ここから本文です

『君の名は。』『進撃の巨人』など 名作サントラはアニメの枠を超える CREA 2017年3月号

2/27(月) 12:01配信

CREA WEB

 音楽評論家/音楽プロデューサーの冨田明宏さんが、2010年代のベストアニメ音楽について教えてくれました。

5つのカテゴリーから選んだ2010年代ベストアニメ音楽

 今、アニメ音楽が最高に面白い。「アニメ作品に相応しい音楽であること」だけを条件に、国境や言語や人種や文化を超えた、さまざまな音楽ジャンルやサウンドスタイルが渾然一体となりながら、高い芸術性を持つものや、ユースカルチャーとしてオーディエンスを熱狂させる熱量を持つものなど、実に幅広いラインナップが楽しめるようになった。

 特に2000年代に入り、アニメの主戦場が深夜帯になってからは、アニメがより“オトナ向け”になり、表現・作品性・メッセージ性の自由度が増した。それに呼応する形でアニメにまつわる音楽もより多様化し、そのエクストリームな面白さから日本の音楽シーンを代表するアーティスト、バンド、クリエイターもアニメに参戦。今はさながら“アニメ”という鉄のケージの中で繰り広げられる異種音楽格闘技戦の様相を呈している。

 筆者は「アニメ音楽こそ日本でしか生まれえないオリジナルな音楽文化だ」という持論のもと、10年余り執筆活動を行ってきたが、今、改めて断言できる。「世界に誇るべき日本の音楽はアニメにある」と。

アニメの枠を超える劇伴

 二次元の世界に奥行きと輪郭を与え、時にキャラクターの心情を語り、時に深い感動を演出し、時に物語のミスリードすらも誘うアニメの劇伴。劇伴作家たちは幅広い音楽的な知識と経験で、現実には存在しない世界の音を紡いでいく。

◆ RADWIMPS
『君の名は。』

 新海誠の求めに応じ、本作のためにRADWIMPSは1年半にわたり楽曲制作を行い、主題歌と劇伴を含む全音楽を担当。新海の抒情的な映像美に対して、時に挑みかかるような、時に繊細に涙腺を刺激するようなエモーショナルなRADサウンドがハマった。この音楽がなければ、本作は歴史的なヒットとはならなかったかもしれない。

RADWIMPS『君の名は。』
ユニバーサルミュージック 2,700円

◆ 菅野よう子
『「残響のテロル」
オリジナル・サウンドトラック』

 震災復興支援ソング「花は咲く」や大河ドラマの劇伴等、今や日本を代表する音楽家となった菅野よう子だが、元々はアニメ音楽で支持された作曲家であることはこの際伝えておきたい。本作はアイスランドで録音。同国の荒涼とした大地を想起させる、有機的なエレクトロで紡がれた抽象的音像の中で、幻想と狂気のメロディが溶け合う名品。

『「残響のテロル」
オリジナル・サウンドトラック』
アニプレックス 3,000円

◆ ミト(クラムボン)
『「心が叫びたがってるんだ。」
オリジナルサウンドトラック』

 東京の千代田区出身のミトにとって秋葉原は子どもの頃からの遊び場であり、クラムボンを始めるよりも先にアニメオタクだったことは意外と知られていない。ミュージカルのスタンダード「Over The Rainbow」や「悲愴」「アラベスク」等を現代的解釈でリアレンジ。ありふれた日常風景を劇的な景色に変えてしまうような芳醇な劇伴に仕立てた。

『「心が叫びたがってるんだ。」
オリジナルサウンドトラック』
アニプレックス 3,000円

◆ 澤野弘之
『TVアニメ「進撃の巨人」
オリジナルサウンドトラック』

 作る音楽はすべてハリウッド級。『機動戦士ガンダムUC』でその名が知れ渡った澤野弘之だが、彼のつくる劇伴はどれも“歌えるほどにキャッチーなメロディ”と“心を揺さぶる重低音”そして“劇的でダイナミックな構成”で貫かれている。中でも本作はオルタナティヴなラウドロックをそのまま劇伴に起用するなど、攻めた姿勢を見せていた。

『TVアニメ「進撃の巨人」
オリジナルサウンドトラック』
ポニーキャニオン 3,000円

●今回、教えてくれたのは……

冨田明宏(とみたあきひろ)さん
音楽評論家/音楽プロデューサー。音楽評論家としてはアニメ音楽が主戦場。さらに音楽プロデューサーとして声優・内田真礼、黒崎真音ほかのプロデュースや、数々のアニメ主題歌も手掛けている。

冨田明宏

最終更新:3/6(月) 18:06
CREA WEB

記事提供社からのご案内(外部サイト)

CREA

文藝春秋

2017年9月号
8月7日発売

定価780円(税込)

100人の、人生を豊かにする1冊、1曲、1杯
本と音楽とコーヒー。

岡村靖幸×ほしよりこ
高橋一生「ひとり、静かな生活」

ほか