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なぞり書きで美文字になる!【実際に書いてみた】

2/27(月) 15:00配信

エイ出版社

名作の一節が、題材として収められているペン字の練習帳

5000円札にもなっている樋口一葉。代表作が『たけくらべ』だとは知っていても、読んだことがある人は少ないかもしれない。かくいう私も、大昔に読んだ『ガラスの仮面』で、北島マヤと姫川亜弓が主人公を演じていたので、ははあ、主人公は美登利という名前なんだな、というのを知っていたのがせいぜい。『たけくらべ』だって『竹くらべ』なんだと思っていたぐらいなのだ(正しくは、丈。背の高さのことです)。

それはさておき、『女流作家の名文』は、この『たけくらべ』をはじめとする名作の一節が、題材として収められているペン字の練習帳。ペン字の練習をしながら、明治から昭和期の女流作家による格調高い名文も楽しめる、というお得な一冊になっている。

もともと手書き文字には自信がない。昨年、地元公民館で開催していた『美文字講座』に行き、名前と住所、ひらがなだけはきれいに書けるようになったのだが、しばらく練習しないでいたら、すぐにまた元の悪筆に戻ってしまった。美文字は一日にしてならず。また練習しなくちゃなあ……。そんなことを思っていたところに、たまたま目にしたのがこちらの本。樋口一葉のほかには、宮本百合子、田村俊子、岡本かの子、林芙美子など、一度は読んでおきたい作家の名前が並んでいる。

どうせやるなら、内容が面白いほうがいい。プラス、ちょっと文学の知識もついたらラッキー! ということで、じゃあ次はこちらをやってみるかーということになったのだった。1000円(税別)というお値段も、手頃で手に取りやすい。

ざっとあらすじを読み納得したところで、薄く印刷された文字をなぞっていく。よくある美文字練習帳には、行の中央に薄く中央線が入っていることが多いが、この練習帳にはそれはない。100%なぞるだけなので、中央線がなくても問題はないのだろう。

文章は決して読みやすいとはいえず、たとえば、『身に覚えなかりし思ひをまうけて物の恥かしさ言うばかりなく……』なんてフレーズは、まるで古典の教科書のよう……(立ち読みしただけで理解した北島マヤ! なんておそろしい子!)。たかだか100年ほどで、言葉はかくも変わるものだということが驚きだった。今の言葉も50年100年経つころには、難解に感じられているのかもしれないなぁ。とはいえ、意味はうっすらわかるので、そういうものだと思って言葉の響きを楽しんでしまったほうがいいようだ。

お手本の書体は、好みもあるかと思うが、私は好きなタイプの字だった。素直で実用的なのがいい。達筆すぎても、現実味がないのだ。

昨今、意識しないでいると、ますます字を書く機会が減っていき、今以上に字が下手になって漢字を忘れてしまいそうな危機感がある。『◯ペンの美子ちゃん』で本格的に取り組む余裕はないけれど、テキスト1冊ならば、いつ始めても、いつやめてもいいので気楽だ。

まだ書き始めて数日なので、美文字の成果のほどは不明だが、書き続けていると字が変わってくる、という話も聞くので、期待していたいところ。まずは1冊やりきるのを目標にしたい。

文中からピックアップした漢字を、別に練習するコーナーもある。こちらは中央線入り。(写真下)


(ライター:百名 晶子)

最終更新:2/27(月) 15:00
エイ出版社