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50歳を迎えた永遠のサッカー少年。「いつか『職業:カズ』って書けるようになりたいね」

2/27(月) 7:00配信

SOCCER DIGEST Web

伝えたい、知っておいてほしいキングの言葉がある。

 普段のホームゲームでは考えられない数の訪問者で、ニッパツ三ッ沢球技場の小さな正面玄関はごった返していた。

【キング・カズPHOTO】32年間のプロキャリアを秘蔵写真で振り返る

 
 この日50歳となったキング・カズこと、三浦知良。その雄姿を称えんと、親族をはじめ、元僚友、チームOB、スポンサー関係者、そして300人近い報道陣が殺到したのだ。
 
 そんなビジターを柔和な表情で迎え、ゲストルームに招いていたのが、横浜FCの奥寺康彦会長である。1970年代後半から80年代にかけてブンデスリーガで活躍した元祖・パイオニアは、50歳にして現役のカズをどう見ているのか。忙しいなか、話を聞かせてくれた。
 
「ここまでやること自体が凄いよね。長い間かけて積み重ねてきたものが滲み出ているし、メンタルをずっと高く保つことも簡単じゃないと思う。心の底からサッカーが好きなんだよ、カズは。代表を目ざす、ワールドカップに出るのが目標と口にするけど、普段の取り組みを見ていると、あながち冗談じゃないんだと思えるからね」
 
 両雄が初めて会話を交わしたのは、1986年のキリンカップだった。19歳のカズはパルメイラスの、34歳の奥寺氏はヴェルダー・ブレーメンの一員として凱旋し、決勝で対峙したのだ。その試合後、プロ選手としての大先輩に歩み寄ったのがカズだった。“オク”が懐かしそうに当時を振り返る。
 
「あれから30年以上も経つんだね。あのとき、カズが訊いてきた。『戻ってきて日本のサッカーを盛り上げたほうがいいんですかね』と。だから言ったんだ。『もっとそっち(ブラジル)でやったほうがいい。自分のやるべきこと、したいことをしなさい。帰ってくることはないよ』って。たしかそんな会話だったと思う」
 
 私は、いわゆるカズ・フリークではない。長きに渡って身近で取材を続け、その真髄やイズム、心の変遷を語り尽くせる方はたくさんいるし、2月26日の三ッ沢はそうしたベテランの記者・ライター陣が一堂に会していた。
 
 そのうち何人かは新聞社やテレビ局のお偉いさんになっていて、普段はなかなか現場には来れないのだが、どうやら「カズ詣で」だけは免罪符のようで、子どものようにニコニコしながら取材をしている。そう、同じ空間にいるそれ自体が、嬉しくてしょうがないのだ。
 
 サッカーダイジェスト編集部に私が配属されたのは95年。つまりカズの全盛時はまだペーペーだった。すぐにフランス・ワールドカップ予選がはじまり、日本代表は最終予選で悪戦苦闘。本誌論説ページでは『カズはいらない』というエポックメイキングな見出しが躍った。キングと編集部の間に尋常ではない空気が流れたのをよく覚えているし、実際に一定期間は口もきいてもらえなかった。
 
 そんな私でも、数える程度の取材を通して大いに感化された。伝えたい、知っておいてほしいキングの言葉がある。

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最終更新:2/27(月) 10:57
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