不安を払拭するため、当局は、実際には構造改革を後回しにして景気重視の政策を採りすぎた感がある。

 実際、徐々に鈍化していくと見込まれていた成長率は16年1~3月から7~9月にかけての6.7%の水準から10~12月には6.8%へ加速した。尻上がりの堅調さには意外感もあった。民間需要は低迷が続いたが、それを補うためにいくつかの景気下支え策が実施されたのが功を奏した感がある。

 具体的には、(1)公共部門のインフラ投資の増加(16年累計で前年比17.4%増)が低調な民間投資(同3.2%増)を補った(図1参照)、(2)住宅市場テコ入れのため、住宅購入時の頭金比率引き下げなど、いわば投機的な住宅購入を容認する措置が実施されたことで住宅販売が急増し価格が高騰、(3)小型車車両購入税減税(10%から5%に引き下げ)の効果で自動車販売・生産が増加、などだ。

 ただ、このうち、インフラ投資増加がどれだけ続けられるかは疑問だ。債務急増によるバブル崩壊が予想される中でも、地方政府などが債務を一段と増やしてインフラ投資を積み増すことができたのは、地方政府が返済期限を迎えた債務を低利・長期の地方債に置き換えることができたためだ。一時的には資金のファイナンスに余裕ができたが、インフラ投資の増加に伴って債務全体が増加し続けているのは事実。債務問題が単に先送りされているだけということになる。

 昨年1~12月のインフラ投資は前年比17.4%と同1~11月の前年同期比18.9%から1カ月で伸び率がかなり鈍化している。インフラ投資は固定資産投資全体の約2割を占めるため、今後の動き次第では投資全体への影響も大きくなるだろう。3月14日には小売売上高や鉱工業生産統計とともに、今年1~2月の固定資産投資統計が発表される予定だ。インフラ投資が昨年と同様、景気を支える役目を果たしうるかどうかをこの指標で見極める必要がある。

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